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幕間:運命の出会い?

先にシュキ話ができたので

伏線?そんなものは存在しない





 初めてシゼル様を見た時は驚いた、蝙蝠、バット種の魔物が念話で話しかけてきたら誰でも驚くだろう、しかもそのバット種が回復魔法まで使ったと聞いたらまずはそんな事を言い出した者の頭を疑うだろう




 だが、それは事実で、私の目の前にはそんな非常識なバット種、シゼル様がいた



 

 シゼル様と話しをしてみれば、さらに驚くことに生まれてまだ1か月しか経っていないという、だというのにレベルはすでに19に達していて、すでに進化したわけでもない、生まれて1か月でレベル19に達する魔物がいるなんて聞いた事がない



 だが、レベル19になったのは3人の冒険者を殺したからだと言っていた、その前はレベル6だったと言う、あの3人の冒険者は始まりの森では魔物からは有名だ本来ならこの森に来るはずのないレベルにもかかわらず、遊び半分、いや完全に遊びで森の魔物を狩っていく冒険者だ、それをレベル6で殺せたのならすでに20に到達してもおかしくはないのになぜ19なのだろうか?



 どうやって殺したのか聞いたら不意打ちで首を斬ったと言われ、少し、いやかなり唖然としたしまったのは内緒だ



 だが、それで納得できた、この世界はレベルやステータスが存在するが鑑定スキルがないと詳しくはわからないし、鑑定スキルは神に選ばれた勇者等しか得られないため、私たち魔物にとっては関係のない話だ


 話がそれてしまったが、ステータスが高ければそれだけ体は頑丈になる、というわけではない



 戦闘中はそれこそ身体強化等をするため、急所は防御しているが、戦闘以外では?日常生活中にもステータス通りの身体能力だとまともに生活ができるわけがない、つまりは、ステータスが体に反映されるのは戦闘中だけなのだ、もちろん日常生活中でも支障がない範囲で影響はあるが


 日常生活中にステータス通りの身体能力を発揮する事は出来るが意識しないとできない、なぜそうなっているのは私にはわからないが、この世界を創った女神がそう創ったとしか言えないそうだ



 相手が油断して戦闘状態を解除していれば急所への攻撃が通る、通ってしまうという事、低レベルでも高レベルを殺すことはできるがそれは真正面から戦うのではなく、影から後ろから不意を突いて急所を攻撃するという事


 ただその場合――寝込みを襲う等で勝利した場合――取得できる経験値がレベル差が大きければ大きいほど減ってしまうのだ



 他にも、高レベルが弱らせた魔物に低レベルが止めを刺すといった行為も経験値が減少するらしい



 そんな理由でシゼル様も一気に進化レベルまでいかず、19というレベルまでしか上がらなかったのだろう、他にも思い当たる理由がないわけでもないが



 その理由とは、私がゴブリンのお爺さん、といっても血が繋がっているわけではない、ゴブリンは冒険者に狩られやすいため、親が死んだ子や子供を失った者等で集まるため全員が血が繋がった家族というわけではない


 が、お互いが血が繋がっていなくても家族なのだという一体感は存在している、まぁ、兄さん以外は3人の冒険者に殺されてもういないのだけど



 閑話休題



 まぁ、そのお爺さんには色々なお話しを聞いていてその中にはお伽噺やどうして知っているのかもわからない眉唾物のこの世界が創られた時の話等があり、ある蝙蝠も話もそのうちの一つだった



 その蝙蝠は生まれた時から強者だった、どれくらい強いのかはわからないけれども、周りにいる魔物では太刀打ちできなかったという、その蝙蝠は強さを求め成長し、進化して何時しかヴァンパイアになったものの常に孤独だった、その孤独を紛らわそうとたくさん戦い多くの命を奪った、その強さに恐れを抱いた多くの人間達に殺されてしまったという話だ


 この話一体何が言いたかったのかというと、どんなに強くても数の暴力には勝てませんよ?って事が言いたかったらしいがそんな事は関係ない、問題はこの蝙蝠の姿こそシゼル様の姿とそっくりだという事だ


 この話の蝙蝠も闇のように黒い体をしていたらしい、瞳は黄金ではなかったようだけど、それでも普通のバット種の色ではないから、きっとシゼル様もいつしかヴァンパイアになるのだろう、というか自分はヴァンパイア・バットという種族だと言われたので間違いないはずだ




 シゼル様は自分は何も世界の常識を知らないと仰っているが何故なのだろうか、始まりの洞窟でマザー・バットに育てられ、マザー・バットに魔法の使い方等も教わったと言っていた事からマザー・バットにもかなりの知性があると予想できる



 だというのにそのマザー・バットはシゼル様に何も教えずに旅に出したという、一体なぜ?わざと何も教えずに旅に出したとしたらその理由は?・・・・・・そう考えて私の脳裏にはお爺さんの話す眉唾物のお伽噺が思い出されたのだ






 そのお伽噺は世界創造のお話、この世界を創造された創造の女神・アルミナはこの世界に人間、魔族、亜人、そして魔物をお創りになられた


 なぜ魔物まで創ったのか?アルミナはそれぞれ、見た目も、考え方も違う3つの種族に手を取りあい共存してほしくて共通の敵として魔物を生み出されたらしい・・・・・・共存させたいなら直接そう創ればいいのに


 そして、どういうわけかアルミナは自分で創った世界に直接関わる事が出来なかった、そのために自分の代わりに世界を導く役目を持つ主神ガレオスを創造したのだという


 だが、アルミナの理想は魔族の手によって打ち砕かれた


 魔族はその独自の魔法技術でとある果物を作り、それを主神ガレオスを通じてアルミナに献上したのだ、献上された果物の名前、それは




 堕天の実




 なぜそんな物を作り献上したのか、魔族はただ自分達を創造し、上から共存しろというだけで実際は何もしないアルミナに怒り、地に降りてそれでも同じことが言えるのか試そうとした、らしい


 アルミナは堕天の実を食べた事で天より落ちる事になるのだが、その際にアルミナは自分を堕とした魔族、それに気付きながらも何もしなかった人間、最初から共存をする気のなかった亜人達に怒り、その身は創造の女神という立場から魔神へと変貌し、世界に大きな被害を与えたが、そんな堕ちた女神を主神ガレオスが選んだ時の勇者がその身を犠牲にして封印した、という話だ



 正直眉唾物のお伽噺でしかない、こんな話を信用するのはよほどおめでたい頭をしているのだろう、だがなぜかこの話を思い出してしまった・・・・・・



 何も知らない非常識なシゼル様なら共存の道を作る事が・・・・・・?ありえない、共存なんてできるわけがないし、そもそもマザー・バットがそんな事をする理由がない、きっと私には考えつかない理由で何も教えていないのだろう、きっとそうだ、私のこんな下らない考えとは違うはずだ



 だけど、私には何か確信めいた予感もある




 シゼル様についていく事で私はきっと見たこともない世界を見る事が出来ると




 そんな事を考えながらもシゼル様と森で過ごしていて、シゼル様に朱鬼(シュキ)という名前を頂いたり、シゼル様がヴァンパイア・インプに進化されたり


 蝙蝠の姿もそれはそれで愛嬌があったのだがヴァンパイア・インプの姿もそれはそれで可愛らしいものだった、私が知識だけで知るインプはとても小狡い顔をしていると聞いていたのだが、シゼル様は幼子の様なお顔で、シゼル様が笑うと自然と私まで笑顔になってしまう程だ、そんなシゼル様を抱いて寝る時が私の幸せな時間でもある



 そしてついに、私と兄も進化する事が出来たのだ、私の体は大きくなり体付きも変わった、兄もどうやら進化前に黒鬼(コッキ)という名前を頂いたようで兄の体の色は黒く兄もまた体が大きなっていた



 進化後はレベルが1に戻ってしまうのでまたレベル上げをシゼル様と行った、進化して私たちは強くなったと思っていた



 それがただの勘違いだとすぐに知る事となった 







 それは突然だった、シゼル様が光の結界に閉じ込められ、近寄ろうとしたら念話で「後ろだ!!!」と言われなければ対応できなかっただろう



 シゼル様を閉じ込めた女の冒険者ではなく、剣士風の2人の男の冒険者、進化してレベルも上がった私と兄との2対2の戦い、この森に来るなら駆け出し冒険者のはず、遊びでくるような高レベルの冒険者はあの3人だけのはずだ



 私と兄なら駆け出し冒険者くらいなら勝てるはずだ、そのはずだったのに、進化もした、レベルも上がった、スキルだって成長した、戦い方だって練習して、魔法剣も覚える事ができのに、それでも足りなかった



 戦えば戦う程に私たちが若干押され始めている事が解ってしまった


 

 経験や技術といった一朝一夕では獲得できないもの、それが決定的な差だった、フェイントを使うタイミング、魔法を放つタイミング、互いとの無言の連携



 それらが圧倒的に違った、私たちのフェイントは見事に見抜かれていたし、魔法は確実に防御された、連携もいとも簡単に分断された



 2対2ですら負けていたのに1対1で勝てるはずがなかった



 次は私がシゼル様を助けるんだと思っていたのに、やはり今回もシゼル様に助けられてしまった



 悔しかった、また逃げる事になってしまった、シゼル様にそう言われたからというのもあるが、それでも私は逃げたくはなかった



 結局のところ進化しても私は弱いままだったのだ、駆け出しの冒険者にすらまだ勝てない、駆け出しの冒険者にすら技術と経験で負けているのだ



 私は弱い、だからまだ私は強くなれるはずだ、この悔しさを、この無念を糧に私はまだ強くなって見せる



 今度こそシゼル様の助けになれるほどの強さを手に入れて見せる



シゼル「なんかシュキに非常識な存在と言われた気がする」

マザー「なんか知らないところで盛大な勘違いが起こった気がする」

シュキ「全部気のせいです」

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