第1話 初めての戦場料理人
「いいか。村の柵が出るなよ。とにかくおまえは、俺たちの足は引っ張らないでくれよ」
「はい、了解です」
もちろん、分かっていますって・・・だって、僕は料理人なんだがら。
戦いは剣士さんに任せて、料理人の僕は村で大人しくしています。
この村は、たまたま、旅の途中で寄っただけ。
この村に欲しいと思っていた食材があると噂で聞いたんだ。
ところが間が悪かったみたい。
村についてしばらくしたら、魔物が襲ってきた。
あらかじめ分かっていたみたいで、街から剣士の人が常駐してした。
「くるぞ。ダイアウルフの群れだ。気を抜くな」
今、僕ができることは料理の準備だな。
料理の材料集めをしておいて、戦いが終わったら食事がすぐできるように用意しておこう。
「すいません。これ分けてください」
「おっ、料理人か。戦いの後の食事のためか?」
「はい。戦ってくれている剣士さん達のために作ります」
「なら、好きなだけ持っていけ」
村人たち、協力的だから、ありがたい。
すぐに必要な料理素材は集まった。
今回のレシピは、爆弾丼。
ちょっと危険な名前だけど、戦場には向く特別レシピだ。
なんと、HPもMPも同時に補給できるっていう優れもの。
戦いで疲れている剣士さんには、最高の料理だ。
メインの食材は、村の軒下に干してある自然著芋。
いい感じの自然薯なんだよね。
太くてごりごりして感じで。
いかにもパワーがありますって姿をしている。
早速、料理に使ってようと。
僕は何本もの自然薯を降ろしはじめた。
「よし、ダイアウルフの第一陣は撃退したな。みんな、お疲れさま。見張りを残して一旦休憩に入るぞ」
剣士の方5人と、村の屈強な男10人が帰ってきた。
中には、ダイアウルフに噛まれた人もいて、村の女性が応急処置をしている。
「怪我人は6人。死亡はゼロです」
「そうか。まぁまぁの結果だな」
最初の戦いは一段落した。
次に襲ってくるのは今夜ではないのだろう。
剣士の人たちは、鎧を外して楽な恰好で座っている。
「皆さん。お疲れ様でした。まずは、これを飲んでください」
このお茶は、戦いで緊張している剣士達のためのハーブティ。
感情を鎮めて、リラックスする効果があるんだ。
「おっ、気が利くな」
「はい。すこし休んだら、食事ができますから。食べてくださいな」
「すぐに食事はちょっと、無理かな」
今はそう感じるかも、知れませんね。
でも、大丈夫。
僕が作る料理は特別だから。
傷ついた剣士のための特別レシピ。
そう錬金料理なんだから。
新連載、はじめました。
よろしくです。