第5話 オークのパンチ焼きを実食
「うわっ、たまらない。なんだこの美味そうな匂いは」
「本当だな。五臓六腑が早く食いたいと言っているぞ」
「もういいだろう。ほら、焼けているから」
「ダメですよ。まだ。中まで火が通っていないから」
3人の冒険者はオークのパンチ串から目が外せないでいる。
まだか、まだかって、こっちをみる度言っている。
「まだです」
僕は次のオーク串を作りながら答える。
見なくても、今の状態は音と匂いで分かる。
もう少し・・・あとちょっと・・・よし、ジャストタイミング。
「はい。いいですよ。食べてください」
「おおっ、待ってました!」
それぞれが焼けたオーク串を手に取って口に運ぶ。
大きな肉なのだが、一度に口にぶち込んでいる。
「うわっ、あっちっち。熱いけど、美味い!」
「すげー、なんだこれ。タレとオーク肉がすげーマッチしているぞ」
みんな、喰いまくっている。
どれ、僕も食べようかなと、かまどの前にいくともう食べ終わったしまった3人が残っている僕の串を睨んでいる。
「いいですよ、それ。先に食べてください。僕は後から食べるから」
「「「ありがとう」」」
3人で仲良く1串を分けて食べている。
僕は次の4本をかまどに刺して、こんどは燻製の準備を始めた。
「ふう、美味かった。もう食べられない」
予定の3串では足りずに、ひとり4串も食べた。
僕だけ3串だけどね。
「どうです?身体、変化ないですか?」
「おおーっ、確かに。なんかパワーが満ちているぞ」
「あれ?魔力がいつもより強くなっている気が」
「なっていますよ。試してみたら?」
軽くマジックボールを出してみている魔法使いさん。
あ、火の魔法使いなんだ。
「確かにいつもより大きくできるぞ」
「でしょ、分かったら魔力がもったいないから、消しましょう」
「だな」
しゅっ、という音で、マジックボールは消えた。
「オークの魔素が皆さんのパワーになりました」
「本当にそうだ」
「あと、今日はここで野宿するので、一夜を通して燻製を作ります。そのうちの1/3はパンチ焼きの燻製バージョンで、同じ効果ありますよ」
「すごいな、それ。冒険の前に食べるといいってことか」
「その通りです」
翌朝。
リクエストを受けて、またパンチ焼きを作って食べた。
朝から元気な胃だね。
僕は作った燻製の半分を料理代としてもらって、マジックバックに放り込んだ。
オークはおいしくいただきました。ごちそうさま。
今日も4話アップの予定です。
初日の日間ランキング154Pで47位でした。
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