第20話 あっさり完売
「おや、もう店じまいなのかい」
「ええ。全部売り切れてしまって」
40杯のオーク汁は大人気で午後になった頃、完売してしまった。
屋台の初日だから、どれくらい売れるか、分からなかったから控えめに仕込みした。
次は倍でもいいかも。
「でも、よかったぞ。まだ帰ってないからな。ほら、約束の品だ」
オーク肉、それも3つ。
屋台最初のお客さんの3人パーティの戦果だ。
「あ、ドロップしたんですね。それも3つも」
「あんなに美味いオーク汁食べたら、別のオーク料理も食べたくなるだろ。オークが出る3階でねばってみたんだぞ」
「そうそう。早く上に行こうと言ってもダメで、もう一周、もう一周って感じなのよ」
「まぁ俺もオーク料理食べたかったから、反対はしなかったがな」
オーク肉3つとは、なかなかやるなぁ。
「ひとつ、銀貨1枚でいいですか」
「おっ、街のギルドより、買取価格、ちょっと高いじゃないか」
「ええ。相場は調べてあります。それでも市場で買うよりは安く買えるんです」
ダンジョンドロップ品のオーク肉は、約5キロで、ロース肉の塊だ。
無駄になる部分がないから、市場で買うと銀貨1枚と大銅貨5枚になる。
冒険者ギルドの買取価格は大銅貨9枚だ。
その間で買取価格を決めた。
「それで買取してくれ。あと、それを使った料理はしてもらえないかな」
「それなら、オークカツはどうですか?」
「カツ!作れるのか。あれ、うまいよな」
「パンも付けて、大銅貨1枚でどうでしょう」
「それなら、3人分頼む」
元々は予定していなかったけど、オークカツを作ろう。
マジックバックから、必要な道具と食材を取り出す。
買い取ったオークドロップ肉は、ふたつはマジックバックへ。
残り一つを端から厚切りにしていく。
1枚のロース肉は200gくらい。
それに小麦粉をつけて、卵液にくぐらせて、パンを細かくしたパン粉をまぶしていく。
卵液には、ヤモリの黒焼き粉を入れておく。
肉料理にヤモリ粉をいれると、疲労回復になると同時に筋肉をつける効果もある。
最後にオーク脂を溶かした油を弱めにセットした魔石コンロで温める。
じゅわぁ~。
オークカツ油の中で色づきはじめる。
見ているだけでうまそうだ。
チリチリチリ。
うん、揚がった。ベストタイミング。
分厚いオークカツが出来上がり。
とろりとしたソースをかける。
朝摘んできた野草とパンを添えて皿に盛れば完成。
「できました」
「おおーっ、うまそう」
200gもあるから食べごたえは十分だ。
ダンジョンで戦ったきた冒険者にはたまらないごちそうだ。
「おかわり」
一気喰いした若い剣士は、皿を出してくる。
おっさん剣士も、おかわりをした。
「2枚追加ですね。パンは、いります?」
「パンはもういい、カツだけ2枚で」
「了解しました」
結局、若い剣士とおっさん剣士は2枚、と女魔法使いは1枚。
合計で5枚も平らげた。
3人がお代わりして食べ始めた時、別のパーティが通りかがって
オークカツが連続してオーダーが入った。
いつのまにか、オークカツ屋さんに早変わりだ。
今日の4話アップ終わりました。
書籍化も決まったこっちもよかったら読んでくださいね。
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『超強力な土魔法使いの実力。土建チートで巨大建造物を作って世界を変えてしまっています』
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