第10話 スープ対決の勝者は?
続いて、2人の審査員が札を上げる。
どちらも、白札だ。
3:1で、村長の票を見る前に、勝者が決まった。
「勝者、4代目調理人」
司会者が大きな声で勝者の手を上げる。
残念、負けた・・・うーん。ダメだったか。
余韻って、そんなに分からないものなのか。
「残念だったな。旅人調理人よ。だが、お前もよくやったぞ」
上から目線で言われてしまった。
なんか、むかつく。
だけど、負けは負け。
仕方ない。
絶対、僕のスープの方が美味いというのは変わらないけど、村人には伝説のスープの方が美味いと感じるとのこと。
仕方がない・・・でも、むかつく!
「ちょっと待ってくれないか」
村長が発言した。
じっと、ふたつの伝説のスープを見比べている。
見た目だけでは全く同じスープに見えるはずた。
匂いも同じになっている。
「このふたつのスープ。微妙な違いがある。だけど、どっちが美味いかは、私では判断できない」
ということは、村長は棄権ということか。
なら、3:1で負けでスコアが確定したってこと?
「判断できる人はただひとりだ」
「それって、もしかしたら」
「そう。エルフの王様以外にいない」
観客は大騒ぎになってしまった。
エルフの王様に、負けたはずのスープを出すのか。
怒りだして、取引中止なんてことになったら、どうするのか。
そんな声が聞こえる中、村長が宣言する。
「この問題は私の責任下で行う。もし、問題が起きたら私が責任を取る」
そこまで言われてしまったら、誰も反対できない。
4代目料理人は下を見て悔しそうだ。
私はというと、戸惑っている。
確かに、エルフの王様なら正確な判断をしてくれるだろう。
だけど、それで村とエルフの人たちの友好が崩れたとしたら・・・。
「2日後のエルフの王様一行が訪問するまで、この勝負の結果はお預けとする」
お預けって・・・犬のご飯じゃないんだから、なんか変。
だけど、村長が、そんなこと予想もしていなかったことが良く分かる。
エルフの王様、伝説のスープ改の味、分かってくれるだろうか。
スープ対決は延長戦に。
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