闘う意味
迷いました・・・・・・どうするべきか
「わかった、だけど無理はするなよ?無理だと思ったら迷わず逃げる事、いいな?」
その答えに返事はしたものの俺は逃げる気など毛頭なかった
強くなりたい、ずっと思ってきたがただのゴブリンである自分には到底無理な事だとわかっていた、最弱の魔物と人間達から言われ、森にいる魔物からもそう思われていた、そんな自分が強くなれるのだろうか?そんな疑問を持ちつつもゴブリンの爺さんの訓練を受けていた
正直、訓練には何の意味も無かったと思う、油断して遊んでいる冒険者から逃げれる、いや、逃がしてもらえる程度の力しか俺にはなかったのだから、それでも妹と一緒に逃げれたのは幸いだった、そのおかげで俺達兄妹は強くなるチャンスを手に入れたのだから
シゼル様についてきたのは命を救われたからってのも理由の一つだった、だけど一番の理由は、一緒にいればもっと強くなれると思ったからだ、実際すぐにホブゴブリンに進化出来たのだから
進化して森の魔物達にも勝てるようになった事、それは自分が強くなったと勘違いするには当時の俺には十分な理由だった、まぁ、すぐにその勘違いは冒険者の登場によって正されたんだけど、それだけならまだよかった、いけなかったのは進化してもまたもや俺はシゼル様に助けられたって事だ
シゼル様の役に立たなければ命を救われた恩が返せない、なんとしても強くなりシゼル様の役に立たなければいけない
ベルセディア山脈での戦いも最初のうちはよかった、俺と妹のシュキだけでも十分戦えていたからな、ただ、シュキは気付いていないようだったけど俺は気付いていた
俺達が相手をしていた蜘蛛が呼んだ仲間をシゼル様が陰ながら魔法で処理していた事を、その後、俺達が苦戦したトカゲにしても魔法でなんなく処理していた事も、ここでも俺達はシゼル様に守られていた
これではダメなんだ、強くならないと、シゼル様に守ってもらわなくても戦えるように強くならないと、だけど俺に見せられたのはシゼル様の圧倒的な力だった
シゼル様と親蜘蛛の戦い、もし俺が親蜘蛛と戦っていたらすぐに殺されていただろう、親蜘蛛の攻撃は俺には見切れなかったのにシゼル様には見えていたようでなんなく躱していたし、なによりもシゼル様が魔法で作った2つの剣の威力は凄まじかった、その後に放った別の魔法を見てシュキはシゼル様をさらに憧れの目で見るようになっていたけど、それではダメなんだ
背中を任せられるくらいに強くならなければ、憧れていてはダメだ・・・・・・背中を追いかけるだけじゃ追いつけない、俺は唯でさえ最弱と言われるゴブリンなんだ、例え無理でも追い越す気で追いかけなければついていく事すら出来なくなる、シュキは女だし、まだいい、だが俺は男だ、シゼル様に頼られるくらい強くならなければ一緒にはいられない
だと言うのに一向に追いつける気配がしないし、影の竜王とかいう竜種までシゼル様は作ってしまった、シゼル様と俺の間にはどれだけの差が開いているのだろうか?考えるだけで諦めてしまいそうだ
最初は命を救ってくれたから、強くなれそうだからといった単純な理由だった、だけど何時からだろうか、この方の背中を守っていきたいと思うようになったのは、確信したのは親蜘蛛との闘いの最中だったけど、きっと始まりの森で出会った時から命を救ってくれたシゼル様に俺も憧れていたんだと思う
憧れが忠誠に変わるなんて思わなかったけどな、だけど、だからこそ示さないといけない、シゼル様の剣は俺なんだと、影の竜王でもなく、ヴァニスでもなく、この俺、黒鬼こそがシゼル・ベルンフォルンの第一の剣であると
俺が追いかける強さはもっと先にあるのだから、これくらいの強敵、倒せなくて何が剣だ!!相手はただ腕が4本あるだけの骨だ、確りと見ていれば攻撃は躱せる!!
☆☆☆☆
返事と共にグレイブキーパーに突っ込んでいくコッキとシュキだが、相手もただみているだけじゃない、墓守の右下の手に持っている十文字の刃がついた槍で先に突っ込んできたコッキを迎え撃つが、コッキはただ半身を右ににずらしただけで躱してしまう
槍が躱されたのならと今度は左上の手に持つ斧を振り下ろすがこれはシュキの風の魔法剣により防がれコッキの大剣による振り下ろしを許すが右上の手に持つ剣でこれを防ぎ、左下の手に持っていたハルバードでシュキに突きをお見舞いしようとするがリオナの火魔法によって動きを邪魔されてしまい、その隙にシュキもコッキも距離を取っていた、魔法ではダメージは微々たるものだが動きを邪魔するくらいはできるようだ
距離を取れば魔法を撃たれ、近づけば槍とハルバードの間合いでの戦闘になり、肉迫するほどに距離を詰めれば剣と斧、そして短く持ち直した槍とハルバードの突きが繰り出されるといった攻防が続いたが確実に相手にダメージは与えていた
スケルトン・グレイブキーパー
Lv98 種族 スケルトン
HP 4260/6580 MP 4430/5860
STR 6250
VIT 6180
DEX 5360
AGI 5850
SPD 4850
INT 4650
MND 4200
しかし、この調子ではこちらもじわじわと体力を削られてしまうし、相手が強化されたら不利になるのはこちらだろう、なにより相手は1度倒せばそれで終わりというわけではないのだ
相手のスキルの事はコッキ達も知っているので何か考えがあるのだろうけど、見ているだけってのはこんなにも心配になるものなのか・・・・・・相手が相手ってのもあるんだろうけど、まさか聖魔法までダメージカットされるとは思わなかった、攻撃魔法は問答無用で効果対象なんだな
ただ、こちらはケガをしてもリオナの回復魔法があるので今はまだカバー出来てるが・・・・・・ん?回復魔法?たしかアンデッド系って回復魔法使うと逆にダメージくらわなかった?しかも回復魔法であって攻撃魔法じゃないからスキルの効果対象にはならないはず・・・・・・
手は出さないけど、口は出してもいいよね?
「リオナ!相手に回復魔法を使ってみてくれ!!」
「えっ?あ、はい!!治癒!!」
リオナが墓守に対して回復魔法を使用したら通常の回復魔法を使われた時と同じように墓守の体を光が包んだのだが、光に包まれた瞬間に墓守は尋常じゃないほどに暴れ出したのだった
スケルトン・グレイブキーパー
Lv98 種族 スケルトン
HP 3170/6580 MP 4430/5860
STR 6250 → 7500
VIT 6180
DEX 5360
AGI 5850
SPD 4850
INT 4650
MND 4200
HPが4200から1100も減っている・・・・・・これは確定だな、ついでにSTRが20%上がってしまったが問題ないだろう
「リオナ!!全力で墓守に回復魔法だ!!」
「はい!!大治癒!!」
「え、ちょ、まtt」
コッキが何か言ったが時すでに遅し、墓守は先ほどよりも強い光に包まれてさらに暴れ出し、動きが止まり大人しくなったかと思ったら、墓守の体を今度は黒い闇が包みガバッ!とこちらを見た
スケルトン・グレイブキーパー
Lv98 種族 スケルトン
HP 3290/6580 MP 4430/5860
STR 7500 → 13500
VIT 6180
DEX 5360
AGI 5850
SPD 4850
INT 4650
MND 4200
あれ?元値の100%だから12500かと思ったけど7500から80%アップなんだな・・・・・・けど、もう一度リオナが回復魔法を使ったら終わりそう
「リオナ!もう一回だ!!」
「は、はい!大治癒!!」
「だから、ちょtt」
さっきからコッキは何を言いたいのだろうか?そして再度墓守の体を光が包むが、さきほどよりは暴れてない?あ、墓守を包んでいた闇が回復魔法の光を邪魔してる?
スケルトン・グレイブキーパー
Lv98 種族 スケルトン
HP 170/6580 MP 4430/5860
STR 13500
VIT 6180
DEX 5360
AGI 5850
SPD 4850
INT 4650
MND 4200
なんかちょびっとだけ残ってる、なんだか呆然としているコッキを他所に墓守に止めを刺したのはシュキだった、コッキは何がしたかったのだろうか・・・・・・
今回はシュキ、コッキ、リオナだけが戦闘を行ったためか、おれとヴァニスのレベルは上がらなかったが、シュキとコッキの次の進化が見えてきたのはいい事だ、墓守に回復魔法を使ったせいかリオナの回復魔法のレベルが9に上がったようだ、10になれば死者蘇生も出来るのだろうか
リオナ 種族 ヴァンピレス
Lv 76
HP 6150/6150 MP 7320/7320
STR 5460
VIT 5580
DEX 5750
AGI 5860
SPD 5420
INT 5630
MND 5720
特殊スキル
吸血竜公の使徒 身体変化
太陽の加護
所持スキル
魔力操作Lv7 魔力感知Lv8 思考加速Lv6
気配感知Lv5 魔闘法Lv9 頑強Lv6
杖術Lv5
魔法スキル
風魔法Lv8 火魔法Lv7 回復魔法Lv9
聖魔法Lv7
耐性スキル
毒耐性Lv6 物理耐性Lv8
シュキ 鬼人族
Lv 79/100
HP 4820/4820 MP 8640/8640
STR 5420
VIT 5410
DEX 5740
AGI 5520
SPD 5120
INT 7220
MND 7420
特殊スキル
魔法の才Lv8 吸血竜公の加護
所持スキル
魔力感知Lv7 魔力操作Lv8 思考加速Lv7
採取Lv5 魔闘法Lv8
剣術Lv8 杖術Lv7 魔法剣Lv8
体術Lv7
魔法スキル
火魔法Lv8 風魔法Lv6 雷魔法Lv7
水魔法Lv7 氷魔法Lv7 土魔法Lv7
耐性スキル
火耐性Lv8 風耐性Lv6 雷耐性Lv7
水耐性Lv7 氷耐性Lv7 土耐性Lv7
状態異常耐性Lv6
コッキ 鬼人族
Lv 81/100
HP 8450/8450 MP 3260/3260
STR 8360
VIT 8240
DEX 7150
AGI 7130
SPD 6740
INT 5120
MND 5100
特殊スキル
剛体Lv8 吸血竜公の加護
所持スキル
気配感知Lv7 怪力Lv7 頑強Lv7
気操術Lv9 気闘法Lv9 縮地Lv6
剣術Lv9 こん棒術Lv2 体術Lv9
耐性スキル
麻痺耐性Lv7 毒耐性Lv7 物理耐性Lv8
結局、コッキは何が言いたかったのかは謎のままだ、聞いても「・・・・・・なんでもないです」としか言わないのだから仕方ない、頼りにしてるんだからしっかりしてくれよ?って言ったら少し元気になったようだが、なんで元気がなくなったのか原因がまったくわからん、シュキは何か思い当たる節があるようでニヤニヤしていたが、聞いても教えてくれなかった
シャッテンもシャッテンで「我は最初から認めておりますが、盾の役目は我です」等と意味のわからない事を言っていたし、ヴァニスもコッキを見て鼻で笑っていた
リオナに聞いても、微妙な困ったような笑顔で「私ではお答えできません」と言われるし
わかっていないのはどうやらおれだけみたいだけど、誰も理由を教えてくれないのはなんでだ?
コッキ「・・・・・・おれの見せ場は?前半のは一体なんだったんだ」
シゼル「かなり悩んだらしいよ?頑張ってバトルシーンをやるかどうか」
コッキ「悩んだ結果がこれですか・・・・・・」
シゼル「この小説に熱いバトルを期待するだけ無駄だ」
シュキ「なにせ、全員チートレベルですからね、勝負になりません」
シゼル「なお、墓守が回復魔法で簡単にやられた理由は次回説明入ります」




