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闇祓い  作者: 岡野裕憩
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第3章 談笑

女王を部屋に案内した後、アラリスは女王から「ある人物」を呼び出すようにと言われましたが…。

何だか後半は出来の悪いコメディみたいになってしまいました…。

 アラリスは急いでいた。女王に色々頼まれていたことがあったからだ。伝書鳩を飛ばすと、せかせかと廊下を歩いた。

 

 この大聖堂は結構な広さがある。確か、500年前くらいに当時の女王によって建設されたものだったはずだ。その女王は熱心な宗教家で、数々の大聖堂やら教会やらを建設したらしい。何年もの年月のせいで崩壊したり焼失したりしてしまったものも多いが、この大聖堂は当時の女王が一番気に入っていた建築物であり、未だに残っている。

 

 通常は城で議会をやるものなのだが、問題の議会場は落雷による火災のせいで、もはや使える状態ではないためこの大聖堂が使われることとなった。表向きにはそうなっているが、調査の結果、何者かによる爆破の可能性があるのではないかとされている。

 …何か、何かが裏で行われているのではないか。荒廃に隠れて、何かどす黒いものが渦巻いているようだ。いや、今までの一連の現象はもしかしたら『荒廃』では無く『陰謀』なのかもしれない。

 少なくともエレノアはそう踏んでいる。

 勿論、この事は外部に漏れてはいない。だから彼女の身の周りにおいているのはほんの数人の信頼のおける者たちのみだ。そのために、選ばれなかった大勢の官吏から冷たい視線を集めている。官僚の部下だってほとんど彼らの血縁者であるから有能といえる官吏も少ない。

 信じられる者を集めるには多くの時間と労力が必要だ。

 エレノアの苦労は傍からみても明らかだった。


 全く、こんな時にあいつは一体どこにいるのかしら…?アラリスはひとりごちた。来なくていいときばかり顔を出してくるくせになんで必要なときにはどこかへ行ってしまうのかしらね!もう。そろそろなんだけど。あ。あっちに顔出しとかないと…。





















「あら、おはよーリバ。もう交代?」

「こらこら。『おはよー』って、今何時だと思ってんのよ?」

「23時58分46秒17、でしょ?分かってるって。」

「目覚まし見ながらそこまで正確に言わなくたっていいわよ。」

「今起きたばかりなんだから、別に言ったって構わないじゃない?」

「もう夜行性動物の仲間入りだものねぇ、エラトは。」

「ちょっとぉ〜人を蛾かなんかみたいに言わないでくれな〜い!この時間帯嫌なのよー。『睡眠中の夜11時から2時の間に、体から保湿成分が自然に分泌されて、お肌の調子が良くなる』ってこの前雑誌にも書いてあったしぃ。それに日の光を浴びないと、なんだかドラキュラみたいで、もう人じゃなくなっちゃいそうなんだからぁー」

「はいはい」

「ほら見てよ!こんなにカサカサ〜。」

「あーらら」

「何その棒読み。全然見てないじゃないの。そこでガサゴソやってないでちゃんとこっち向きなさいよ。リバは日中だからそんな暢気なことが言えるのよ。ちょっとくらい当番代わってくれたって…、ってなんかやけに涼しいと思ってたら。やだぁーブラインドも窓も全開じゃなーい!!」

「あ。今日蒸し暑かったもんだからー。」

「ちょ!ちょっとーっ!!危うく着替えようとしちゃったじゃないの!!ってかなんであんた脱いでんのよ。よしなさいよ!」

「ばかねぇ、何騒いでんのよ。こんな夜中に、わざわざ妙齢すぎた女の下着姿なんて見に来るやつなんている訳無いでしょ。全く、自意識過剰なんだからー。」

「いやいや…。あんた、気にしなさすぎだから。『妙齢すぎた』ってなによ!まだあんた30代前半でしょ!私ならともかく。そーゆーこというのやめてくれる?あんたといると余計老け込んじゃうじゃない。あーやだやだ。」

「大丈夫。エラト、歳の割には子供っぽいじゃない?とても30後半には見えないから。大丈夫大丈夫。気にしないの。」

「…あなたの精神年齢がまわりより高いだけでしょーが。その分老けるの早いわよあんた。」

「なんですかぁー?歳の話ぃー?」

「あらアラリス。」

「やっと常識人がおいでなすったわ〜。助かったぁ。ここに座ってよ。」

「あ、ごめんなさい、もしかして起こしてしまいました?エラトさん。」

「いいえ、もうとっくに起きてたから問題ないわ。それより、ちょっと聞いてよ〜。」

「なんですか?…あらま。開けっ放しなんですね、窓。天気予報では、夜から雨が降るって言ってましたよ。」

「そうなのよー。なのにリバったらこのまま構わず裸になろうとしてたのよー。」

「誰が裸よ。下着はいてるからちゃんと!隠す所は隠してるから!」

「あーあ。私だってアラリスくらい若かったら見せびらかしてるのになー!!どうよっ!?ってねー。今はもう人様に見せられない体型だけど…。」

「まだ間に合うわよエラト。脱いで庭園1周してきなさいな。今なら庭師のおじちゃん達の視線くぎづけにするわ、きっと。」

「おお、若いべっぴんさんがおるぞー!!って?」

「うわぁ見せるなぁー!不審者だぁー!捕まえろー!!の間違いでしょ。」

「やめてくださいよー。リバさんの冗談っていつも真顔で言うから怖いんですよー。」

「あら?私、いつでも本気よ。」

「あ、今笑ってるぅー。」

「話戻しちゃうけど、私がアラリスだったら逆に隠すわねー。」

「え、なんでよー。」

「ってかなんでお二人さん、『私だったら』っていう設定なんですか?」

「慎み、ってやつよ、つつしみ。お恥ずかしいものなので隠します、ってもんよ。女はそれがなくなっちゃあ、おしまいなのよ。それがあるから女でいられるのよ。慎みもってる子は若いわよー、心が。」

「じゃ、リバさんはもう若くないですねぇー。」

「あらら。アラリスも言うようになったねぇ〜。いつからそんなに偉くなったの〜?」

「…あー。いつも話のオチはこれなのね〜。このトリオ。」

「結局、何が言いたかったんだっけ。」

「あんたが言わないでよー。」

「あれでしょ、着替えの時は窓を閉めよう、ってことでしょ。」

「よく分かってんじゃないの。」

「話が落ち着いたところで、お茶淹れますね。」

「ありがと」

「ありがとー。私ミルクティーがいいわねぇ。」

「はいはい。分かりました。」

アラリスが席を立った。外では冷たい雨が地面を濡らし始めていた。 

これから少しずつまたシリアスになっていきます。

アラリス・ティシフォネー…女王の側近。影ながらエレノアのことを心配している。20代前半。

リバ・ダーカッシュ…侍女その1。女王の身の回りの世話をする。色気がなくサバサバしているようだが、意外と几帳面な所がある。30代。

エラト・ハーパー…侍女その2。リバの同僚であり、歳がかなり離れているが親友である。お茶目な性格で冗談好き。美容にはうるさい。30代。


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