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第22話 看板娘

「パンとかはいいのか?」

「ええ。今日の晩飯は肉オンリーなんです。だから、こんなに分厚くしたんです」

「だよな。これだけ食べれば腹1杯だよな」


食堂は4人がけテーブルが3つとカウンター席が8つのこじんまりとしたところだ。


まだ夕食には早い時間だから、誰もお客さんはいないが、営業中ではある。


「あ、ずるい。なんで、そんなの食べているの?」


目ざとく見つけてきたのは、ウエイターの娘さん。

僕と同じくらいで17才くらいで看板娘って感じ。


「あ、彼に作ってもらってさ。あ、半分食べる?」

「もうっ。なんで私の分がないのよ。もちろん食べるわよ」


皿を持ってきて、料理人さんのオークステーキを半分取ってる。

ん?半分より大きいような気もするけど。


「いただきますっ」

「あ、いただきます」


看板娘が食べ始めたから、僕らも食べ始める。


「おいしいっ。じゅわってくる」


肉汁がたくさん出るのは、肉汁を閉じ込める様にじっくり焼いたから。


「おっ、うまいじゃないか。味付けは塩コショウだけだよな」

「そうです。特別なことしてないんです」

「なら、素材がいいのか」

「ええ。今日ダンジョン塔でドロップしたばかりの品ですから」


僕も頬張っている。

うん、やっぱりオーク肉はうまいな。

だけど、最近、オーク肉ばっかり食べている。


「これ、食堂でも出したいな」

「いいですよ。オーク肉、買い取ってくれます?」

「いくらだ?」

「では、5キロで銀貨1枚と大銅貨2枚。市場より安いですよ。産直なので」

「うん、それなら買おう。いくつある?」

「4つとちょっとあるから、3つは売っても大丈夫です」

「よし、買った」


銀貨3枚と大銅貨6枚で売れてしまった。

これで銀貨1枚と大銅貨9枚の黒字になった。


もっといい宿に泊まれたけど、いいか。

感じのいい料理人仲間もできたし。


「さて。さぼってないで仕込みをしないと」

「がんばってくださいね」


オーク肉15キロを担いで厨房に戻る料理人。

僕と看板娘だけ残る。


「料理人なの?あなたも」

「ええ。錬金術士でもあるんです。錬金料理人って言います」

「錬金術っていうと、賢者の石を作る人だよね」

「あ、それは無理。料理じゃないから。賢者の料理ならレシピは知っているけどね」

「それもおいしそうね。作ってくれない?」

「賢者系は素材集めが半端ないんです。簡単にはできません」

「そうなのね。残念だわ」


そんな話をしていると、冒険者と思われるお客さんが入ってきた。


「いらっしゃいませ」


ふたりのお仕事の邪魔したらいけないから、僕は部屋に戻った。


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