話
それから楽しいお茶会は終わり、後片付けや夕食やお風呂も終わった。
「ではー、今日のお泊まり会のメインイベントの、パジャマパーティーを始めたいと思いますっ」
主宰者の哉子が、宣言をする。
哉子の部屋に集まった私たちは、お茶を飲みながら、いろいろとわいわいとお菓子をつまみつつ、話を楽しんでいる。
「……そう言えば、恋人っているのかなぁ」
ポテチをつまみつつ、会話の流れから、ふと気になった。
ちょうど、授業の話から、友達の話になっていた。
「恋人って、いるわよ」
さらっというのは、もう誰もがそのことを知っている愛美だ。
「知ってる。先輩だっけ」
「そう、天栄英資先輩。とても優しいんだよ?」
私が聞き返すと愛美が話しだす。
「なんていったって、宿題を教えてくれるからね」
「そりゃ、先輩だから、教えることは楽勝なんでしょうね」
佐目が、食べながら言う。
「それだけじゃないよ。なにかピンチになったら駆けつけてくれるんだから」
「駆けつけて、助けるのって愛美の方が多いんじゃない?」
「うん、まあそうなんだけどね……」
お茶を飲み、愛美が言う。
「先輩よりも、愛美の方が強いのは、もう誰もが知ることだし。そういえば、このまえ、学校のチンピラを独りでのしたんだってね。土下座して詫びに来たって聞いたけど」
「そうなのよ。やつら、佐目にいやらしいことしようとしてたみたいでね。ついでに、このあたりの不良らが集まっていたから、みんな一緒に叩きのめしちゃった」
笑いながら言うようなセリフではないと思う。
だが、愛美が言うことは、事実らしい。
いろんなところからの話を勘案して考えると、どうやら本当のことらしいのだ。
もっとも、不良が煙草を吸って火災報知機が鳴ったということと、ぼこぼこにされて見つかったということが一致していないという、よく分からない事実もあるのだが。