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RPG風の世界で、色々みなさん頑張ってる物語

はんてぃんぐ -”呪われました”の17作目-

作者: 茶屋ノ壽

 ここはとある辺境の”お山”です。”お山”の住人である”ガンマン”少女のシルフィさんと、少女の師匠である青年のビリーさんと、”堕天使”の女の子のエルさんと、少年の姿をしている四季さんーーー数十世紀の経験がある”神主”が基本を作り、世界をつくったくらいの2柱の神様の力を注ぎ込まれた、規格外の”自律式の式神”(0歳)ーーーの、四人は、”お山”の一角にある湖へ来ています。

 暑い陽射しに照らされた、青い水が広がっています。遠くで跳ねているのは魚でしょうか?湖は広く、周囲を歩くと軽く半日は時間がかかる程でしょう。

「よーし、じゃあまずはテントの設営からいこうじゃないか」ビリーさんはにこりと、人好きのする笑顔を浮かべながら、言います。そのまま背中に背負った大きめの荷物を下ろします。

「はいなのです」見た目10歳を越えたあたりの、美少女が応えます。背中には、その小柄な体には不釣り合いな量の荷物が背負われています。だいたい、横幅が人の手を大きく広げて少し足りないくらい、高さが少女の身長の2倍ほどの大きさです。それらの大荷物を苦もなく取回している美少女さんです。

 シルフィさんは、とある”呪い”の副作用で、驚異的な身体能力を会得した美少女”ガンマン”さんなのです。なのでこのような大量の荷物の運搬も朝飯前でございます。それら大量の荷物を平らな地面に置きつつ、大きめのテントを出していきます。

 てきぱきと、地面をならして、慣れた手つきでテントを設営していくビリーさんはちらりと、”堕天使”のエルさんに視線を向けます。腰回りにつけていた荷物を、置いて点検していたエルさんは、その視線に気がついて、笑みを作って、ビリーさんの方へ近づきます

「えーと『すごーい、どんどんテントができていってる~、上手なんですね~』」甘ったるい、いわゆる可愛い声で、ビリーさんにモーションをかけて行きます。

「『俺にかかれば簡単なものさ!まあ、任せておけってね、ハニー』」その台詞に、軽くうなずき、ビリーさんが言葉を返します。ウィンクつきです。

「『たよりになりますぅ~、ダーリン』」軽くしだれかかる金髪美女のエルさんです。

「『よせよ、可愛過ぎて、手元がくるっちゃうぜ』」軽くエルさんの身体を形だけでも押し返す、青年さんです。……手の位置が微妙じゃないですか?

「『きゃあ、嫌、どこにさわってるのぉ』」台詞のとは反対に、特に嫌がるそぶりも見せない胸の大きなお姉さんの、エルさんです。

「『おっと、可愛い声を聞いたら、自前のテントが出来そうだぜ』」おどけて笑う表情が、少々わざとらしいビリーさんです。

「『もう、だめよ?お子様が見ているんだから……そういうのは、あ・と・で」ウインクひとつです。ハートマークが周囲に飛び回っている感じです。微妙に表情が引きつっていますが。


 シルフィさんは、ブーツをと靴下を脱いで、湖畔の波打ち際で、水と戯れています。白く小さな細い足が、ぱしゃぱしゃと水を蹴っ飛ばして遊んでいます。

「テントはりを手伝わなくでよろしいのでございましょうか?」黒髪の美少年であるところの四季さんが、荷物を降ろしたあと、波打ち際へ来て、シルフィさんに尋ねます。

「いーのです、あそこは二人っきりにさせる段取りなのです。それよりもです」ちょいっと、近づいてきた美少年の服、その袖を引っ張ります。今日の四季さんの服装は、前会わせの生地を帯でまとめたいつもの格好で、足は長い筒のようなズボンで覆われています。

「『いっしょにあそぼ』」少女らしい、無垢な笑みで誘ってみている可愛いシルフィさんです。

「肯定します、いえ否定します?、その……ああ『だめだよ、濡れてしまいます』」少し戸惑った感じで言う四季さんです。

「『ぬいじゃいなよ』」と言いながら、小さな白い手で、腰の帯の結び目をほどこうといたします。

「否?肯?を半分くらい?『だめだよ、やめてよ』」と言いながら、なすがままに帯がほどけ、筒状のズボンが地面におちます。白い長めの上着だけになる四季さんです。白いシャツから伸びる健康的な、でも色白の細い足が、とある客層には、目の毒ではないでしょうか?細い足首ですね。

「『ほらほら早く』」無邪気に両手で引っ張るシルフィさんです、それに対して、不自然なほどに自然に体勢を崩して、転んでしまう黒髪美少年です。とうぜん、銀髪美少女も巻き込みます。

 水音を立てて、湖に倒れ込む二人。服が濡れて、身体に貼り付いていくのです。水が目に入ったのか、目をつむって、頭を振っているシルフィさん。その小柄な身体に覆い被さるように、倒れた少年の手が、まるで逃がさないよ子猫ちゃん、とばかりにその頭のの両側へと、ついています。微妙な距離感の顔と顔ですね。ちらりと水にぬれて貼り付いた、少女の胸元に目をやって赤くなる少年さんです。銀色の髪が、濡れて乱れて、います。黒髪から水がぽつぽつと落ちて、水面に波紋を刻んでいます。目を開いた少女が、ちょっとびっくりしたような表情をして、そして、無邪気に笑います。向き出しの足どうしが、ふれあっています。

「『くすぐったいよ?』」少女が言いました。

「謝罪?戸惑い?動悸を少し……ん、『ご、ごめん』」そして見つめ合う二人。そしてどちらかからか、顔を近づけて……。吹き出します。無邪気な少年少女の笑い声が、奇麗な湖畔に響いたのでした。


 湖畔の広場でたき火です。ぱちぱちと爆ぜる小さな音が聞こえます。大きめのタオルにくるまれて、少年と少女は、温かい飲み物を飲んでいます。

「暑いとは言え、なにも服を着たまま湖に飛び込むなんて……ファンキーだな」右手を突き出して、親指だけを上に向けて伸ばしてのたまうビリーさんです。

 同じように親指を天に向けて返すシルフィさんです。

「肯定いたします。この状況に対応いたします?『焚き火を越えておいで』」何か思い出すように言う四季さんです。

「いや、その台詞時間帯と、シチュエーションが違うから」爽やかに笑いながらビリーさんが、言います。

「そうなのです、この状況なら、こうなのですよ」美少女のシルフィさんは、まだ湿っている銀髪をかきあげて、その手を地面においておいた飲み物のポットへ伸ばします、で、視線をちらりと黒髪の美少年に向けます。少年は、かるく目配せをして、同じようにポットへ伸ばして、偶然二人の手が重なる体をなします。そして、驚いたようにように同時に手を引きます。当然二人の顔はほのかに赤くなっていて、意識しているわけですね。

「ひゅーひゅー、おあついね~」ビリー青年がちゃかします。

「うん、なんだか初々しいね」暖かい眼差しを向けるエルさんです。

 ますます顔を赤くする、初々しい少年少女さん達でありました。

「こちらもやりますか?」ビリーさんが、おもむろに服を脱ぎます。

「ええ、負けてはいられません!」金髪美女のエルさんも、大きなお胸を揺らしながら、脱いで行きます。当然下からは、水着が現れるわけです。エメラルド色を基調とした、胸と腰を隠すだけの水着です。奇麗な白いお腹が見えています。股のほうもいい角度で切れ込んであり、もともとすらりと長く、肉感がある足が、強調されています。お胸のほうも、やや布地は少なめで、半分くらいこぼれています。せくしーだいなまいつ、なのであります。

 ビリーさんの裸も、奇麗にお腹が割れていて、たくましいのです。小柄ではありますが、スタイルも良く、贅肉もありません。軽く柔軟体操をしている様子が、狩りに行く前の肉食獣の様なしなやかな躍動感を周囲にふりまいています。

 そして、美青年と美女は、手に手をとって、波打ち際できゃっきゃうふふふです。きゃあ冷たい、おかえし、やったなぁ、とか、捕まえてご覧なさい、なのです。独り者であったなら、嫉妬の炎を燃え上がらせるような感じなのであります。

 露骨にならないように、それでもきわどいボディタッチもあったりして、わざとらしく「きゃあ」とか言っている黒い羽根をぱたぱたさせている堕天使のエルさんなのです。かるく飛んで、水面で踊ったりするのです。それを見てビリーさんが、

「すごい、『僕の女神様だね』」とか言ったりするわけです。いえ、エルさんは堕天使さんですが。堕天使らしい、婀娜っぽい笑みを浮かべてみたりしますが。それに惹かれるように、両手で足にからみついて、そのまま抱え上げてみるビリーさんです。周囲に振りまかれる水しぶきが、いい感じにキラキラして二人を祝福するのであります。


 湖畔では、いつの間にか並んで木のベンチ(丸太を倒しただけのもの)に少年少女が座っています。彼女達は手をからませて、寄り添っています。視線は湖の方向へ向けながら、意識はお互いの方向へ向いているような感じです。十代後半の美少年によりそう、十歳ちょいくらいの美少女という構図で、なんだか、甘えている妹?といった感じです。少年は、空いた手で少女のまだ少し湿った髪をタオルで拭いてあげています。とても優しい手つきです。少女は気持ち良さそうに、猫のように目を細めています。

「『私たちももう少し遊ばない?』」上目遣いに、四季少年を見るシルフィさんです。

「肯定、躊躇しつつ『それじゃあ、奇麗な花が咲いている所を知っているんだ、一緒に見に行こうよ』」四季さんが応えます。

「『うん』」可愛らしくうなづきます。

 そして、二人きりで森の中へ行くのです。じゃまな大人の目をさけて、少年と少女のちょっとした冒険といった、感じです。


 一面、白い花が咲き誇る森の中に広がる、空間です。いわゆる妖精の庭といった所なのです。

「感嘆、漏出する感動です『……奇麗だ』」

「『そうね、奇麗な花』」その花に囲まれている、白いワンピースの乙女、シルフィさんなのです。

「否定と、少し踏み込んで『そうじゃないよ、私が奇麗って言ったのは貴女のことです』」その言葉に赤くなるシルフィさんです。そして振り返ると思ったより近い位置に少年の整った顔があって驚くのです。

「更に踏み込みます『……きすしてもいい?』」

「『きかないでよ……』」と目を閉じる美少女さんです。二人の影がかさなるのです。ハイティーンの黒髪美少年と、ローティーンの銀髪美少女の距離が限りなく0になるわけです……犯罪じゃないですよ、多分きっと、……色々ぎりぎりなのです。


 ***


 ”お山”の向こうに日が落ちて、湖畔の広場でキャンプファイヤーです。アコースティックギターでフォークソングを器用に奏でているのは、ビリーさんです。それに会わせて、天使の歌声を披露しているのがエルさんです。堕天使ですが。

 二人の少年少女も、合わせられる所は歌っていますが、半分以上、エルさんの天上の美声に聞き惚れています。

「よし、乗ってきたな!」ぱちりと、指をならすビリーさんです。ひゅん、といった音をたてて、ギターが宙に浮き、ひとりでに音楽をならし始めます、陽気なダンスミュージックです。焚き火の周囲で、男女ペアになって、くるくる激しく踊ります。その振り付けはちょっとお肌のふれあいが多いタイプで、扇情的です。年長者同士は、ちょっとそれどうなの?というくらい、激しくくっついたり抱き上げたり、終止笑顔で踊りまくっています。年少組はそれに比べると、おとなしいですが、小柄な少女の身体を抱き上げて、宙に飛ばして、踊っています。

 それぞれの男女で、世界を作って、時折熱い視線をかわしていくわけです。


 宴もたけなわになりましたがそろそろお開きです。

「『汗をかいちゃったわ、少し湖でながしてくる』」エルさんが、言いますと。

「『それなら、木陰にシャワーを作ってみたよ、あびてごらん』」とビリーさんが応えます。

「『うれしい!ありがとう、大好き』」かるく頬のキスをして、指し示されたほうへ歩き出す、エルさんです。途中でくるりと振り返り悪戯っぽい表情で。

「『いっしょにあびる?』」とか言ったりします。無言で立ち上がるビリーさんに、対して。

「『じょうだんよ、えっち』」小悪魔的に笑います堕天使ですが。そして、すっと、青年に近づいて。耳元で。

「『おたのしみは、子供たちがねてからね』」と囁くわけです。

「『いぇす』」ウインクひとつのビリーさんです。

 で、暗闇に消えたエルさんをそっと追いかける(覗きに行く)どうしようもない青年さんがいるわけですが……。


 シルフィさんと、四季さんは、もう少し焚き火の側にいます。暑い季節ですが、夜は少し冷えるようです。小さな身体を抱え込むようみして、少女を抱いている少年さんです。いかがわしい感じにならないのは、二人とも美形だからでしょうか?対のお人形さんみたいです。

「ビリー師匠離れてしまいましたね?」四季さんがシルフィさんに語りかけます。

「うん、けっこうたくさん”ふらぐ”をたてたからかな、こちらも仕上げしよ?」くるりと小柄な身体を回して、少年の膝の上にのって、軽く背に手をまわす少女さんです。

「『ふたりっきりね』」

「躊躇しつつ、興奮を少し『……だめだよ、まだ僕らには早いよ』」

「『おんなっていきなりおとなになるものなの』」無垢な表情、笑みを浮かべながら。

「無言で抱擁…」

 すっと、密着する少年と少女さんです。

 そして、その背後から、気配を消して迫り来る大きな影。


 ***


 薄いカーテンの向こうから、鼻歌が聞こえます。シャワーの音と、身体を洗う音。カーテンには素晴らしいプロポーションの女性が映っています。と、聞こえる足もとの枝を折る音。

「『もう、ビリー、まだ早いって言ってるでしょ』」甘い声。それでも止まらない、重い足音、大きな影。不信に思い、振り返るエルさん。ほとんど間を置かないで大きな手で打ち払われる、しきりのカーテン。

 絶叫が夜の森に響きます。


 ***


 たなびく硝煙、少年に抱きついたまま、器用に抜き放った”拳銃”の一撃で、四季さんの背後に迫ってきていた、白い仮面の大きな斧を持った大男を打ち抜くシルフィさんです。その大男は一拍置いて消え去り、後には、赤黒い親指の先ほどの水晶が地面に転がります。

「いえい♪、ひっと、です」

 同時にするっと、少女から離れて立ち上がり、そのまま少女の背後へと踏み込み、焚き火を越えて襲いかかろうとしていた、同じような、白い仮面の大男へと接敵する四季さん。腰につけていた短刀で、連撃です。あっと言う間に同じように水晶を残して消える大男型の”怪物”です。

「二体目でございます」


 ***


 シャワーのカーテン越しに突き出された長い槍に、胸を刺貫かれた白いマスクの怪人が、絶叫をあげています。槍の使い手は、エメラルド色の水着に身をつつんだ、エルさんです。怪人の”怪物”は水晶を残して消えます。

 風切り音とともに、槍を払うエルさんです。

 轟音が周囲に響きます。無数にわきあがった、白い仮面の斧をもった大男達が、ビリーの早撃ちで消滅して行きます。

「『無事かマイハニー』」”ガンマン”スタイルのビリーさんの登場です、ところで、白い歯ってどうやって輝かせいるのでしょうか?

「それはもういいって……」疲れたような笑みを浮かべるエルさんです。同時に白い大きな布を身にまといます。

「もったいない、せっかくのいい身体なのに……」ちょっと残念そうなビリーさんです。

「『そういうのは後でね、ダーリン』ですよ」悪戯っぽく笑いながら、後ろに迫る仮面の”怪物”を振り返りもせずに切り伏せるエルさんです。

「……そーだな、とっとと片付けちまうか。さあ『Hunting』だ!」じゃきこん、と”拳銃”を両手で構えるビリーさんなのです。


 ***

 

 後日、”お山”の巨大な黒い竜の人(御歳10万と38歳)の洞窟で。

「はい、これ、依頼の水晶、赤黒いやつですね」シルフィさんが、ざらざらとテーブルの上に広げます。

「おお、ありがとう。この素材の水晶が欲しかったのですよ。これで、また機材が充実するんです」

 ”怪物”を倒すことで手に入る水晶は、専門の”スキル”で加工することによって、様々なアイテムに変化させることができます。この洞窟にいる巨大な黒い竜の人はそれのスペシャリストで、”鍛冶屋”さんにして、常識外の”発明家”さんであります。

 今回、シルフィさん達4人は、その素材となる特殊な水晶を取る依頼を、この竜の人であるヤミさんから受けていたのでした。

「しかしよー、相変わらず変な”怪物”だよな、男女でいちゃいちゃしてると、あるタイミングで出現するってのはよ」ビリーさんが、ひょいぱくと、テーブルの上の菓子を口にしながら、言います。

「おかげで、恥ずかしかったです」とは堕天使のエルさんです。

「結構、興が乗っていた様子で御座いましたが……」四季さんが、他意なく尋ねます。

「……もとの職場がねー、仕事中心で、潤いが遠くて……、密かに憧れていたシチュではあったのですよねー」視線をずらすエルさんです。ええ、彼女はなるべくして堕天したような気がひしひしといたします。

「ええと、そうです、台本しなりおをお返しします、よくわからなかった所もありますけど、けっこう面白かったです」二パリと笑うシルフィさんです。

「肯定?否定?ナギ様の経験もこの身に還元されておりますゆえ、具体的には口にはいたしませんが、色々危うかったような気も致します」四季さんが言います。

「うん、大丈夫、地上波でながせる範囲には健全だから、肝心な所は光って隠れるくらい?商業用の円盤になると、危ないかもしれないけどね」大きな指を立てて言うヤミさんです。

「おいこらてめえ、俺の可愛い弟子になにさせてやがる……おい、俺のもらった台本と大分違うぞこら!」

「あー、ビリーのはおとなしめのバージョンだから、やっぱ、たくさん素材欲しかったから、ぎりぎりまで迫ってみました」いい笑顔なのかどうかはは虫類顔なので分かりませんが、声はなんともいい声でした。ノータイムで打ち込まれる、光の弾丸です。

「いーかげんにしろ、撃つぞおら!」音速で抜き打ちされた、硝煙たなびく銃口です。

「撃ってから言ったね!痛いんだぞそれ」痛いで済んでいるだけ、非常識なのですが。

「あー大丈夫だった、シルフィちゃん?」ぱらぱらと少女と少年の台本を見る大人の女性の、エルさんです。

「なにがです?」不思議そうに尋ねるシルフィさんです。

「美味しゅう御座いました、色々。感謝で御座いますね」手を合わせて、お礼をする四季君です。

「「「「え?」」」」驚愕の表情で固まる、師匠さんと、竜の人と、堕天使の人です。


「冗談ですよね」とエルさんがひそひそと、四季さんから離れて、ヤミさんとビリーさんに。

「ええと、多分?でもナギさんの”血”も入っているんですよね?」こそこそとヤミさん。

「やろう……もいでやる」ぎらりと危険な目をするビリーさんです。

「実は冗談でございます」いつの間にか内緒話に参加している四季さんに、驚く三人です。

「そうですよね、あんなの(軽薄スケベ堕神)が、増殖したのかと思いました」エルさん、意外にヒドい言い草だと思うのです。

「真剣なお付き合いは、もう少しあの方が大人になってから申し込もうと思案するしだい」冷静に、真面目に言い放ってますよ、この美少年。

「「「「え?」」」」驚愕の表情で固まる、師匠さんと、竜の人と、堕天使の人です。


 夏という季節は、身も心も開放的にしてくださいますね、といったしだいで。

 数十世紀の経験がある”神主”が基本を作り、世界をつくったくらいの2柱の神様の力を注ぎ込まれた、規格外の”自律式の式神”(0歳)が、結構、がっちりとした恋心を、これまた、非常識なまでのスペックを”呪い”の副作用で誇る少女へ抱いたという程度の、なんとも平和な”お山”の日常でございました。


 少女は無邪気に笑っています。


 幸いなるかな


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