戦国時代に転生?
頭が痛い・・・。ガンガンする。
確か日本橋に新作ゲームを買いに行って、その帰りに久しぶりに会った友達と飲んで、
いい気持ちでいつもの駅のホームを歩いていたんだが。その後記憶がない。
どうやって、家に帰ったんだっけ。
どうも布団に寝かされているようだ。おかしいな。うちはベッドだぞ。
うっすらと目を開く。まだ霞んでよく見えない。
「殿がお目覚めになったぞ。水持ってこい!」
は?殿?誰のこと?
「おおっ、目覚められたか。よかったの、左近殿。おい、誰か水だ」
おれはゆっくりと
「ささ。殿、お水を」
あんがと。誰か知らんけど。どうも頭がはっきりしない。
やっと、目がはっきりしてきたぞ。と、ふとでっかい顔の男と目があった。
うわあ!怖ぇー、まるで鬼瓦だ。
ブーーー。盛大に吹き出しました。
「誰だ!おまえ!!」
目の前の男の顔は、俺が噴出した水でびしょぬれ。あーあ。
「何をおっしゃる!左近ですぞ!殿!」
よく見ると、さっきまで泣いてたのか、涙と鼻水でぐしょぐしょである。
「さこん?さこん?さこん?」
さっきから「殿」「殿」って、俺のことを言っているのか。
「右近殿、殿はいかがされたのであろうか?」
「まだ、朦朧とされているようですな。なんせ頭を強く打たれたようですので」
「まあ、目を覚まされたのであれば大丈夫であろう。もう少し寝させてあげられよ」
「そうですな。殿、もう少し寝られよ。楽になられるであろう」
「あ、うん」
よくわからんが、ひとまずふて寝だ。
で、一体ここどこなんだ?知らんうちに、和服に着てるし、畳みだし。
奇麗な装飾のある天井に、四方は見たことがない襖。どこかのお屋敷みたいだ。
俺のことを「殿」って呼んでいた。ということは、どこかの武家の当主らしい。
そういえば、さっき「さこん」、ていってたな。
で、俺は、さこんさんの殿つまり主人なのか?
小さな会社のしがないサラリーマンだったが、歴史には自信がある。
特に戦国時代が好きで、大河ドラマは欠かさず見ていたし、本はかなり読んだ。
信長の○望とか太閤○○伝とかもやりこんでいたしね。
戦国時代は本名より仮名とか官位名で呼ぶのが普通だった。
「左近」は左近衛少尉などの略で、自称するものも多かった。
「左近」でいちばん有名なのは、大和出身の豪傑である島左近だ。
その島左近の殿ってことは、俺は石田三成なのか!?
将来、関ヶ原の戦いにやぶれて、市中引き回しの上、打ち首。
おわた・・・。
ん?
さっきの左近、でも凄い若かったぞ?三成の家臣だったら、もっと老けてるはず。
それに、右近ってのは誰のことだ? 有名な高山右近は、三成の家臣じゃないよな。
後で、左近さんにそれとなく聞いてみるか。
数時間後・・・
いつも間にか、眠ってしまったらしい。
「殿、お目覚めでござるか?」
ここは、左近さんと二人で話したいな。
「あぁ、すまぬが、左近と二人にしてくれんか?」
「わかり申した。皆さがれ」「ははっ」
「でー、左近さん」
「はぁ?左近さん?」
しまった。つい癖で。しかし、でっかい顔だな。
「あ、いや、左近。まだ頭が痛くてよく思い出せないんだが、何があったんだっけ」
「殿、本当に大丈夫でござるか?」
「殿は、今朝わしとともに、乗馬の教練をされていた時に、落馬されたのです。
頭を強く打たれたようで、3刻も目を覚まされたのですぞ。わしは心配で、心配で」
「それは、申しわけなかったな。ところで、今は何年であったかな?」
「今年は永禄3年でござるが、いかがなされましたか?」
永禄3年か。ということは、西暦でいうと1560年かな?
おかしいな?石田三成は1560年生まれのはず。でも俺は、すでに大きくて10歳くらい
の子供。三成ではないのか?
「で、右近って誰のことかな?」
「右近殿は、松倉右近重信殿ですぞ」
島左近と松倉右近の殿様
あー、ということは、ここは筒井城で、俺は筒井順慶なのね。
石田三成よりはましだけど、碌な人生ではなさそうだ。
筒井順慶
1549年生まれなので、1560年の今は11歳。幼名は「藤勝」、後に元服、得度して、順慶と名を改める。
わずか2歳で家督相続し、今は叔父の順政さんが政務を見ている。
その叔父さんも1564年に死んじゃって、1565年に宿敵松永久秀に筒井城を攻められて落城。
暫く路頭に迷う。その後上洛した信長に従って久秀を倒し、筒井城をとりかえす。
本能寺の変を経て山崎の戦いで明智光秀を見限り、裏切り者呼ばわり。1584年36歳で亡くなる。
後を継いだ筒井定次は、後に改易となり筒井家は断絶する。
史実通りの筒井家の戦力じゃ、正直松永に勝つのは難しく落城を免れるのは難しい。
何とかならないかな。せめて路頭に迷うのは避けたいんだけどね。
初めて小説を書きました。
誤字、脱字があればご勘弁を。
感想お待ちしております。
10/13
転生過程を端折り過ぎとの指摘がありましたので、加筆修正。