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幕間:白竜神

ラーナ視点となります、この幕間で大事な事が判明します






 初めてシゼルを見た時は驚いた、なにせ生まれ持って鑑定阻害の特性を持つ極めて珍しいヴァンパイア・インプだったからじゃ、白竜神たる我が鑑定しても種族名といくつかのスキルしか見えぬとは思わなんだ、ステータスに関してはまったく見えなかったからのぅ


 暗黒大陸との国境に結界が張られて以降、我は一度も様子を見に行った事がなかったから見に行こうと思い、ちょっと無理矢理結界をこじ開けて通っただけじゃったが暗黒大陸から戻ってきたらどうも我が通った後から蜘蛛の魔物――デュロス・クイーン・スパイダーと言うのじゃが――が入り込んでしまい、ベルセディア山脈に住むリザードマン達に迷惑をかけてしまった


 我の責任でもあるしリザードマン達でどうにも出来なかったらリザードマン達が滅びる前に我が始末しようと思ってリザードマン達に紛れ込んだのじゃ


 我の正体がバレぬように村に入った後は隠密を使い目立たぬように村の長についてまわっておったのじゃが、しばらくするとベルセディア山脈にまたもや、見慣れぬ奴らが入ってきたではないか、まぁ、そ奴らがシゼル達じゃったのじゃが


 いやぁ、鑑定が阻害された事にも驚いたが、シゼル達を見てこれならば我が力を貸す必要はないかも知れぬと思ったのじゃ、なにせシュキは火魔法を使えるし、シゼルは回復魔法、コッキは盾としても使える、蜘蛛と戦うのに難儀しておったリザードマン達にとっては助けとなる存在じゃった、族長のデルツもそれに気付いてからしばらくシゼル達を観察して、頃合いをみて話を持ち掛けたのじゃが、シゼルの力があれほどとはさすがの我も予想外じゃったな


 デュロス・クイーン・スパイダー、長いのでシゼル達が親蜘蛛と呼んでおったのでそう呼ぶが、親蜘蛛との闘いはなんというか我から見たら何故そのような戦い方をしておるのか疑問じゃった


 ステータスは見えぬが、シゼルのステータスがそこら辺の蜘蛛を越えておるのはわかるし、親蜘蛛と比べても負けてはおらぬだろう、そのシゼルの力を持ってすれば火魔法でも風魔法でも最大で放てば他の蜘蛛達くらい簡単に一掃できたと思うのじゃが、どうゆうわけかコッキや他のリザードマン達の支援ばかりでシゼルはなかなか攻撃に転じなかった、恐らく我以外でこの中でもっとも威力のある攻撃が出来るのはシゼルじゃろうにその本人が回復ばかりしておっては次第に押されてしまうのは仕方のない事じゃろう


 見たところシュキやコッキもステータスはホブゴブリンやゴブリナにしては高い方じゃが蜘蛛と同等、親蜘蛛には敵わぬし、リザードマン達も火が吐ければまだよかったのじゃが、相性が悪かったとしか言えぬ


 次第に劣勢になり始めた所でようやっとシゼルが攻撃に移る気になったようじゃが、あやつが行ったのはまさかの暗黒魔法じゃった、暗黒魔法は過去、たった一人しか使えなかった魔法なのじゃがシゼルはそれを平然と使い、あまつさえありえないモノを創りだしてしまった




 我も長い時を生きてきたが目の前で竜を生み出されたのは初めての事じゃ




 シゼルは己の影を媒体に自身の持つ魔力の大半、そして本人は気付いておらぬようじゃがベルセディア山脈の濃ゆい魔素を魔力操作でかき集め、それをさらに高純度の魔力に変換して注ぎ込んでおった


 魔素の集まる所では不定形の魔物、スライム等が生まれるのは知っておったが、まさか竜を生み出そうとするとは・・・・・・しかし不定形の魔物は生まれても竜という強大な力を持つ形あるものを生み出すのは無理じゃろう、そう思っておったのじゃが


 シゼルが生み出そうとしておる竜、その竜が我の存在に気付き我の魔力を奪っていきおった、我はこれにも驚かされた、我の魔力を何の抵抗もなくやすやすと奪っていくなど、油断したわけではないが・・・・・・まるで当たり前だと言わんばかりに持っていかれてしまったのじゃ、むしろ我の方から(・・・・・)魔力を渡した(・・・・・・)と勘違いしてしまう程、あっさりと持っていかれたのじゃ


 そうして白竜神たる我の魔力を核として、そやつ、影の竜王(シャッテンドラッツェ)は生み出されてしまった


 そこからはもう一方的じゃったな、攻撃に転じたシゼルが無数に放つ炎の剣と両手に持つ氷の剣は凄まじいものじゃった、炎の剣に斬られた所は火が自然に消える事はなく消さぬ限り傷口から体が燃え続け、氷の剣に斬られた所は凍りつき、しかも少しづつ傷口から氷が体を侵食しておった、じゃが氷を砕こうものなら凍ったヵ所ごと砕けてしまい傷口は広がる一方じゃった、被害を少なくするには斬られないか斬られてもすぐ氷を砕くか、飛んでくる炎の剣で溶かすかぐらいじゃろうか、炎の剣で溶かした場合はその後に傷口が燃えてしまうが、凍って傷口が広がるのと傷口が燃えるはどっちがましなのじゃろうか・・・・・・


 周りの蜘蛛もシャッテンが一方的に、その、なんじゃ、喰っておった、時には口から火を吐いたり、踏みつぶしたりしておったが基本は喰っておったが、数は確実に減っておったし、シュキやコッキもやる気を出して頑張っておったのぅ


 しかしじゃ、炎の剣や氷の剣の威力は凄かったが、正直魔力を無駄使いしておるだけにしか見えなかった、そんな事に魔力を使うのであれば最大威力で魔法を放てばよいのじゃ、何故シゼルはそんな傍から見たら苦戦しておるかのような戦い方をするのじゃろうか?ステータスは見えずとも親蜘蛛には負けておらぬし、むしろ勝っておるかもしれぬステータスのはずじゃが・・・・・・



 そうか、我は鑑定スキルがある故にわかるが他の者は持っておらんかったな・・・・・・、もし、シゼルが己のステータスを低く見ておったら?死なぬために慎重になっておるのか?自身の持つもっとも強い魔法に対して相手が耐性を持っておると考えている?そう考えると納得できる・・・・・・か?



 そう考えておったのじゃが、我はさっきまでの考えをきっぱりと捨てる事にした、なにせシゼルは炎の剣を無数に出しながら、氷の剣が欠けたら修復しながら、風魔法で自身のスピードをさらに速くしながら、すでに同時に3種類の魔法を行使しておるというのにシゼルはさらに魔法をいくつか使おうとしておった


 追加で使おうとしておる魔法がどれだけ危険か我にもわかったが、どうやら親蜘蛛もその危険度に気付いたらしくなんとか妨害しようとしておったが、シゼルがその魔法を完成させる方が早かった


 はっきりいってあれは異常じゃ、我ですらあんな魔法は見た事がない、通常炎とは赤いもなのじゃが、あのような闇の色をした炎など初めて見たのじゃ、その威力も馬鹿げておったがのぅ、我でもあれをくらえばただでは済まぬかもしれぬ・・・・・・


 親蜘蛛にも意地があったのかなんとか原型は止めておったが、それだけじゃったな、シゼルはというとあの黒い炎はかなり魔力を消費したらしく魔力切れで意識を失っておった、いやはやシゼル達ならば力になるとおもったがこれほどとはのぅ、本来ならば我が行う事を代わりにやってくれたのじゃ、それなりの褒美はせねばなるまい




 そう考えていた我を殴り飛ばしたいのじゃ・・・・・・シゼルが目を覚ましもうすぐ進化出来ると言っておったから山頂にてレベル上げをして来ては?とデルツが提案し、我が褒美を与えるために案内役を勝って出たのじゃが、それがよもやこんな事になろうとは・・・・・・


 我の加護を与えたまではいい、その後気をよくした我はシゼルに名を与えシゼルにも我に名を与えるよう言ってしもうた・・・・・・普通なら互いに名を送りあうだけの事なのじゃが、シゼルが我に送った名はレンディアント、古代語で愛するものという意味のある言葉、これは言葉の意味の通り愛するものに送る言葉であって大昔の婚約の儀で使う言葉じゃ・・・・・・、これに対して我が送ったのはベルンフォルン(私のもの)


 レンディアント(愛するもの)ベルンフォルン(私のもの)、これで婚約の儀は成る、成ってしまった、ベルンフォルン(私のもの)の名を送らなければよかったし、シゼルに言葉の意味を教えて別の名を考えさせればよかったのじゃが、なぜか我は言葉の意味を黙ったままベルンフォルン(私のもの)を送ってしまった・・・・・・白竜神がインプと婚約、狂ったと思われても仕方なかろうな・・・・・・


 我自身を鑑定してみて特殊スキルの所には。シゼルの婚約者としっかりとあった・・・・・・おそらくシゼルの特殊スキルにはラーナの婚約者とでておるじゃろう、このスキルの効果は我にも詳しくはわからぬ、わかっておるのは婚約者との絆が強ければ強い程スキルの効果が高まるという事だけで詳しい効果は不明なのじゃ


 婚約等破棄すればいいと思っておったのじゃが、進化したシゼルを見てこのままでもいいかなと思ってしまったのじゃ、別に見た目が好みだとか、決してそんな理由ではないぞ!!


 ただ、進化したシゼルを見た瞬間、なんだか懐かしい気持ちがして、ふと、また、会えた(・・・・・・)、そう思ったのじゃ、またも何も今まで会っておったというのに我は何を考えておるのだ・・・・・・



 進化し目覚めたシゼルに目覚めるのに1週間程時間が経っている事や、我が見つけた迷い人の事、武器や服の事など話をして、シゼルがオリジン・ヴァンパイアに進化した事を伝え、迷い人の血を吸いたいと言い出したので許可を出した


 なんでも我が与えた加護とシゼルが持っておったスキルが統合されて吸血竜公というスキルになったと言い出したが、我の加護は確りとシゼルに与えられておる事を伝えてやると統合されたスキルも残っているか確かめたいそうじゃ、なんでも血を吸った相手のスキルが奪えるという、じゃから我の血を吸わせろと言っておったのか


 じゃが、シゼルはスキルが奪えると言っておったがどうもそれだけではないようじゃ、スキルは確かに奪えておった、血を吸われた相手からはそのスキルが消えておったからのぅ、しかしじゃ、消えたのはスキルだけではなかった、いや、消えたというのは語弊があるが


 血を吸われる前は確かに600前後のステータスじゃったのに血を吸われた後はステータスが100前後にまで下がっておったのじゃ、これは血を吸われた3人共同じ事が起きておった


 こやつ、スキルだけでなく相手のステータスまで奪っておるのではなかろうな?だとしたらシゼルは血を吸えば吸う程ステータスが強化されるという事か?


 そして吸血竜公の加護をもつシュキとコッキ、吸血竜公の影を持つ影の竜王(シャッテンドラッツェ)、こやつらのステータスも同様に強化される事になる


 フフフ、これは面白くなりそうじゃ・・・・・・、しかもシュキ達にシゼルの事を眠っておる間に少しは聞いていたが、シゼルからも話を聞いて間違いない、碌な知識も与えずにシゼルを世に解き放ったのは始まりの洞窟に引き篭もっておるあやつじゃ・・・・・・一体何を考えてこのような事をしたのやら


 まさか、まだ諦めておらぬというのじゃろうか・・・・・・、異世界人で魔物に転生したシゼルなら夢物語を実現できるとでも思っておるのじゃろうか、じゃがそれ以外にもあやつには確かめねばならぬ事もある、これは会いにゆかねばなるまいな・・・・・・





 待っておれよ、我が友、魔王ラミリアよ!



シュキ「自分がメインヒロインだと思ってたのに!!」

ラーナ「残念、我でした!!」

シュキ「あんなの無効よ無効!!」

ラーナ「(*´з`)~♪」



※古代語に関しては作者が適当に思いついただけなので深い意味はまったくありません

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