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「大ごとっていうか凄い事だよ!!」
「すっ・・・・すごい事なんだ・・・」
凄い事と言われる内容を聞きたいような聞かない方がいいような・・・
聞きたくないけれど聞かなきゃいけないような
なんとも言えない気持ちになる
どうしようか悩んでる私の気持ちを遮るようにチャイムが鳴った
ほどなくして財前先生が教室へやってくる
どうやら今学期の委員などを決めるようだ
黒板に書かれた委員会名 それはどこにでもあるような普通の委員会
生徒全員が委員にならなければいけないような事はないらしい
まだこの学園について初心者の私は名乗りをあげるような事はしない
…委員会とか面倒くさい
クラブ活動とかもなぁ。強制でない事を祈ろう
前の学校では「家庭科部」だったが、ここの女子の少なさを見るとあるのかどうかも怪しい
ていうか。前の家庭科部ってのは名前だけ
人数も6人という部活に必要とされる最低人数しか所属しておらず
週に2回ほどの活動内容は「家庭科」と言いながらまともな活動はほぼしていないお遊びクラブ
私は幽霊部員だったけれど、先輩からお咎めもなかったし 非常に楽だった
女子ばっかで人数も少なく幽霊部員でも怒られないでたまに行くと楽しいクラブ
そんな所だったら所属してもいい・・・・・ないだろうな・・・ここには・・
窓の外を眺めそんなことをぼーっと考えていた
「だーかーらー 斎賀さんは副委員長だって言ってんだろ!!」
・・・ん?
「待てよ!彼女は整備委員に欲しい!!」
・・・・・・・・んん??
「いやいやいや 美音ちゃんは保健委員だ!」
ちゃん・・・?
「えー 斎賀っちは図書委員でしょこの場合」
っち・・・だと?
「美音さんは風紀だって欲しいぞ」
はあー?
「抜け駆けすんなよな!みんなどこも欲しいって」
うん。気のせい・・・だったらいいな!!!!
つうか、気のせい聞き間違いにちがいない!!
私の同姓同名がこのクラスにきっと居るんだよ!!!!!!
なーんてことはもちろんない…ですよね(遠い目
なんか知らないうちに委員会所属で 私を取り合ってる・・・?
ていうか、好き勝手に名を呼ばれてるのはなぜですか?
なんだこれ・・・人生3回あるっていう噂のモテキってやつでしょうか
はい、調子こきました ごめんなさい
違うよね 違うよねえ!?
モテキなんかじゃないよね? もしモテキだったとしても即座に返品ねがいます
出会ったばっかで顔も名前も一致しないどころか
両方知らないと言い切れる異性に取り合いされた所で嬉しくもなんともありません
いらないよ?まったくもっていらないからね!!
どうでもいい事だけど、和久井・・・あんた保健委員なんだ
勝手に美音ちゃんとか言ってやがったけど さっきの平手打ちくらいじゃ反省ゼロですか…
保健委員…保健…… あー朝の春日先輩が保健委員とか言ってたような?
保健委員の選考は あれですか?顔ですか?皆美系ですか?
ならば絶対に保健委員には入らないように願うよ
むしろ私は入っちゃダメだろう 書類選考落ちですよ。資格なしです。
喜んで辞退します。
「おーい お前ら 本人無視して話し進めんな 見てみろ斎賀の顔、女とは思えないくらい眉間に皺寄ってて面白いぞぉ」
財前先生、毎回結構いいタイミングで会話に入るよね
鶴の一声というべきか・・・・
ただ あれだ・・・もう少し言葉を選んで欲しい
乙女(一応)の顔を指さし 面白いっていうな!!!!
「斎賀はどっかに入る意思あるか?興味ある委員に質問してもいいぞぉー」
先生の言葉に軽く頷き ゆっくり口を開く
「あ、あの私はこの学園の初心者です。慣れる方が先で、委員会所属とか考えてません」
「それはどこにも入らないって事でいいか?」
「はい」
「だってよ。お前ら斎賀は諦めろぉー 理事長枠ったって、前理事長の時とは違うんだから噂に踊らされんなー 本人がどっか入りたいって言いだしたら 途中参加も認めっから 今回は諦めろ 以上!」
そう先生が言うと教室内でブーイングが起こる
私はそんなブーイングより
また出てきた単語「理事長枠」が気になって仕方なかった
その事が顔に出ていたのだろうか?
財前先生は「斎賀、質問あるんだろ?授業終わったら化学準備室に来い」と声を掛けられた