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竜神と魔王

なんか長くなってしまった気がする








 この場所に来るのは何時以来じゃろうか・・・・・・最初の勇者が現れて魔神を封印した時に来ただけじゃから100年いや、1000年以上前になるのか?もっと前じゃったか?長く生きておると昔の事はすぐ忘れてしまうから困ったものじゃ


 人間達が始まりの洞窟と呼ぶ場所、人間達では辿り着けぬ洞窟の奥、そこにそやつはおった




 「久しいのぅ、元気じゃったか?」


 「あらあら、白竜神がこんな所になんの用かしら?」


 「用がなくては友に会いに来てはいかぬのか?」


 「今まで来なかった薄情な友が何を言ってるのやら」


 「むぅ・・・・・・それは済まぬとは思うが、それよりもお主何時まで蝙蝠の姿でおるのじゃ?」


 「それよりもって、はぁ、まぁいいけど、私は蝙蝠よ?蝙蝠が蝙蝠の姿でいて何が悪いの」


 「蝙蝠の前にお主は魔王じゃろうが、我と同様、創造の女神に2つの姿を与えられた創世の存在が何を言っておる」


 「残念、今の私は唯のマザー・バットよ、魔王はゲリグラが引き継いでるわ」


 「魔王が死なぬ限り魔王の代替わりはない、ゲリグラなぞ偽の魔王でしかないそんな事も忘れたか?」


 「あぁ、はいはい、わかったわよ、わかったからあんまり五月蠅くしないで頂戴、洞窟だから響くのよ、人間に聞かれたらどうするつもり?」


 「じゃったら最初から姿を変えておればよいのじゃ」


 「はぁ、まったく」


 

 それは我のセリフじゃ、さっさともう一つの姿、魔王の姿になっておればよかったのだ


 そして我の目の前に姿を現したのは、金の髪に捻じれた2本の角を持ち漆黒のドレスを着た、腹の立つスタイルをした女じゃった、夜に人気のない路地裏なんぞに手招きされたらそこら辺の男はホイホイついていきそうな妖艶な姿はいつ見ても腹が立つのじゃ、あんな脂肪の塊の何がいいのじゃ・・・・・・



 「改めて言おう、久しいな我が友、魔王ラミリアよ」


 「久しぶりね、白竜神ラーナ」



 挨拶を終えるとラミリアは空間からテーブルと椅子を2脚取り出し、テーブルの上には茶菓子とお茶が用意された、こやつは昔からこうじゃったな、なんというか魔王のくせに無駄に優雅なひと時を過ごそうとするのじゃ、そしてそれが妙に似合ってるから余計に腹が立つ、肩が凝るとか重いと言うのなら我に寄越すがいい!!



 「立ってないで座ってお茶でも飲んだら?話があるんでしょう?」


 「う、うむ、では馳走になろう」


 

 ふぅ、なんというか、相変わらずこやつの出すお茶は美味いのぅ・・・・・・



 「お茶が美味しいのはわかるけど、用件は何なの?」


 「あ?あぁ、そうじゃったな、用件も何もお主の息子の事じゃよ」


 「私の子供なら洞窟内を好き勝手飛んでるでしょう?」


 「とぼけるでない、シゼルの事じゃ」


 「知らないっつーの、誰よシゼルって」


 「いや、お主の子供じゃろう?お主の事をマザーと呼んでおったぞ?」


 「マザー?あ・・・・・・あぁ、あの子かしら?今はシゼルと名乗ってるの?」


 「あの子というのがシゼルの事か我にはわからぬのだが?」


 「ヴァンパイア・バットの事でしょ?」


 「我が最初に会った時はヴァンパイア・インプじゃったが、確か最初はヴァンパイア・バットと言っておったかのぅ?」


 「なら、その子で間違いないわよ、ヴァンパイア・バットはその子以外産まれてないから、それでその子、シゼルがどうかしたの?」


 「どうしたもこうしたもないわ、あやつ、オリジン・ヴァンパイアに進化したのじゃぞ?」


 「へぇー、それがどうかした?」


 「本気で言っておるのか?それとも我を馬鹿にしておるのか?」


 「馬鹿にはしてないけど、本気で言ってるわよ?」


 「忘れたのか?オリジン・ヴァンパイアは女神が直接創造した存在じゃ、そしてそれは自然に生まれるモノではない、世界にたった1人、後にも先にもそれは変わらぬ」


 「そうね、確かにラーナの言う通りよ?だけど、魔王は死ねば代替わりで新たな魔王が誕生する、それは白竜神である貴方も変わらないと思うけど?世界にたった1人、それは同時に2人は存在出来ないというだけの事じゃなくて?」


 「つまり、シゼルも代替わりでオリジン・ヴァンパイアに進化したと言いたいのか?だとしら随分と時間のかかる代替わりじゃな?最初が死んでどれくらい経っておると思っておるのじゃ?」


 「そんな事私に言われてもね?この世界を創ったのも代替わりの仕組みを考えたのも創造の女神よ?聞く相手を間違えているのではなくて?」


 「聞けるのであれば聞いておるわ!!一番詳しいのはお主じゃろう?」


 「私は詳しくなんてないわよ?一緒にいたからって勘違いしないで頂戴」


 「むぅ・・・・・・ならばその事はもうよい、お主何を考えておる?」


 「・・・・・・聞きたい事があるならちゃんと質問してほしいのだけれど?」


 「シゼルの事じゃ、何を考えて碌な知識も与えずに旅に出したのじゃ?何の意味もなくお主がそのような事をするとは思えぬ、まだ夢物語を諦めておらぬのか?」


 「・・・・・・知識を与えなかったのではないわ、与える暇がなかったのよ」


 「どういう事じゃ?」


 「ラーナはあの子の魔法を見た事があるかしら?」


 「あぁ、見た事はあるが、それがなんじゃ?」


 「あの子の魔法どう思った?」


 「どうと言われてものぅ、シゼルの魔法は我等が使うよりもなんというか洗練されておるのぅ、少量の魔力であれほどの威力を出せるのは驚いた」


 「あの子が異世界からの転生者って事は知ってるの?」


 「うむ、本人からそう聞いておる」


 「あの子の魔法って多分、異世界の知識で私たちよりも、もっと明確にイメージできているからあの威力なんじゃないかしら、ここにいる時に科学が~って言ってたのよ、私にはさっぱり理解できなかったけど」


 「ふむ、それでシゼルの魔法は他とは少し違うと、じゃがそれが知識を与えぬ理由か?」


 「あの子ね、私がレッサー・ミニバットを産んでいる場所で魔法やスキルの練習をしてたのよ、わかる?もしあの子の魔法に生まれたばかりの子達が巻き込まれてみなさい?死ぬわよ?巻き込まれなくてもよ?もしあの子に何も知らない生まれたばかりの子達が襲い掛かってみなさい?返り討ちよ?生まれた子達が無事に何処かに行くまで、ちょっと洞窟や森の中や、遠くても森からちょっと出るくらいでしょ?そんな感じで探検してきなさいって感じで旅に出ろって言っただけなのに、即座に飛んで行って行方がわからなくなったあの子にどうやって知識を与えるのよ」




 「あ、うむ、なんか済まん」



 一気に捲し立てられるとは思わなんだ・・・・・・、ラミリアはこれでも面倒見の良い奴じゃから結構シゼルの事を気にしておったのかもしれぬな


 



 「はぁ、まさかあの子がラーナと会ってるなんて、どうやったら予想できるのよ、飛び出して行って数日は森の中にいたみたいだけど、すぐわからなくなったのよね、まさか、洞窟から出てすぐ進化したのかしら・・・・・・」


 「あぁ、シュキ達、シゼルと共に旅をしておる者達に聞いた話では出会ってすぐにヴァンパイア・インプに進化したようじゃな」


 「はぁ、うん、あの子は規格外だとは思っていたけど、そんなに早く進化してたのね、それより一緒に旅してる子達がいるの?」


 「うむ、今は鬼人に進化しておるが進化前はホブゴブリンとゴブリナじゃったな」


 「その子達も十分規格外みたいね、ホブゴブリンとゴブリナが鬼人に進化なんて、ふーん、あの子の旅仲間に女の子がいるのね、その子可愛いの?」


 「そうじゃのぅ、まぁ、美人と言えるじゃろうな、胸はお主の方がでかいようじゃが、なんじゃ母として気になるのか?」


 「まぁねぇ?・・・・・・って、ねぇラーナ?貴方スキルが1つ増えてない?」


 「・・・・・・なんの事じゃ?」


 「とぼけないで、何よシゼルの婚約者って、そのスキルが出てるって事は婚約の儀をしたのでしょう?シゼルがそんなの知ってるとは思えないし、まさか貴方・・・・・・」


 「待て待て、これには深い理由があってだな・・・・・・」



 とりあえず、こうなった理由をラミリアに話してみたのじゃが、返って来た答えは当然のものじゃった



 「言葉の意味を教えて別の名を送らせればよかったでしょう?何そのままにして婚約の儀をしてるのよ、貴方馬鹿じゃないの?今からでも遅くはないわ、婚約解消しましょう」


 「待て待て、なぜそうなるのじゃ、別に解消せずともよかろう、このまま黙っておればシゼルは気付かぬのじゃから」


 「・・・・・・シゼルは進化してオリジン・ヴァンパイアになったのよね?」


 「・・・・・・そうじゃな」


 「どんな姿になったの?」


 「お主、我が見た目で相手を選ぶと思っておるのか?馬鹿にするでないぞ」


 「そう、なら見た目は別に好みってわけじゃないのかしら、それともすごく不細工だった?」


 「いや、銀髪で整った顔をしておる、あれは街に行けば女達が寄ってくるであろうな、何よりあの黄金の瞳に見られるとなんというかのぅ・・・・・・」


  

 そう、あの瞳に見られるとなんというか落ち着かないんじゃが、心は落ち着いているという不思議な状態になってしまうのじゃ・・・・・・、すごく、こう抱きしめたくなるというか・・・・・・我は何を考えておるのじゃ



 「つまりはかなり好みなのね?やっぱり解消しましょう!」


 「なぜそんなにも解消させたがるのじゃ!」


 「だって、私はずっと一人身なのにラーナだけずるいじゃない!だったら私もシゼルと婚約するわ!」


 「いやいやいや、お主は母でシゼルは子じゃろうが!!」


 「本当に私が産んだのかわからないからセーフよ!」


 「意味わからんわ!!」



 はぁはぁはぁ、突然こやつは何を言い出すのじゃ・・・・・・、すでにシゼルは我の婚約者じゃというのに、というより産んだかわからないとはどういう事じゃ・・・・・・



 「ラミリアよ、産んだかわからないとはどういう事じゃ」


 「そのままの意味よ、あの子は私の出産場所に何時の間にかいたのよ」 


 「何時の間にかって、お主が気付かなかったのか?」


 「えぇ、でも出産場所にいるのだから私の子だろうって少し面倒を見てたのよ、そしたら随分とまぁ、規格外な子だったわ」


 「お主も鑑定の使える存在じゃ、故に知っておったな?シゼルのスキルの効果を」


 「強奪する吸血の事かしら?」


 「そうじゃ、今は吸血竜公(ドラクル)というスキルになっておるがのぅ」


 「スキルが変化したの?びっくり箱みたいな子ね」



 そのびっくり箱は一応お主の子なのじゃが・・・・・・



 「まぁ、効果は知ってたはよ、でもあの子鑑定阻害の特性持ってるから私が見れたのは強奪する吸血と他のいくつかのスキルだけよ、ステータスの値はみれなかったわ」


 「我には強奪する吸血は見れなかったので、予想でしかないのじゃが、あやつ、相手のスキルとステータスを奪えるのじゃろう?」


 「そうね、正確には、スキルは相手が生者だろうが死者だろうが奪えるけど、ステータスは相手が死者じゃないと奪えないようになってるわ、それと、血液や体液が吸えない相手にはこのスキルは通用しないわ、スライム系は体ごと吸えば効果を発揮するみたいだけど、スケルトン系には意味ないでしょうね、スキルが変化したなら今も同じかはわからないけれど」



 だいたい予想通りの効果じゃったな、ステータスを奪えるのは死者限定とは思わなかったが、いや、生者からも奪えたらそれはそれで恐ろしいスキルじゃな・・・・・・


 せっかくなので、吸血竜公の加護と吸血竜公の影というスキルがある事とついでに影の竜王(シャッテンドラッツェ)の事も教えてやったらラミリアはかなり驚いておった、ラミリアがあんな口を開けて呆然としておる顔が見れるとは、いや、いいものが見れた



 「なんなのよ、あの子は、竜を生み出すなんて・・・・・・それに、シュキちゃんとコッキ君だっけ?彼等も規格外だとは思ったけどそれもシゼルの影響なのね・・・・・・」


 「じゃからこそ、我は聞きたいのだ、お主はあの夢物語を、異世界からの転生者であり、いずれは我等に匹敵、いや、我等でさえ敵わぬ存在になるであろうシゼルを使って、お主は創造の女神の夢物語を叶えようとしておるのではないか?」 



 創造の女神の夢物語、魔族も亜人も妖精族も人間も、全ての種族が共存する世界、それが創造の女神が創ろうと、いや、この世界に住む者達に創ってほしかった世界


 そんなもの夢物語でしかないがのぅ、種族が違うのじゃ分かり合うのは難しい、同じ種族同士でも争うというのに、異種族同士がどうやって共存できるというのか・・・・・・そんなに共存を望むなら初めから世界をそう創ればよかったのじゃ、まぁ、それでは意味がないという事はわかるのじゃがな・・・・・・


 ぶつかり、衝突しながらも共存のためにお互いがお互いの事を考えて、世界を創っていく、最初からそれを与えられては成長も何もない、すべては世界に住む者達が成長出来るようにと、女神によって創られた


 まぁ、その結果が今の世界なのじゃがな・・・・・・女神を良く思わなかった者に女神は堕とされ魔神となり、最初の勇者に魔王もろとも封印されておる、封印した勇者も無事とは言えぬが・・・・・・


 ラミリアも引き篭もりたくて洞窟に引き篭もっているわけではない、勇者の封印、それがラミリアをこの洞窟に縛りつけておる原因、いや縛りつけておらんと当時はこやつ何をするかわからなかったからのぅ



 「そんな事は考えていない、と言ったら嘘になるわね、といっても本気で考えてるわけじゃないわ、本気で考えてるならこの世界の知識をちゃんと教えてるわよ、あの子が何の説明も聞かずに飛び出して行った時から、あの子は好きに生きるべきと考えてるわ、元よりこの世界の事はあの子には関係のない事よ、こちらの事情に巻き込む事は出来ないわ」


 「そうか・・・・・・ならば、よいのだ、余計な事をしてもし、あやつが出て来たら、今度こそお主達は危ない、次も我が庇えるとは限らぬ」


 「わかってるわ、ラーナが庇ってくれたから私達は封印されただけで済んでるのだから、馬鹿な事はしないわよ・・・・・・」


 「創造の女神も面倒な存在を創ったものだな・・・・・・自身の代行をさせるためとはいえ、我等では太刀打ちできぬ存在等・・・・・・」


 「仕方ないでしょ、そういった存在は必要なのだから、それより、あんまり長くここにいるのも不味いんじゃなくて?」


 「そうじゃな・・・・・・名残惜しいが、そろそろ行くとしよう」


 「何処に行くの?シゼルの所?」


 「違うわ!暗黒大陸じゃ!壊さぬよう結界を抜けれるようになったからのぅ、ゲリグラの様子でも見て、必要なら食料でも渡してやろうと思ってな」


 「そう、それは助かるわ、ゲリグラの事よろしくね?あと魔神代行のグリアギスの事も」


 「うむ、まかされよう」


 「それと、ラーナはシゼルが鑑定スキル持ってないから婚約の事はバレないと思ってるみたいだけど、あの子鑑定スキルになんか執着してるから絶対手に入れるわよ、バレたくないなら聖王国には近づけさせない事ね」


 「フハハ!鑑定スキルを持っておるのは今のところ4年前に召喚された勇者だけじゃろう?ならば心配いらぬではないか」


 「その4年前に勇者を召喚した巫女が鑑定スキルを手に入れて聖女になったの知らないの?冒険者の間では鑑定の時もその他の時も一切姿を見せない聖王国の謎の聖女って有名よ?」


 「なんじゃと!!それを早く言わぬか!!シゼル達は聖王国へ行くと言っておったのだぞ!!」




 不味い!!なんというか非常に不味い!!我の勘が、女の勘が告げておる、シゼルは絶対に聖女に会うと!!そしてその聖女に会わせてはだめだと、女としての勘が告げておる!!




 会えばあやつは絶対に鑑定スキルを手に入れるじゃろう・・・・・・どのような経緯で手に入れるかはわからぬが、何故かシゼルは絶対に鑑定スキルを手に入れる気がするのじゃ!




 どうする!?邪魔をするべきか!?じゃが今から行って間に合うのか!?えぇい、考えておる暇はない!とにかく聖王国へ急ぐのじゃ!!



 

シゼル「まさかマザーが魔王だったなんて!」

ラミリア「一応元だけどね、暗黒大陸に魔王いるし」

ラーナ「じゃが、真の魔王はお主じゃろうが」



コッキ「どうでもいいけど、魔王に規格外って言われる魔王の息子ってどうなのよ」

シュキ「私たちも言われましたけどね」

コッキ「それもシゼル様のせいなんだけど・・・・・・」

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