迷い人
なんだか投稿する時間が遅くなってきている・・・・・・なんとかしなければ
「おれは進化に1週間も時間かかってたのか?」
「正確には3日程じゃな、3日程でお主が突然闇の塊からでてきおった、目を覚まさぬが特におかしな所もなかったゆえ寝かせておったのじゃ」
「そうか・・・・・・まぁ、こうやって目を覚ましたし、シュキ達に会いに行くか」
「それがようかろう、じゃがその前にお主の武器や防具を選びに行くか」
「そういや、そんな事言ってたな、あれ?おれが今着てるこの服は?」
「出てきた時に何も着ておらぬかったから適当に着せただけじゃ」
「・・・・・・誰が?」
「コッキじゃ」
そっか、よかった・・・・・・のかな・・・・・・
「シュキが着せたがっておったが男同士の方がよかろうと思ってな」
「そっか・・・・・・助かった」
なにが助かったのかはわからんが、この年になって女の子に服を着せてもらうとかは勘弁してほしい
「あぁ、今更なんだがここは何処なんだ?なんか洞窟っぽいけど」
何処にいるかよりも現状把握の方が気になってまったく気にしてなかったけど、おれは山頂付近にいたはずなんだけど、近くに洞窟なんてあったのか?
「うむ、ここは無謀にもベルセディア山脈を越えようとして命を落としていった闇商人や裏社会の人間達が残していった物を置いておくための洞窟じゃな、山頂の近くに入り口があっての、普段は我の魔力で隠して居るのじゃ」
「なんでそんなもん保管してんだよ」
「何時か仲間が取りに来るかもしれぬじゃろ?まぁ、もう我の物じゃから返す気はないのじゃが」
「なんだそりゃ、ラーナには不要なもんばかりだろうに」
「そうなんじゃが、ほれ、このように人の姿にもなるからのぅ、服とか必要じゃろ?」
「そうかい、んじゃ、その保管場所に行くとするか・・・・・・」
「うむ、シュキ達も心配しとるからな、ほれはよぅどかぬか」
うーむ、なんか膝枕が心地よすぎて動きたくない・・・・・・、膝枕ってこんなに心地いいものだったのか
「なんか膝枕が心地良くて動きたくない」
「はぁ?いいからはよぅ動かぬか」
「だが、断る!!」
「・・・・・・膝枕くらい何時でもしてやるから今は動くのじゃ、ほれほれ、はよぅ動け」
そう言っておれの頭をぽんぽん叩いてくる、なんだこの状況・・・・・・はたからみたらいちゃついてるようにしか見えないのではないだろうか・・・・・・嫌な気はしないのだがこのままでは不味い気がするので動くとしよう・・・・・・もうちょっとこのままでもよかったかなーとか思わなくもない
おれが寝ていた所から5分ほど歩いた所にその保管場所はあった、意外というか結構な広さのある空間だ、見た感じ少し大きめの体育館くらいか?その空間の中に無造作に剣や防具がバラバラに置いてある
置いてあるっていうか投げ捨ててあるって言った方がいい気がする
ちなみに今おれが着ている服は甚平だ、なんで甚平?この世界に甚平とかあるの?って思ってラーナに聞いたら意外な答えが返ってきた
「その服はじんべい、と言うのか、それはついこの前といっても2年程まえじゃが、その時に拾ったものじゃな、迷い人が作ったみたいでのぅ、見た事のない服じゃったから取っておいたのじゃ」
「迷い人?」
なんだろうか、嫌な予感がするが聞いておかないといけない気もする
「うむ、異世界からこの世界に迷い込んでしもうた人間の事じゃな、時々迷い込んでくるのじゃよ、じゃが迷い人は珍しいスキル、そして知識と技術を持っておるのでな、貴族や国が見つければ保護をしておるのじゃが、まぁ、ほとんどの迷い人は闇商人に売られるか、捕まって契約魔法で奴隷のような扱いを受けておるな」
奴隷のようなってそれはもう奴隷じゃないのか?
「契約魔法でこうゆう労働条件で雇っていてる、という建前じゃな、労働条件の内容は最悪じゃがな、だいたいが死ぬまで雇用するといった内容じゃし、解放条件も達成出来ぬようなものじゃからな、契約魔法を解除するには条件を達成するか、強い魔力でむりやり契約魔法を破棄させるしかない」
「逃げたらどうなるんだ?」
「逃げれぬよ、契約者には何処にいるかすぐわかるからのぅ、自ら命を絶つ事も、契約者を殺す事も出来ぬよう契約の中に入れておくのも常識じゃからのぅ、迷い込んでしまった上にそのような目に会うのは可哀相じゃがどうにもできぬ」
「ラーナの魔力があれば破棄くらいできるんじゃ?」
「まぁ、可能じゃろう、じゃが我にそれをする意思がない」
「なぜだ?」
「助けたとしても我にはそれ以上の事をしてやれぬ、元の世界に戻してやる事等出来ぬし、だからといってその者が死ぬまで面倒を見る事も出来ぬ、それに貴族や国に保護されるといってもやる事は同じじゃよ、異世界の知識や技術、珍しいスキルを目当てに働かされるだけじゃ、闇商人達の方が待遇がいいぐらいじゃしのぅ、違いは契約魔法で縛られているかいないかぐらいじゃ」
「なんで闇商人達のが待遇がいんだよ、普通国とかに保護された方が安全だろ?」
「貴族や国にとって迷い人は異世界の人間であって自分達とは違う人種扱いじゃ、ゆえに迷い人にはなんの権利も与えられぬ、まともな食事も、寝る所も、何も与えられぬ、同じ人間として扱われる事はない、その点闇商人達は迷い人の価値を理解しておるからのぅ、契約魔法で縛りはするが長く働けるよう待遇は良いのじゃ、見つかれば国に追われてこの様な終わりを迎えはするがのぅ」
結局どっちがまともかと言われれば闇商人達なんだろうな・・・・・・、死ぬまで働かされるが人間として扱われ待遇もいいが見つかれば国に追われる場所と、人間としては扱われない上に死ぬまで働かされる場所、見つかれば最悪だけど、見つからなければ闇商人一択だろうなぁ・・・・・・
闇商人もそこらへんは気を付けるだろうし、迷い人を国や貴族に売るよりも手元に置いた方が得するのはわかってるから裏切られることも少ないだろう、知識はなくてもスキルは珍しものみたいだし、なにかしらの有効性は見つけるだろう、多分
「それにひと昔前には男の闇商人が女の迷い人に一目ぼれして妻にした事もあったしのぅ、そやつらの子供が確か何処かで迷い人を集めて、本当の意味で保護をしておったはずじゃ」
「へぇー、そりゃいい事じゃないか、ん?じゃぁ、ラーナが2年前に見つけた迷い人もそこで保護されてるのか?」
「いや、我が拾った迷い人はもう死んでおったがこの洞窟には冷凍室があってのぅ、そこに迷い人の死体をいくつか保管しておる、迷い人の葬り方を知らぬのでな、何時か保護しておる場所がわかった時にでも頼もうと思ってな」
死体まで保管してるのかよ・・・・・・、待てよ、冷凍って事は鮮度はそんなに落ちてないよな?いやいや、待て待て何を考えているんだおれは、さすがにそれはだめだろう?
でも迷い人は珍しいスキルを持ってるんだよな・・・・・・
「シゼルよどうしたのじゃ?」
「ちょっと最低な事言ってもいいか?」
「よかろう、言ってみよ」
「その迷い人の血を吸わせてほしい」
「なんじゃ、そんな事か構わぬぞ」
いや、そんな事かって、これ結構最低な気がするんだけど?しかもなんでお前が許可出すんだよ
「相手はもう死んでおる、許可を貰おうにも口は利けぬ、なにより迷い人の死体は我の物じゃ、それをどうしようが我の勝手であろう?」
「いや、そういう事じゃなくて、人としてどうかって事で・・・・・・」
「魔物、いや、今や魔族になったお主が何を言っておるのじゃ・・・・・・」
いや、確かにおれは人間じゃないけど、心は人間なわけで・・・・・・っていうか、そうかおれが異世界からの転生者だって事をラーナは知らないのか
「あぁ、ラーナに教えてない事があった」
「なんじゃ?」
「おれってさ、異世界からの転生者なんだよ、元は異世界の人間、こっちでいう迷い人」
「なんじゃと?それは本当か?」
「あぁ、本当だ、これが珍しい事だって事もマザーに聞いて知ってる」
「マザーじゃと?」
「始まりの森って所にある始まりの洞窟にいるマザー・バット、おれのマザー」
「マザー・バットじゃと・・・・・・?あやつの事か?」
「知ってるのか?」
「いや、確証はないが・・・・・・恐らく知り合いじゃろう」
マザーって結構顔が広いのか?ずっと洞窟に引き篭もってるって聞いた気がするんだが、それでも白竜神と知り合いとかマザーすげぇな、いやなんかすごい存在だってはわかってたけど、マザーって何者?
「まぁ、よい、じゃがシゼルよ、異世界からの転生者である事は秘密にしておけ、本当に信頼できる者にしか話すでないぞ」
「あぁ、迷い人の扱いを聞いた以上迂闊に教えないほうがいいだろうな」
「それだけではないがのぅ・・・・・・魔物に転生しただけでなく、オリジン・ヴァンパイアになった迷い人?なんじゃそれは?一体何が起こっておる・・・・・・気は進まぬがあやつに会いに行くしかあるまい・・・・・・」
なんかぶつぶつ言ってるが何言ってるかわかんねぇ、今のうちになんか服とか武器探すか・・・・・・
武器は剣でいいか、盾はいらねぇか、お?日本刀だ、やっぱ日本人としては剣よりも刀だよな!これも迷い人が作ったのか?物の良し悪しがわからんから何とも言えないが、結構いい刀なんじゃないだろうか、よし武器はこれにしよう!さぁて次は防具っていうか刀を使うならやっぱ身軽な方がいいよな、そもそもおれの戦法って奇襲か暗殺かスピード命のヒット&アウェイだしゴツゴツした鎧は邪魔になるだろうな
ふむ・・・・・・この服を作った迷い人はミリタリーオタクだったのか?だけどなんかアニメとかに出てきそうな軍服?だな・・・・・・ブーツまでちゃんと作ってあるし・・・・・・軍服なら戦闘でも動きやすいよな?つーかこれ以外だと鎧ばっかで選択肢がない・・・・・・諦めてこのセットにするか
それ以外だと、あれなんかがよさそうだ、魔力が込められているのが見ただけでわかるし、おれの魔力感知がすごく反応している、赤いローブに白と黒の刺繍模様がされた――恐らくこの模様に魔力が込められていると思われる――フード付きのローブ、これでいいだろう
そういえばシュキ達はもうここから武器や防具を持って行ってるんだったな、どんな格好になっているのだろうか、そもそも進化してどんな姿になったんだろうか、見るのが楽しみだな、そういえばラーナはなんであんな恰好してるんだ?髪も白ければ服装も白いウエディングドレスっぽいドレス、うん、詳しくないからなんて言ったらいいのかわかんないや、なんかよく貴族のお嬢様が着てるような現代風のドレスみたいな感じ?スカートは膝くらいまでで、頭には白いベールのようなものを被ってる
いや、似合ってるからいいんだけどさ
まぁ、いいか、服も武器も決まったし、ラーナの許可も貰ったので迷い人の血でも吸いにいくか
正直胸のあたりがモヤモヤする、敵であるならこんな事は思わない、殺されるんだから容赦はしないし出来る事はやるよ、死にたくないし
だけど攻撃されたわけでもない、敵でもない人の死体を生きるためにも珍しいスキルが欲しいからと何かするのは気が引けるな・・・・・・、血を吸わせてもらう代わりにきちんと火葬し埋葬して墓も建てるので許してもらおう、許してくれるか?
そう、割り切った所でまだなんかブツブツ言ってるラーナの頭を軽くはたいて迷い人の死体を保管している冷凍室に案内してもらう
生きるため、そんな理由をつけて割り切ろうとしているおれは、もう人間とは言えないのかもしれない、いやヴァンパイアだけどさ
あと数話で一旦幕間が入ります
2026/03/01 追記
後半、胸のあたりが~の部分から少し文章を追加し修正しました。
コッキ「次はおれ視点の幕間でしょう」
シゼル「残念、ラーナ視点です、コッキの出番はない」
コッキ「(´・ω・`)」




