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転職の神殿を開きました  作者: 土鍋
転職の神殿を開きました
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シュルト大森林

【転職屋店主 カナメ・モリモト】




 俺は頭を抱えていた。


 ようやく念願の治癒師ヒーラーが見つかり、いざ大森林の調査と意気込んでいたのだが、ここで重大な事実を失念していることに気付いたのだ。


「まさか、誰もどこを調査するか考えてなかったなんてね……」


 クルネの言葉が全てだった。俺は村長が情報を持っているのだと思っていたし、村長は村の外部からくる助っ人の情報をあてにしていた。

 そして、その外部からくる助っ人、すなわち戦士ウォリアーラウルスと魔術師マジシャンアデリーナは、なぜか俺が行先を指示するものだと思っていたらしい。


「カナメ兄ちゃん、意外と抜けてるんだな」


 しらけた雰囲気のなか、いきなり失礼なことを口走ったのは治癒師ヒーラーのジークフリートだ。

 十日ほど前、村へ来てすぐの頃は死にかけたり緊急事態だったりでよく分からなかったが、どうやら血気盛んな性格らしく、隙を見れば剣をぶんぶん振り回している。……大丈夫かこの治癒師ヒーラー


「ま、どこに行くにしても俺がモンスターを叩き斬ってやるよ」


 いやいや、ジークフリートは治癒師ヒーラーだからな? 身体はそこまで強化されてるわけじゃないんだから、前線で切り込み隊長とかするなよ?


 俺がそう言おうと思った瞬間、別の声がジークフリートを叱りつける。


「ジーク、失礼なこと言わないの! それに、あなたは治癒師ヒーラーなんでしょう? モンスターを叩き斬る治癒師ヒーラーなんて聞いたことないわよ」


 その場にいたのは、ジークフリートと一緒に辺境へやってきた少女、メリルだった。一見するとふんわり優しそうな顔立ちだが、性格は世話焼きのお姉さんといった感じだ。


 今日、調査隊が集まって会議をすると聞いて、ジークフリートの口の悪さを心配した彼女がついてきたらしい。


「……ジークフリート君。気持ちは分かるが、最前線は私に任せてもらえないかな。魔法が使えない私としては、君に前線で活躍されると立場がなくなってしまうよ」


 その場を静めたのはラウルスさんの渋いバリトンボイスだった。それを聞いて、ジークフリートが頬をかきながら口を開く。


「ラウルスのおっちゃんがそう言うなら、仕方ねえな」


「ラウルスさんには素直だよな……」


 俺はついぼやいてしまう。たしかに、ラウルスさんは渋いし体格も立派だし紳士だし、おまけにジークフリートが憧れていた戦士職の人間だ。懐くのも当然と言えば当然だが、反応の差がちょっと悲しい。


「それより、どうするんだい? ここで無駄に喋っていても仕方ないだろうに」


 話を本題に戻してくれたのは弓使い(アーチャー)のエリンだ。腕組みをして壁にもたれかかっている。エリンの性格的に、こういうぐだぐだした話し合いは好きじゃないんだろうな。


 こうなると、今持っている情報で調査するエリアを決めるしかない。ラウルスさんやアデリーナは、自分の村の防衛力を削ってまで調査を手伝ってくれているのだ。数撃ちゃ当たる作戦は使いたくなかった。


「それじゃ、まず基本的な情報分析からいきましょう。最近、モンスターの異常発生が見られたところはどこですか? 異常発生じゃなくても、あまり見ないモンスターが出現したとかでもいいです」


 そう言うと、俺は辺境の地図を取り出した。こうやって見ると、やっぱりこの森は広いな。辺境の半分近くを占めているし、森の向こう側はもう別の国だという。

 ただ、森の広さと危険度から、国境争いが起きたことは一度もないらしいが。


「わたくしの記憶では、ここと、ここと、後はこちらですわね」


 そう言って、魔術師マジシャンのアデリーナは地図を指差した。続いて、ラウルスさんも地図を指す。


「私が把握しているのは、この辺りだな」


 言いながら、十か所近くを指差した。さすがラウルスさんだ。聞いた話では、彼は自分の村だけでなく、近隣の村全体の防衛隊長として日々奮戦しているらしい。

 だからこそというか、その情報量もかなりのものだった。


「あたしが知ってるのは、ここと、こっち。あと、ここもだね」


 さらにエリンが情報を追加してくれる。すると、面白いほど共通点が見えてきた。俺は、地図上のあるポイントを指差した。


「どう見ても、ここに何かありそうですよね」


 地図につけた十数個の×印を見ていくと、このポイントを中心として半円状に広がっているように見えるのだ。半円状とはいっても、把握しているのは森から出てきたモンスターだけだから、実際には円状なのかもしれない。


「私もカナメ殿の意見に賛成だ。だが、この辺りのマークはどう考える?」


 そう言うと、ラウルスさんは、いくつかのマークを指した。それは、半円から飛び出しているいくつかの例外たちだ。


 うーん、そう言われてもなぁ。偶然だって作用してるだろうし、ちょっと思いつかない。


「今のところはなんとも言えませんね。ただ、今回はこのポイントを調査の目的地にしたいと思います」


 周りを見回すが、異論はないようだった。俺たちは明朝の出発時間を決めると、早々に打ち合わせを終了した。




 ◆◆◆




 俺が待ち合わせの広場へ着いた時には、もうほとんどのメンバーが揃っていた。


「おはようございます」


 広場にいる面々に挨拶すると、俺はまだ来ていないメンバーを探した。

 予想ではジークフリートあたりが遅刻して、メリルに怒られながら走ってくるんじゃないかと思うんだが……。うん、やっぱりジークフリートはいないな。


 そんなことを考えていると、何か騒がしい音が聞こえてきた。


「もう! なんでこんな重要な日に寝坊するの!?」


「ワクワクして眠れなかったんだから仕方ないだろ!」


「子供みたいなこと言わないで!」


 俺の予想はものの見事に的中したようだ。ジークフリートとメリルがこちらへ向かって走ってくる。遅刻しなかったあたりは、たぶんメリルのおかげなんだろうな。


「おはようございます!」


 二人は広場に辿り着くと、俺たちに勢いよく挨拶する。


「おはようございます」


 俺が挨拶を返すと、ジークフリートが不思議なものを見るような目で俺を見ていた。


「あれ? ひょっとしてカナメ兄ちゃんも一緒に行くの?」


「俺にはキャロがいるからな」


 そう言うと、俺は肩に乗っている妖精兎を指差した。あ、こらキャロ、指を齧るんじゃない。慌てる俺を見てメリルは笑い、ジークフリートは半眼になった。


「……兎じゃん」


 概ね正しい感想だ。その兎の戦闘力のおかげで、俺は危険なシュルト大森林のモンスターから生き延びることができた訳だが、これは実際に見なければ分からないことだろう。


 実をいえば、俺もどうするか迷っていた。キャロの戦闘力があれば調査隊の安全性は増すだろうが、体力がないため連戦には向かない。

 しかもキャロは俺から離れようとしないため、キャロを参加させるということは、必然的に俺も参加することになってしまうのだ。


 だが、以前にシュルト大森林を彷徨った時の経験からいうと、立て続けにモンスターに襲われることは少ない。

 そこで、今回は前衛職が二人いるということもあって、俺は『キャロという物理攻撃魔法』を使う魔術師マジシャン扱いで参加することにしたのだ。


「ふむ……。ルノール村にモンスター並の強さを誇る兎がいるという噂は聞いていたが、まさかこの妖精兎だったとはな……」


 俺たちの話を聞いていたラウルスさんが、まじまじとキャロを見つめた。筋骨隆々の渋い中年男性が小動物を見つめる様に、ちょっと笑ってしまいそうだったのは秘密だ。


「……さて、皆さん揃ったようですし、そろそろ出発しましょうか」


 ちょうど頃合いと見て、俺は皆に声をかけた。各自が荷を持って立ち上がる。


「カナメ、その前に一ついいかい?」


「なんでしょう?」


 そんなタイミングで、エリンが俺に話しかけてきた。いつもながらの、少し無愛想な表情だ。


「いつまでそんな話し方してるのさ。ここにいる面子は全員あんたの知り合いなんだろう? クルネと話してる時みたいな言葉遣いでいいじゃないか」


「……え?」


「あんたより確実に年上なのはラウルスさんだけだし、そのラウルスさんにしたって、そこまで慇懃にされたらやりにくいと思うよ」


 まさか、そんなところに物言いがつくとは思わなかった。俺にとってはみんなお客さんでもあるからな。


「あたし達は、まがりなりにもパーティーを組むんだ。パーティー仲間がそんな言葉遣いじゃやりにくいよ」


 エリンの意見はもっともだった。素の性格で人と接するのは疲れるから、ついつい気楽な接客モードへ逃げてしまうが、エリンの言うとおり多少は頑張るべきなのかもしれない。


「……分かったよ。できるだけ普通に話すことにする」


 俺の回答に、エリンは満足そうに頷いた。


「なあなあ、年上といえば、カナメ兄ちゃんって何歳なんだ?」


「ん? 二十四歳だよ? ……もうすぐ二十五歳になるかな」


 ジークフリートの質問に素直に答える。


この世界と元の世界の時間の単位はだいぶ似ている。正確には違うのだろうが、体感での一日の長さは同じくらいだし、一日を三十日で一括りにして、ひと月が十二セットで一年というあたりもほぼ同じだ。


「ええっ!?」


 意外にも、一番驚いたのはクルネだった。一番つきあいが長いだろうに……。いや、それとも長いからこそ驚きが多かったのだろうか。


「わたくしの方が年上だと思っていましたわ……」


 アデリーナも目を丸くしている。そのアデリーナこそ何歳なのか気になるところだが、そこは聞かない方がいいんだろうな。


「兄ちゃん若造りなんだな」


 それが、その場の結論だった。……まあ、日本人は若く見られるっていうからなぁ。


「私より七つ上……」


「ん?ってことは、クルネの姉ちゃんは――」


「ジーク!そういう事は言わないの!」


 思わず計算しようとしたジークがメリルに怒られる。別に十七歳ならバレてもいいような気がするんだけど、やっぱりそういうのはタブーなんだろうか。とりあえず、女性の年齢は迂闊に聞かない事にしよう。


 そんな話をしながら、俺たちはルノール村を後にした。




 ◆◆◆




「……そう言えば、あの二人の装備はあれでよかったのか?」


 シュルト大森林に踏み込んでから一時間は経っただろうか。今のところモンスターと遭遇することもなく、手持ち無沙汰だった俺は、隣のクルネに話しかけた。


「たしかに、魔術師マジシャン治癒師ヒーラーには見えないわよね」


 俺たちが話題にしているのは、もちろんアデリーナとジークフリートだ。二人とも転職ジョブチェンジ前は槍や剣を得物にしていたのだから当然なのだが、その恰好はどう見ても戦士職のそれだった。


「まあ、慣れている装備が一番だろう。魔術的な効果は知らないが、ローブよりは革鎧の方が、万が一の時には役に立つ」


 その会話に混ざってきたのはラウルスさんだ。まあ、それはそうだよな。RPGだと、鎧を装備できないとか金属は駄目だとか色々制約があった気がするけど、二人が身に着けてきている以上、問題ないのだろう。


「なんの話?」


 そこへさらに加わってきたのはジークフリートだ。俺が会話の内容を要約して伝えると、彼は胸を張った。


「それくらいちゃんと考えたぜ! 試してみたけど、鎧を着けたからって、特に問題はなかったな」


 それは朗報だった。治癒魔術の力が減衰しないのなら、鎧をつけているにこしたことはない。よく考えれば、アデリーナも革鎧をつけたまま火炎槍フレイムランスを使用していたし、そこらへんはあまり問題ないのかもしれない。


 そんな事を考えていた時だった。突然、エリンの鋭い声が響いた。


「モンスターだよ! 数は三体、おそらく銀毛狼シルバーウルフ!」


 その声に、残りの五人が身構えた。さすがは弓使い(アーチャー)、他の固有職ジョブより五感に対する補正が高いのだろうか。

 まあ、元々優秀な狩人だったから、基本スペックが高いだけかもしれないけど。


銀毛狼シルバーウルフ……」


 エリンの言葉に、ジークフリートが息を呑んだ。シュルト大森林の生態系でも上位に位置するモンスターの一種だ。その俊敏さと鋭い爪、そして強靭な顎の恐ろしさは、辺境に生きている者なら誰でも知っている。


 その名の由来となる、銀色の毛並が木々の隙間からちらりと見えた。


「様子見ですわ! 雷撃槍サンダーランス!」


 その瞬間、背後にいたアデリーナがすかさず魔法を叩きこんだ。バチバチと音を立てる雷の槍が、視認できない速さで銀毛狼シルバーウルフへ向かって放たれる。

 得意な火炎槍フレイムランスを使わなかったのは、弾速の速さを重視したためだろうか。


「グォァァァァァ!!」


 真横に奔った雷が、一体の銀毛狼シルバーウルフの肩口を捉えた。絶命には至らなかったが、右足はもう使い物にはならないだろう。銀毛狼シルバーウルフが身上である素早さを失ったことの意味は大きい。


 だが、その隙に残り二体の銀毛狼シルバーウルフが、左右からアデリーナ目がけて駆け出してくる。彼女を危険だと判断したのか、動きに迷いはない。


 だが、そう簡単にアデリーナに到達できるはずはなかった。


「……っ!」


 左側から駆けてくる銀毛狼シルバーウルフに対して、クルネが剣を振るう。横からの剣撃は予想外だったのか、銀毛狼シルバーウルフは避けきれず腹部を切り裂かれた。その傷口から、血がボタボタと滴り落ちる。


 傷を負った事で警戒し、距離をとろうと横手へ飛んだ銀毛狼シルバーウルフの着地点に向けて、クルネは衝撃波ソニックブームを放った。


 飛んだ剣撃が銀毛狼シルバーウルフの頭部を直撃し、その身体ごと背後の木へと叩きつける。ものすごい音を立てて木の幹へぶつかった銀毛狼シルバーウルフに、それ以上動く様子はなかった。


 一方、右側からアデリーナに接近する銀毛狼シルバーウルフにも立ち塞がる影があった。


ぁ!!」


 ラウルスさんの大音声に、空気がびりびりと震える。彼が元々持っていた特技スキル威嚇メネス」だ。

 ラウルスさんを見るなり迂回しようとした銀毛狼シルバーウルフだったが、特技スキルの効果で警戒心が呼び覚まされ、彼に背を向けられなくなる。


 その一瞬の隙をついて、銀毛狼シルバーウルフの右目に矢が突き立った。エリンだ。打ち合わせ通り、手ごろな木の上で狙いをつけていたのだろう。死角からの一撃とはいえ、その命中精度は驚異的だった。


 そうして片目を潰されて怯んだ銀毛狼シルバーウルフに対し、ラウルスさんがあり得ない速度で大剣を振るう。それは見事な袈裟懸けだった。


 モンスターは銀色の毛皮に赤い花を咲かせると、どう、と倒れ伏した。


「もう一体は――」


「もう終わりましたわ」


 最初に雷撃槍サンダーランスを受けた銀毛狼シルバーウルフを探そうとした矢先に、アデリーナが声をかけてきた。


 彼女の視線を辿ると、少し離れたところに体躯の大半が炭化した銀毛狼シルバーウルフが転がっていた。よく見れば、矢が四肢をはじめ数か所に突き立っているのも確認できた。


 おそらく、エリンが足止めしている間に、アデリーナが魔法で仕留めたのだろう。ラウルスさんの援護もしながら、アデリーナのアシストもするとは、さすがエリンは職人だな。


 瞬く間に制圧された銀毛狼シルバーウルフ三体を目にして、そんな事を考えていると、ふと視界にうなだれている青年が視界に入った。


「俺だけ出番がなかった……」


 呆然と呟いているのは、もちろんジークフリートだった。今にもしゃがみこんでのの字を地面に書きそうな勢いだ。


「ジークフリート、戦いでの治癒師ヒーラーなんて、仕事がないに越したことはないぞ」


「それは分かってるけどよ……」


 そう言うと、ジークフリートは少し切なげに首を振った。まあ、彼の性格を考えると、剣を抜いてモンスターに突撃しなかっただけでも精神力を使ったんだろうなぁ。

 彼には悪いが、俺としては治癒の力を使う場面はないことを祈りたい。




 ◆◆◆




「それにしても、あっさり片付いたわね」


 銀毛狼シルバーウルフの爪や牙を集める作業に没頭していると、血の付着した剣を布で拭いながら、クルネが話しかけてきた。

 転職ジョブチェンジしてからのキャリアはこの中で一番長い彼女だが、やはり銀毛狼シルバーウルフをあっさり倒せたことには驚きを隠せない様子だった。


「たしかにね。あたしも、師匠に『銀毛狼シルバーウルフに会ったら命を諦めろ』って言われてたよ」


 クルネの言葉にエリンが同意する。森の狩人が言うとリアリティがあるな。


「……カナメ、ありがとね」


 突然、クルネが感謝の言葉を口にした。


「うむ、カナメ殿には感謝せねばな」


「まったくですわ」


 それに続いて、なぜかラウルスさんやアデリーナまでお礼を言ってくる。いきなりどうしたというのだろう。


「カナメは大したことじゃないと思ってるかもしれないけど、固有職ジョブを得るって、本当に凄いことなのよ」


 その言葉に、他の面々まで頷いている。うう、こういう雰囲気苦手なんだよなぁ。こんな時は――。


「そう思っていただければ幸いです。私は商売をしただけですよ」


「……カナメ、普通に話すって約束したろ?」


 接客モードに逃げようとしたら、すぐエリンに咎められてしまった。こんなに人に感謝されるようなことは、今までの人生でなかったからなぁ。どう反応したらいいのか、よく分からない。


「……悪かったよ。ところで、そろそろ出発しないか。銀毛狼シルバーウルフの血の匂いに惹かれて他のモンスターが寄ってくるのはごめんだ」


「あ、逃げた」


 クルネの楽しそうな声を無視して、俺は地図を広げた。目的地まではまだ遠いが、既にモンスターの異常発生が確認されたエリアに踏み込んでいる。


 あとどれくらいで到着するだろうか。そんなことを考えていた俺だったが、不意に周囲の雰囲気が変わった事に気付いた。


「しっ!」


 雰囲気が変わったのは、エリンのせいだった。警戒心を露わにして俺の後ろを睨んでいる。……こういう時って、振り返ってもいいのかな。けど、後ろを見たらアンデッドがいました、なんてホラー展開だったら怖いな。


 そんなしょうもない事を考えていると、やがてエリンが警戒している理由が俺にも分かってきた。足音が聞こえてきたのだ。それも複数人。

 慌てて、俺も後ろを振り返る。見れば、ちょうど足音の主が木の陰から姿を現したところだった。


「ちっ、人がいるだと……」


 俺の目の前に現れたのは、怪しげな商隊だった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 燃やされた狼の四足に刺さった矢を回収できたかどうかが気になって腹減ってきた。
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