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第18話 聖なる泉パン

「この水袋に泉の水を入れてください」


だいたい50リットルが入る水袋が全部で6つ。

合計300リットル。


これだけあれば、十分だ。

マジックバックに入れてしまえば、重さは感じなくなる。


早く帰らないと陽が暮れてしまう。

泉の浄化で時間が掛かってしまった。


来た道を引き返すことした。



「お帰りなさい」


エルフの女の子が出迎えてくれる。

エルフ王の孫で、ユニムのパートナーだ。


「聖なる泉あった?」

「うん。ちょっと問題があったけど、解決したよ。たぶん、ユニムは汚れた聖なる水を飲んでしまったみたいだ」


まだ女になっていないユニコーンは聖なる泉で水を飲み、身体の中の水の魔素を浄化する。

ところが、汚れた聖なる水だと浄化どころか、雑多な魔素が交じり合う結果になってしまう。


「まずは、この水をユニムに飲ませてあげて」

「うん」


ひとつの聖なる水の入った水袋からボウルに移す。


「これでユニム、元気になる?」

「なるよ、きっと」


喜んでユニムの小屋にいくと。

ユニムの世話係のおっさんエルフに止められてしまう。


「なんだ、その水は。勝手なことしないでくれるかな」

「この水は聖なる水なの。ユニムに必要なの」

「なんだ、それは。怪しい物を持ってきたな。大丈夫なのか?」


「それは私が保証しよう。それは聖なる泉の水だ」


一緒に取りに行ったエルフ王も保証してくれた。

さすがにおっさんエルフも邪魔できない。


「さぁ、ユニム。おいしいお水だよ」


ぐったりして横になっていたエルムの口元に聖なる水のボウルを置く。

しばらく、匂いとかを確認していたユニムが飲みはじめた。


すると、しばらくするとユニムの身体が白く光りだした。


エルムは立ち上がり、水をたくさん飲み始める。

白い光はいよいよ強くなって、ユニムを包みだす。


15分ほど光り続けたエルムは、その後光が収まってくる。


「あ、エルム。綺麗な白!」


にごっていたエルムの身体は、本来の白さに戻っていた。

額から延びるツノも純白のツノに戻っている。


「よかったね。これで大丈夫かな」


ただ、ユニコーンについてはあまり詳しくないので、おっさんエルフにバトンタッチ。


「信じられん。あんなに弱っていたのに、今は元気そのものだ」

「たぶん食欲も戻っているはず」

「なら、このパンを上げよう」


ユニコーンの食事はパンが中心だという。


「ちょっと待って。そのパンの材料はありますか?」

「もちろん、あるが。今日作ったばかりパンだから大丈夫なはずだぞ」

「そのパンに使っている水が心配です。今はまだ浄化力が弱っているから、この聖なる水で作ったパンにしましょう」


パンの材料は小麦の粉と塩、そして水だ。

発酵をしない単純なパンみたい。


作り方は僕でも分かるから、丁寧にひとつひとつ作業をする。

かまども、焼く前に聖なる水で清めてから行う。


「ほら、できた」


薄く円盤状のパンが焼き上がった。

これなら、今のエルムでも食べて大丈夫。


「おおっ、食べた」


おっさんエルフが感動している。

ずっと食べてくれなくて悩んでいたんだね。


「よかったよかった」

「おいしい?エルム。いっぱい食べて早く元気になってね」



エルフ王の依頼は達成した。


その後、エルフ達が作ってくれたおいしい食事をして、翌朝エルフの里を立つことにした。


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