第15話 ユニムはユニコーン
「こっちに来てくれるかな」
「はい」
女の子エルフと一緒に連れていかれたのは、小さな小屋。
そこに、ユニムはいるらしい。
「なんだ、おまえ。なんで、こんなところにいる?」
小屋の前にいたエルフのおっさんは、僕を見つめて問いただしてくる。
「こら。客人に失礼であろう」
「すいません。族長よ。しかし、人間にユニムは会わせることはできません」
「何を言う。この人がユニムを救ってくれるかもしれないのだぞ」
「どうして人間にユニムを助けることができましょう。無理です」
エルフ王とおっさんエルフは言い合いをしている。
「すみません。ちょっと聞きたいんですが」
「なんだ」
敵愾心バリバリでおっさんエルフが答える。
「ユニムってエルフなんですか?」
「何を言っている?ユニムはユニコーンだ」
ユニコーン!
真っ白な身体に、額から延びる細くて長い一本のツノ。
「救ってほしいのはユニコーンのユニムだ。何も食べずに弱ってしまっている」
「だから、族長。人間がユニコーンを救うのは無理です」
「お願い。ユニムを助けてあげて」
うーん、なんと。
作るのは、弱ったのユニコーンの病人食ですか。
「おまえ。ユニコーンは詳しいのか?」
「いえ。物語の中で聞いたことはありますが」
「はっ。笑えるな。ユニコーンの世話を250年してきた私にできないことを、ユニコーンを見たこともない人間にできるというのか」
はい。正直、自信ありません。
だいたい、ユニコーンって何を食べるんだ?
「できるか、どうかはまずは見てもらってからだ。どうぞ、こちらへ」
「人間をユニコーンが受け入れるはずはないだろう。ツノに刺されてしまえ、人間よ」
ユニコーンは美しい見た目なのに、実は獰猛でツノに刺されると象さえ殺してしまうと言われている。
たしかに、ツノに刺されたら危険だから、注意しないと。
「どうぞ。中へ」
小屋の中は、天井から明るい光が差し込んでいる。
その光の先にいるのがユニコーン。
ただ、まだ子供らしくて、サイズ的には馬というよりロバくらい。
ユニコーンというと純白って言われているけど、このユニコーンはちょっとくすんだ白。
白に灰色と茶色の中間くらいの色がちょっと混じった感じ。
何よりも色がおかしいのは、ツノの先。
まだ子供だから、30センチしかないが、その先端10センチほどが黄土色になってしまっている。
本当なら、白銀に輝くはずなのだ。
「ユニムは病気なの。助けてあげて」
「ユニムは、私の孫のこの子と、パートナー誓約している。だけど、ここに来てからこんな感じで何も食べてくれていないのだ」
それをなんとかするのか。
全然、わからないぞ。




