お茶会
私たちは家につくと、さっそくケーキを作ることにした。
きゃあきゃあ騒がしく作っていくと、あっという間に時間は過ぎる。
「あ、もうこんな時間?」
スポンジ生地をオーブンから取り出したころには、3時を少し回っていた。
「でも、もうすぐで完成だから。大丈夫。紅茶の準備も整ってるし」
誰かがアフタヌーンティーを飲みたいといったので、急遽、ティーバッグで紅茶を入れることになったのだ。
「そういや、何のケーキ作るつもりだったっけ」
佐目がぽやんと聞いた。
「決まってるでしょ」
すぐに哉子が答える。
「イチゴ乗せホールケーキ、12cmよ!」
「え、そうだっけ」
すぐに愛美が聞き返す。
たしかに、イチゴはたくさんあるし、そうだったかもしれない。
でも、誰もはっきりと覚えていなかった。
ただ、楽しかったら、今はよかった。
「できたー!」
一番うれしそうなのは、佐目だ。
ケーキを四等分して、それぞれお皿に乗せて移動する。
ダイニングにテーブルがあるから、そこで食べようということになった。
いつもの夕食と同じ感じだ。
「紅茶は、今いれてるところだからね。もうちょっと待ってて」
紅茶役には愛美が選ばれた。
最近は紅茶にこっているらしい。
「ミルクや砂糖がほしい人は?」
その愛美がお湯をカップに注ぎながら聞く。
「あ、ほしい」
言ったのは哉子だ。
それから砂糖だけほしいといったのは私と佐目。
「わかった、じゃあ、もうちょっと待っててね」
なんだかわからないが、愛美の分のケーキも持っていく。
「ありがとー」
言いながらも、携帯で時間を計っているようだ。
「ストップウォッチ?」
「そ、最適な蒸らし時間に時計は必需品だからね」
「へぇ」
ここから語らせると長くなりそうだったので、簡単に切っておいた。
それから2分半、ティーバッグをコップから取り出して、ミルクを入れたりしていたら、3時半となった。
「では、いただきまーす」
哉子が音頭をとって、それから食べ始める。
「あ、おいしい」
「うん、おいしい。これだったらお店に出してもいいんじゃない?」
「文化祭とかどうかな」
「いいね。クラスと話し合ってみようか」
笑いあいながら、わいわいと楽しいお茶会となった。