第21話 売上いくらいったのかな
オーク汁が銅貨3枚で40杯、
オークカツが大銅貨1枚で25枚。
1日の売り上げが銀貨3枚と大銅貨7枚。
でも、オークのドロップ肉を5つも買い取ってしまったから、それが銀貨5枚。
マイナス銀貨1枚と大銅貨3枚。
うーん、オーク肉が増えたからいいか。
ダンジョン塔から歩いて1時間くらいの街に来た。
ダンジョン塔にチャレンジするパーティはだいたいこの街に居を構えている。
「屋台では利益が出なかったから、今日は安宿だな」
この手の街だと宿は3種類くらいある。
1番高いのは、貴族のための高級宿で金貨何枚って感じ。
貴族以外は相当なお金持ちしか泊まれない。
2番目に高いのは、銀貨1枚前後の中級宿。
このくらいの宿なら一般市民は快適にすごすために必要な物が揃っている。
最も安いのは、大銅貨3枚くらいからある安宿。
狭くて、ベッドしかないような部屋。
だけど、野宿よりは全然いい。
今回選んだ宿は、大銅貨4枚の安宿。
あと、厨房も使わしてもらう約束もした。
「さて。新しいオーク肉も手に入ったし、夕食はオーク肉のステーキにしようかな」
宿の厨房に行く。
宿は食堂もやっていて、ウエイトレスさんがひとり。
料理人がひとりでやっている。
「こんにちは。厨房を借りにきました」
「おう。聞いているぞ。好きに使っていいぞ」
「ありがとうござまいます」
そうは言っても、邪魔にならないように料理人さんの動きを観察する。
今は野菜の下ごしらえ中だね。
「かまど、お借りしますね」
「おう。もう火はおこしてあるから、そのまま使いな」
「ありがとうございます」
オーク肉を切り出す。
今日は贅沢に300g、それも厚切りだ。
油を敷いたフライパンでじっくりと焼く。
味付けはシンプルに塩コショウだけ。
最初は強火で両面を焼いてから、あとはじっくり焼く。
「あとは、焼けるのを待つだけ」
ほら、肉が焼けるいい匂いがしてきた。
うまそう。
「ほう。オーク肉のステーキか。うまそうだな」
「はい。オーク肉の新しいのを仕入れしまして」
「ダンジョン塔のドロップ品だな。それ」
「わかりますか。そうです」
シンプルな料理だから、素材の味がそのまま出る。
「ちょっと味見させてくれないか」
「いいですよ。なんなら、もう1枚焼きましょうか」
「えっ、いいんか」
「いいですよ。厨房仲間なんですから」
もう1枚同じ様に焼き始めた。
ちょっと火を強めにして、同時に焼き上がるようにする。
「焼き上がるまで暇ですから、手伝いますよ」
「悪いな」
野菜剥きを手伝ってみる。
自分のナイフを出して、野菜の山から数個取り出して。
しゅるん。
あっと言う間に皮がむける。
しゅるん。
しゅるん。
しゅるん。
ほら、もうこんなに剥けた。
「おいおい、それどうやっているんだ?」
「あ、バレました?このナイフ、野菜剥き様に特化した魔法付加したナイフなんですよ」
錬金料理人は、料理道具を魔法付加することができる。
本当のことを言うと戦闘用の道具だって魔法付加できるんだけど、それは職業意識からしてやりはしない。
「それ、いいな。毎日の下ごしらえがあっと言う間に終わるじゃないか」
「ええ、すごく便利ですよ」
そんな話をしているうちも、しゅるん、しゅるんと野菜を剥いていく。
あっと言う間に野菜の山だったのが、剥いた野菜素材の山になった。
「そろそろ焼けますよ。どうしましょう。どこで食べましょうか」
「それなら、まだ客はいないから、食堂で食べよう」
「いいですね」
オークステーキできました。
楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。
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