1/7
序章
今日は一段と騒がしかった。
ここは大聖堂。
恐ろしく古いこの建築物は、一瞬、すくみ上がるほどの威圧感をおぼえる。
しかしだいぶ年月が経過しているためか、至る所に破損が見受けられる。
壁のところどころがえぐられているようで、なぜか痛々しい。
そしてそこに病魔のように苔や蔦がじわじわと蝕んでいく。
安全のためなのかどうか知らないが、あらゆるガラスは取り外されている。
その姿は人に例えると、晩年の老人、とでもいったところであろうか。
緊張。
それから僅かに遅れて、衰え。
それを悟ってしまう。
今までの生きてきた証が、歴史が、威厳として。
己という、器に染み付いている。
やがて朽ちた木のごとく土に還る日が近づくのを、もはや待つだけ…。
そう、土に還る、その日を。
もしかしたらこの聖堂は暗喩なのだろうか。
この世界の。
I felt something in the chapel ― a feeling that something terrible was about to happen.