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山脈を越えて~その3~

あれ?思ったよりベルセディア山脈の話が長くなりそう・・・・・・






 「なぁ、親蜘蛛とはいえ、あんたらなら十分戦えるんじゃないの?」



 見た感じリザードマン達は蜘蛛はおろかトカゲ達よりも強そうな感じだ、俺たちの協力なんて必要なさそうなんだけどな



 「あぁ、ウム、確かに、力だけならそうかもしれぬが・・・・・・、我等には毒や麻痺毒、そしてあの粘着の糸をどうにかする術がないのだ・・・・・・」



 は?なんか脳筋宣言が聞こえた気がした、気のせいだよね?



 「シゼル様、気のせいじゃないですよ、こいつら今確かに力しか能がないって宣言しましたよ」



 いや、そう言うコッキも肉弾戦しかできないだろうが



 「待ってください、毒や麻痺毒は仕方ないとしても糸もどうにもできないのですか?火を吐くとかできるでしょう?」



 シュキが当たり前?の疑問をぶつけた、まぁ、そうだよなこいつら曰く下等なトカゲでも火を吐くんだから、リザードマン達もできるよね?



 「いや、それが、なんというべきか、不甲斐ないことに我等の部族、イェーツィアと言うのだが、イェーツィアのリザードマンは魔法や火を吐く等そんな小手先の力はいらぬ、我等が肉体こそ最強の武器だ、というのが昔から続く部族の誇りで今では火を吐く器官は退化し使えぬし、魔法の知識等も我等にはないのだ・・・・・・」



 うわぁ・・・・・・、なんていう脳筋部族、リザードリーダーがすごく情けない顔をしている、このリザードリーダーは部族の現状をしっかり理解して今のままじゃダメだっていうのがわかってるんだろうな・・・・・・



 「悪いがお主等の事は山に入った時から観察させてもらっていた、蜘蛛を蹴散らす力はもとより、火魔法をそこな女子は使えるし、なによりインプ殿は氷魔法に回復魔法まで使えるのだろう?不躾な頼みではあるがどうか協力していただけないだろうか?頼む」



 そう言って頭を下げるリザードリーダー、正直おれは関わりたくたくない、さすがに初対面で、自分達と同じかそれ以上に強いやつらと一緒に戦うとか、背中を預けるには少々恐ろしい、俺たちよりも相手が弱ければ協力したかもしれない、それにどうも協力を要請するのに賛成なのはごく一部のリザードマンだけのようだしな・・・・・・



 「族長!!このような部外者に頭を下げる必要等ありません!!そもそも親蜘蛛はこれよりも上に陣取っている状態、山頂を目指すのなら嫌でも戦わねばならぬ相手、むしろこやつらの方が我等に頭を下げ協力を要請するのが当然と言えるでしょう!!」



 わざわざ知りたくなかった情報ありがとな!!山頂目指すなら嫌でも戦わないといけないとこにいるとか誰得情報だよ!!いまから下山して別ルート探したくなったよ!!



 「そもそも、我等イェーツィアのリザードマンならばあのような暗黒大陸の先兵如き簡単に屠れるでしょう!!」



 ん?なんか気になる事言ったなこいつ、暗黒大陸の先兵?国境線には結界があるんじゃなかったか?



 「ちょっと今のはどういう事だ?暗黒大陸の先兵ってなんだ?結界があるから入ってこれないんじゃないのか?」



 「インプ如きが気安く話しかけるな!!」



 お前には聞いてねぇーよ、つーか確かにインプだけど如きって自分で言うにはいいけど他者に言われるとやっぱむかつくな・・・・・・、あ、シュキの後ろに般若が見え、あれ?コッキの後ろにも仁王が見え・・・・・・



 「馬鹿者が!!口を慎め!うちの若い者が失礼をした、申し訳ない」



 「あ、あぁ、いやいい、気にしないでくれ、若いんだし仕方ないさ、それよりどういう事なんだ?」



 「ウム、その説明をするにしてもここは少し危険だな、トカゲ共がいなくなれば死体目当てに蜘蛛共が集まってくるからな、我等が住処へ案内しよう、説明はそこでさせていただこう」



 う~ん、住処まで行くとなし崩し敵に一緒に戦う事になりそうだ、いや山頂を目指すなら戦わないといけないんだけど、友好的なリザードマンが多ければいいんだけど、期待できそうにないしなぁ・・・・・・



 「シゼル様、問題ありません、たとえリザードマン達が襲い掛かろうとも私と兄さんで蹴散らせてご覧に入れます」



 「そうですよ、シゼル様を如きとか言ったあいつは真っ先にやってやりますから」



 別にそんな事はいいんだよ、むしろやるなら自分でやるから、というかほんと君たちの思考が心配になってきたんだけど、それはどうすればいいのかな?脳筋はまだいいけど戦闘狂はいらないんだけどな



 「まぁ、一緒に戦うかはわからんが親蜘蛛の情報も欲しいし、行くしかないか・・・・・・」









 リザードマン達の住処は大体6合目の真ん中あたりの位置にあった、リザードマンって沼地とかに住んでるイメージだったんだけど、こいつらは山の中にある湖の周りに村を形成していた、水はやっぱ必要だよね、建てられている家はほとんどが一階建ての木造だった、ログハウスほどしっかりした作りではない、失礼な感想ではあるがなんか屋根は葉っぱだし、家というより小屋って感じだ



 村の規模としては大体100匹程のリザードマン達が生活しているようだ、家の周りには魚が干してあったり、小規模ながらも畑もあった、野菜食うのか?リザードマン



 族長と呼ばれていたリザードリーダーの家は他の家よりも広いがつくりは対して変わらなかったが地下室があり、もしもの時は村の戦えない者達が地下室へ逃げ込むらしいがこの地下室は今のリザードリーダーが族長になってから作ったとの事、それまではもしもの時は親子そろって討ち死に覚悟で特攻するしかなかったらしい、なにそれ怖い



 イェーツィアのリザードマン達には「逃げる」といった言葉が頭にないらしく、戦って勝つか負けるかしかないようだ、リザードリーダーがどれだけ苦労しているかがこれだけでわかってきてしまう、子孫や部族の者を少しでも残すといった考えは最近になってから少しずつ普及してきたとリザードリーダーが嬉しそうに教えてくれた



 それでもまだ大半は特攻主義の者ばかりらしく、親蜘蛛がやってきた時も20匹ほどの脳筋達が討伐に行って1匹も帰ってこなかったのでリザードリーダーが様子見に行った所、食い散らかされた死体だけが残っており、どうやら毒や麻痺毒を受けており中には糸に絡まっていた者もいたそうだ



 う~ん、戦法としは親蜘蛛と他の蜘蛛は変わらないっぽいな・・・・・・、問題は親蜘蛛がどれくらい強いかだが、その前になんで結界があるのに入ってこれたのか説明してもらわんと、もしかしたらマザーが危ないかもしれない、その場合、シュキ達には悪いがおれはマザーの所にいくぜ、おれの生存本能がマザーを死なせてはいけないと告げている・・・・・・気がする!!



 が、心配なさそうだった、今回入ってきたのは聖王国マルファール側の結界に歪みが出来たらしくそこから親蜘蛛が無理やり出てきたとの事、山で狩りをしていたリザードマンが見ていたらしい



 始まりの森側の結界と聖王国マルファール側の結界は似てはいるが別物って事がわかった、どうも始まりの森側の結界は誰が作ったのかも誰が用意したのかもわからない結界らしいがその強度等は凄まじく、聖王国はその結界を真似て作った模造品でしかないとの事



 ただ模造品だからこそ実物より強度は劣るし壊れたり歪みが出るが修復は可能だし術者によっては結界の強化だってできる、しかし始まりの森側のは壊れたり歪みはでないが修復や一度破られれば再度結界を張る事ができないしこれ以上の強化も現状不可能といった状態でどっちがいいのかは微妙な感じだなぁ、っていうのがおれの感想だけど、始まりの森側の結界のが丈夫なら優劣は決まってるよな



 まぁ、そんな感じで親蜘蛛が結界に生まれた歪みから無理矢理出てきたみたいで、今はその反動で多少弱ってるらしく、叩くなら完全に復活する前が一番ということでリザードリーダーは出来る限り戦力を増やして一気に叩きたいみたいだ



 これに関してはおれも同意だ、弱ってるなら好都合、それにリザードリーダーが言うには完全復活したら恐らく聖王国側の結界を内と外から攻撃して完全に破壊するつもりだろうとの事、そうなれば暗黒大陸側と聖王国側で戦争が起きる戦争が起きれば、ここも無関係ではいられないらしい



 リザードマン達も亜人扱いではあるが聖王国はきっと自分達にも攻撃を仕掛けてくるだろうと考えているようだ、ベルセディア山脈には結構な鉱脈があるみたいだがリザードマン達が発掘の妨害をしているとの事、時々冒険者達が現れるそうだが自分たちの住処だ!!と言って追い返しているらしい



 リザードマン達は戦争に関わる気はないらしいが、さすがに聖王国と魔族同時に攻められたらひとたまりもないとの事、それ以外にも、元々ベルセディア山脈に蜘蛛の魔物はいなかったらしく、親蜘蛛がどんどん数を増やしてベルセディア山脈の生態系を壊し始めているのも問題のようだ、火を吐けたり、糸に捕まらない魔物は被害を逃れてはいるが、そうではない魔物はどんどん狩られ、数を減らしている状態でこのままでは山から食料になる魔物がいなくなってしまう恐れがあるらしい


 湖で魚は取れるがやはり肉も食いたいというのが正直な所か




 ここまで説明を受けてみておれとしては親蜘蛛と戦うのは問題はない、問題があるとすればそれはリザードマン達の方だろう



 「おれ達としては山越えが目的だし、親蜘蛛と戦うのは別にいいんだけどさ、そっちは大丈夫か?正直背中の心配をしながらは戦いたくはないんだが」



 「ウム・・・・・・インプ殿の心配もわかるが、それは信用していただく他あるまい」



 「それに、あんたがどうしておれ達をそこまで信用出来るのかも気になるな、おれ達は初対面のはずだ、なのにいきなり共闘を頼んできて住処まで案内して、少し、いやかなり警戒が足りないんじゃないか?」



 背中から襲われるかもしれない可能性はリザードマン達にだってあるのにな?もちろんおれはそんな事するつもりはないし、シュキ達にもやらせるつもりはないが



 「なに、それは簡単な理由だ、我の勘だ、我の勘がお主等は問題ないと告げている、我の勘はこれで結構当たるのだ」


 ハッハッハッ!!と豪快に我ってはいるが族長がそれでいいのか?と思わなくもない・・・・・・、が



 勘か、たしかにおれも結構勘で動くからなぁ、シュキ達だって勘が働いたから出会ったわけだし



 「それに、他の者達を黙らせるいい方法があるのだ」



 そう言ってリザードリーダーがとても愉快でそしてとても悪い顔をしてこう言った




 「文句を言う奴は決闘で黙らせればよい」



 そう笑顔で言い出した、そりゃそうか、リザードリーダーだけ例外なわけないか




 やっぱこいつも脳筋だわ

 



脳筋ばかりが増えていく


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