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筒井城攻防戦 下

松永氏滅亡?です。

こんな簡単でいいのか?まあいいか。

「えーい、一体何をしておる。まだ大手門を破れぬぬのか!」

松永久秀は、焦れていた。

本来の予定では1日で筒井城を落とし、すぐさま京に戻るつもりでいたのだ。

先の永禄の変以降、まだ京は不安定であり、松永等の軍勢が長期に空けることはできなかったのである。


「只今、奥田忠高殿の隊が大手門に取り付いております。今しばらくで良い知らせが参りましょう」


そこへ、使番が飛び込んできた。

「申し上げます」


「うむ」


「奥田隊が、大手門を突破後、集中砲火を受け壊滅いたしました。忠高様は行方知れずにございます」


それを聞いた者は立ち上がった。

「何!一体何が起こったというのだ!」


「突如、門が開き、釣られて突入した奥田隊は、四方からの集中砲火を受けたようにでございます」


「ええい!おのれ!攻撃を続けよ!全力で攻め落とせ!」



その後も、松永勢は攻め続けたが、筒井側の必死の防戦のため、

なかなか戦果をあげることができなかった。


***


「殿。もはや、夕闇が迫ろうとしております。お味方の被害も甚大、

一旦引かれては」


「うーむ。やむをえまい。夜営の準備をさせよ」


「本日の攻撃で、筒井にかなりの打撃を与えております。明日には落とすことができましょう。殿もお早めにお休みくださりませ」



松永軍は、朝からの激闘にて、多くの侍大将、兵を失い、傷付き、疲労していた。



***


筒井城からの急使を受け、秘かに信貴山城を出陣した筒井藤勝の軍勢は、急ぎ筒井城方面に急行。松永勢に夜襲をかけるべく潜んでいた。


「夜半を持って、攻撃を仕掛ける」

「俺は本隊を率い、まっすぐ南西より攻撃を仕掛ける。右近、補佐せよ」


「御意にございます」

松倉右近が頭を下げる。


「左近、正重は兵一千五百を率い、少し東側から攻撃を仕掛けよ」


「ははっ」

「承知!腕がなり申す」

島左近と本多正重が答える。


「算正殿。夜でも鉄砲は打てまするか?」


「無論。外す様な奴は、わしの配下にはおらん」

津田算正が何を言うんだ、と言わんばかりに睨む。


「これは失礼致した。では、義昌とともに北へ周り、逃げてくるであろう敵を捕捉、撃破してくだされ。」


「承知した」

佐武義昌も頷く。


「よし、皆の者、よろしく頼むぞ」


「ははっ!」



「あ、義昌」

俺は、出ていこうとする、義昌を呼び止めた。

義昌が怪訝そうに見る。


「近う」


「折り入って、頼みがある。もし、久秀を含め松永の主だった者は、

できるだけ殺さず捕らえて欲しい。冷静なそなたにしか頼めぬ。」


「なにゆえに?」


「いや、なに。筒井は、人が足りんのでな」


「・・・。承知致した」

不満そうであるが、わかってくれたようだ。


「裏切り者の大和国人衆に容赦はいらん。叩きのめしてやれ」


「ははっ」



***


松永の陣に、突如火の手が上がり、筒井勢が乱入してきた。

一部を除き寝静まっていため、松永勢はたちまち混乱に陥いる。

日中の戦闘で、多くの部隊長が討ち死にし不足しているために、隊をなして対処することができず、防戦一方となった。


「殿!起きてくだされ。敵の夜襲でござる」


「何!城から討って出てきたのか?大した数ではなかろう。対処いたせ」


「違いまする。南方より、新手にございまする」


「何だと!では、まさか、信貴山から来たというのか?」


「はっ、そのようで。予め準備していたのやも」


「おのれ、どうしてこうも、先手先手を取られる。わしらの行動を予知しているようだ」



「うわーーーーーーっ」

新たな悲鳴が上がる



「どうした!?」


「東より新手が!城からも討って出てまいりました!」



松永久秀は、即断した。

「くそ!このままでは危ない!兵を纏められるだけ纏め退却する」


「国人衆が応戦しておりますが・・・」


「捨て置けい!奴らに用はない」


「忠俊殿にも伝えよ。即合流し、北方に退避する。急げ!」


「ははっ」



***


北方の佐武義昌隊


物見の侍が報告に来た。

「南から兵が近づいて参ります」


「うむ。数は如何ほどか?」


「はっ、数は八百程かと」


「うむ。他には?」


「輿のようなものが見えます」


「輿だと?」


「確か久秀は馬に乗れなかったな」


「はっ」


松永久秀は教興寺の戦いで、足を射抜かれて以来、馬に乗れなくなっていたのだ。


「よし。迎え撃つぞ!算正殿に伝令を」



***


松永久秀及び側近らは馬廻り衆に守られ、甥の内藤忠俊の隊と合流後、北方に退避すべく道を急いでいた。


ぱぱぱぱーーん


突如、銃声が響き、周りの兵が倒れる。


「待ち伏せだ!引け―っ」

松永久秀が怒鳴る。



騎馬を含む部隊が突っ込んできた。

必死に応戦するも、次々にが討たれていく。


「筒井藤勝が家臣、佐武義昌でござる。松永久秀殿とお見受けにする。

もはや逃げることはでき申さぬ。降伏なされよ」


「ふん。誰が、筒井づれになどに下るか」

久秀が、毒づき睨む。


「何!輿で逃げおせると、思っておるのか!」


そこに、内藤忠俊が前に出た。

「ここは、私が食い止めますゆえ、伯父上は逃れてくださいませ」


「ならぬ。お前をなくしては、亡き弟に申し訳が立たぬわ」

久秀の顔が変わり、身を乗り出した。


忠俊は、にっこりと笑う。

「何、死ぬ気など毛頭ありませぬ。負けはいたしませぬよ」


久秀は苦りきった顔で、忠俊を見るが反意させることはできなかった。



「そなたの相手は、拙者がさせて頂こう」

佐武義昌の隊より、若武者が1人進み出た。

義昌が頷く。


「何者ぞ!?」


「白井浄三が息、宗幹。参る!」


名乗ると同時に、馬を駆り忠俊に襲いかかる。


ギン!


忠俊は、不意を衝かれた形になった。

なんとか、一撃目は受け止めたが、次撃を避けることができなかった。


バキィ!


強かに打ちすえられ、馬から転落する。

全身を強打し、意識を失った。



「忠俊!おのれ!もはや、これまでか!」


「捕らえよ!」

義昌の声が響く。



とっさに、久秀は腹を切ろうとしたが、乗っていた輿を引き倒され転落し、取り押さえられてしまった。


「何をする!?離せ~!」


「貴様のような鬼畜には、腹など切らせぬ。衆目の前で、斬首にしてくれる」

義昌は、冷たく言い放った。


「おのれ~」



***


筒井城攻防戦は、筒井側の勝利のうちに終わった。

松永の侵攻を予想し、用意周到に備えていた結果であるが。

他方面でも徹底した追撃が行われ、多くの者が討たれ、囚われている。


松永についた大和北部の国人衆は、執拗に追撃され、殺害された。

一方で、松永家、内藤家家臣は、幕僚を中心に意図的に捕えられ残された。

藤勝は、彼らの有能な者選抜し、自ら家臣に迎えようと考えていたのだ。






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