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聖女の最後

なんか幕間っぽい感じになってしまいましたが幕間じゃありません

これを幕間にしてもよかったかもしれない・・・・・・

 聖女である私は誰かと会う時は何時だって相手と私の間には特殊な布が用意されている、私からは相手が見えるが相手からは私の姿は見ないようになっている、どうしてそんな事をしているのかは私にも解らない、教皇様よりそうせよと、言われたからとしか答えようがないのだ


 物心つく前に親に捨てられ教会に拾われて、教会にまで捨てられないよう私は必死に聖魔法や回復魔法等の習得と訓練を行い、神の教えと教皇様の言いつけをを忠実に守ってきた


 一、人を妬んではならない

 一、人を傷つけてはいけない

 一、人の物を盗んではいけない

 一、人を思いやり、慈しむべし

 

 もちろん他にも教えはあるが、教皇様の言いつけなどもあり全てを並べるときりがない、とにかく私はそれらの教えを忠実に守ってきた


 努力してきたおかげか、私の聖魔法はレベル8になっており4年程前に勇者召喚の巫女を務める事になった、その召喚で現れたのは茶色い髪をした利発そうな少女だった、勇者というのだからてっきり男性が召喚されると思っていたから唖然としてしまい、私は召喚に失敗してしまったのではないか心配してしまった


 結果として召喚は成功していたようだ、教皇様が彼女を鑑定し彼女に勇者のスキルがある事を確認したため、私は心底安心した


 そもそも何故巫女でしかない私が勇者召喚を行ったのかだが、数年前、不幸にも先代聖女様が村に巡業を行いに行った際、賊に襲われ命を落としてしまわれたからだ、そして聖女は勇者と共に魔王討伐を行うと決められていたが先代聖女様の御歳は50才、動けない程ではないが戦えるとはとても言えない、亡くなる前は多くの村に向えるほど元気ではなくなった事から一つの村に長く滞在されるようになっていたから賊から逃げれる程の体力がなかったのだろう


 この事を教皇様から聞いていた勇者は何か思う所があったのか厳しい顔をしていた、思えばこの時から彼女は気付いていたのかもしれない、教会、いや教皇の狂気について、彼女は事あるごとに私に教会以外に行く当てはあるのか、旅は平気か等と質問をしてきていたし、代々の聖女についても何か調べているようだった、当初勇者と共に旅をする予定だった聖女様がいないため勇者を召喚した張本人でもある私が魔王討伐に連れていかれるのかと思っていたがそうではなかった


 気付いたら彼女は自分の仲間は自分で探すと言って一人で旅に出てしまったのだ、まぁ、当時の私は教会以外に居場所はないし、旅なんて出来ないので行く気もないと彼女に告げていたし置いて行かれても仕方がないが、それからすぐだった、私が鑑定スキルが使えるようになったのは


 鑑定スキルが使えるようになった私は巫女から聖女になった、それ以来誰かと会う時は前述の布を前にしてしか会う事がなくなった、先代聖女様の時はこんな事していなかったのに何故私だけ?と思ったのだが、先代聖女様が襲われたのはその顔が広く知れ渡ってしまったから良くない者に襲われたのだと教皇様より説明を受けた、当時の私はそれで納得していたのだが、顔が知れ渡っても護衛がいればいいだけの事だ、なんのために冒険者や傭兵、教会騎士がいるのだろうか


 当時の私は聖女になったので教会に捨てられる事が完全になくなった事で安心してそのあたりの事をまったく疑問に思わなかったのだ、教会といえど無尽蔵に孤児を養えるわけではない、私のように聖魔法や回復魔法が使えなかった者、使えてもレベルが低い一定の年齢に達した者は教会所属の冒険者見習いとして登録され半ば強制的に独り立ちさせられるのだ、そういった者は荷物持ちやちょっとした回復要員として連れて行かされるが、戦闘訓練なぞ一度もした事がない者がいきなり冒険者についていってまともに戦えるわけがない

 

 もちろんいきなり危険な所へ行くわけではないが、連れていく冒険者も駆け出し冒険者、荷物持ちで回復魔法が少しは使えるとはいえ足手まといでしかない者を守りながら戦うなんて器用な事は出来ない以上、見捨てられるか囮に使われたかのどちらかだろう


 運よく、いい冒険者の仲間になれればそのまま冒険者として生活できるようになるが、そのような運のいい者は少ない、私が知っているのはラーセナル王国の聖女候補でAランク冒険者にまでなったフィリスという女性くらいだ、一度は捨てられたと言っても過言ではないのにAランクになった途端にラーセナル王国での聖女候補だとか持ち上げられたから私が知っているだけでもしかしたら生活出来ている者はもっといるのかもしれない、ただ彼女も最近になって命を落としたと聞いたのでAランクになったからといって安心は出来ないのだなと思った


 だが、結局のところ教皇様にとっては、聖魔法が使える者が何時死のうがどちらでもよかったのだろう、大事なのは死んだ者が聖魔法を使えるという事だけで、できれば聖魔法のレベルは高い方がいいといったくらいか、そして鑑定スキルが使えれば尚良し・・・・・・





 つまり何が言いたいかと言うと、私は現在、絶賛命の危機というやつだ、なにせ目隠しをされ、口を塞がれ、手足を縛られ、ご丁寧に魔法が使えないようになる腕輪までも着けられている状態だ


 

 私が殺される理由?聖魔法が使えて聖魔法のレベルも高い、鑑定スキルも使える、それだけだろう、なにせ私にはそれだけしか価値がないし、お優しい教皇様が最後に教えてくれたのだ





 「この世界と神のためにその身を捧げよ、そのために聖魔法を覚えさせ今まで育ててきたのだから、捨て子であった貴様をここまで育て一時とはいえ聖女にしてやったのだ、さらには神の供物となる栄誉まで与えてやるのだ、感謝してもらいたいぐらいだ、貴様が鑑定スキルを獲得したのは嬉しい誤算だったよ、おかげで当初の予想より貴様は良い供物となった」



 そんな事ならご自身が供物となればよろしいのでは?等と思った私は間違っていないはずだ、なにせ教皇様も聖魔法のレベルが高く鑑定スキルが使えるのだから、そもそも何故供物とならなければならないのか、私にはさっぱりだったがさすがにそんな事は教えてくれなかった


 そんなこんなで現在私は教会にいた私のお世話やお手伝いをしてくれていた子達と馬車に詰め込まれて何処かへ移送されているのだった、到着場所は一体何処になるのやら、そもそも私が死んだ理由はどうするのだろうか、唯でさえ軟禁状態で外に出た事がなかった私が先代様と同じように巡業先で死亡なんて通用するのだろうか・・・・・・


 それに聖女がそんなに命を落として大丈夫なのかしら、教皇様も鑑定スキルが使えるとはいえそんなに簡単に聖女が誕生するわけではないはずだ、そうだよね?あれ?でも先代様が亡くなってたった数年で私は鑑定スキルを獲得して聖女になったんだっけ



 もしかして鑑定スキルってある程度高いレベルの聖魔法が使えて教会に所属していれば誰でも使えるんじゃないだろうか・・・・・・もちろんそのある程度高いレベルの聖魔法が難しいのだろうけど、私はなぜか聖魔法とすごく相性がよかったからレベル8まで上がったけど、普通、レベル8になるには才能がある者の中でもさらに高い才能があり努力を続けた者だけが到達できると言われている、レベル8以上は英雄や超越者と呼ばれる一部の者が到達できるレベルだ


 ただ、それでも聖女ってそんなに大層な存在じゃない?むしろただの貴重な生贄要員?今から死ぬまさに生贄の私がそれに気づいても意味がないのだけれど


 考えてみれば私って聖女って柄じゃないのよね、捨てられないために教えや規律を守ってただけで、普通の子供達のように遊びたかったし、おめかしだってしたかった、お祭りの時は屋台で何か食べたかったし、年頃の女の子のように恋だってしたかった、そういったモノを教会にまで捨てられないため、ただそれだけのために我慢していた


 そもそも聖女らしい仕事って一度もした事がないのよ、日々、布の向こうの人を鑑定していただけの毎日だったし、もしかして先代様がほとんど巡業に出て教会に居なかった理由って・・・・・・戻ってきてもすぐに巡業に出ていたし、しかも教皇様には何処に行くかは後から手紙が届いていたから追いかけてもその場所についた時にはもう別の場所に向かっていたり、気付いていたのでしょうね


 ちなみに先代聖女様の時は先代様は巡業先で求められれば相手を鑑定――もちろん無料で――していらしたのですが、先代様がいない当教会では教皇様がお布施をした方にのみに鑑定をしておりました、しかも私は知りませんがお布施には最低金額なるものが設定されていたらしいです、さすが教皇、汚い


 はぁ、どうして死ぬ直前になって色々な事に気付いてしまうのでしょうか、勇者である彼女が調べていた代々聖女達の事、先代様が行方を掴まれないようにしていた事、レベルが低いとはいえ聖魔法や回復魔法が使える者達が半ば強制的に冒険者をさせられていた事、よく考えればおかしい事に気付くはずなのに、私が馬鹿だった、それだけの事なのでしょう、所詮は生まれもわからない捨て子ですしね


 ある意味捨て子にしてはいい人生だったのではないでしょうか、私が聖女だとは誰にもわかってませんでしたが聖女として生活できましたし、軟禁状態で、生活環境も巫女や拾われた時と違いはありませんでしたけど、あれ?いい事なんて一つも無かった、もしかして生きていられただけで人生の運を使い果たしてしまいましたか?


 はぁ、来世ではもっと良い人生が得られますように、供物となるのだからそれくらいは約束してくれませんか?ねぇ、神様







 そして私の人生の終着点にどうやら馬車が着いたようだ、なにやら外が騒がしくしている、耳は塞がれていないので辛うじて聞こえてきた話はとんでもない話だった


 曰く、聖女である私は賊に攫われて国境付近のカリベナという村まで連れていかれベルセディア山脈で始末されるはずだったが村の住人が馬車の異変に気付き、賊は証拠隠滅のために馬車と村に火を放ち逃亡するというシナリオらしい、ちなみに賊の正体は魔族という設定のようだ、鑑定スキルを持ち聖魔法を使う聖女が邪魔で、どうやってか方法は不明だが結界を越えてきた事になるとの事


 これを教皇様が考えたのだとしたらまったくの無関係な村を巻き込むなと言いたい、しかもなんだ魔族って普段から結界は壊れる事はない、安全だとか言っておきながら、方法は不明だが結界を越えて魔族がやって来たとか、何を考えているのだろうか


 そして果たして魔族を見た事がある人間はどれくらいいるのだろうか、いたとしてもきっとその人は生きていないだろう


 なにせ結界が何時からあるのかもわかっていないのだ、魔族が確認されたのも結界が出来た前だろうから一体何百年前の話なのだろうか、いや数千年は前なのか?


 いつからあるのかわからない、仕組みもよくわかっていない結界を真似して作られたと言う何時からあるのかよくわからない結界をよく維持出来ているものだ、よくわからないものがよくわからないけれど、なんとなく使えてますって状態、これが神の奇跡なのだろうか・・・・・・


 

 あぁ、鑑定スキルもいりません、聖魔法も使えなくなって構いませんので命だけは助けてくれませんか?だめですか、そうですか、仕方ありませんね







 なんて言うと思ったかこの糞野郎!!神のくせに供物なんて要求してんじゃねぇよ!!こちとら生まれた時からお前の恩恵なんざ受けた事もないんだ!!教会に拾ってやっただろって?ふざけるな!!碌に飯もくれないくせに偉そうにするなよ!!くたばれ屑野郎!!







 とか言いましたけど嘘です、ごめんなさい、だからそんな猛毒っぽい液体を飲まそうとしないで下さい、死んでしまいます、え?飲めば直ぐに楽になるって?絶対嘘でしょ?そんな色じゃないですよ?それ飲んだら絶対苦しむタイプですって・・・・・・あぁ、でもか弱く手足を縛られている私に抵抗なんて出来るわけもなく、飲みたくもない猛毒を飲まされてしまう、これで私の人生も終わりか・・・・・・




 猛毒を飲まされた感想としては、楽になるなんて嘘だった、すっっっっっっっごく苦しみました、私が毒を飲んでのたうち回ってる間に男達は去って行きました、せめて楽に殺してくれてもいいじゃない




 しかも悲しいことに、早く楽になりたいのに私はここにきて毒耐性なんてものを獲得してしまい、耐えてしまっていたのですが、それが私に幸運を運んできました、そう、結局私の命は無くなったけど、新しい生を与えてくれた愛しの我が君が現れたのです


 神様はいたとしてもろくでもない屑野郎でその神に仕えてる教皇は吐きそうな程の下種野郎でさすがの私も元からあまりもってなかった信仰心が無くなり、むしろ下限を突破してダダ下がりですが、私は新たな主を見つけたのです、私は今後永遠に変わる事のない忠誠と信仰を我が君に捧げるでしょう


 例え我が君が世界中の敵になろうとも、例え我が君が神と敵対しようとも――むしろ是非とも神と敵対して頂きたい、その際には私は全力で神をぶっ飛ばしますよ――我が君がどのような存在になったとしても、私は御側に仕えさせていただきます



 愛しの我が君・・・・・・シゼル・ベルンフォルン様

シュキ「また女が増えるんですか、しかも話し方が私とかぶってる^^#」

シゼル「作者が話し方でわかるように当初はシュキ達に語尾とか進化したら話し方をガラッと変えようか迷ったらしい」

シュキ「なんて語尾なんですか?」

コッキ「ゴブリン時代はゴブで鬼人になったら俺は某でござる口調」

シゼル「シュキはゴブリン時代は~ですぅで鬼人になったら妾」

シュキ「ありえない^^#」

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