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淡色  作者: 美舞
2/17

 下を向きながら校舎に向かって歩いていた私の顔を心配そうに覘きこむ男子


 「・・・・は?」


 いきなり掛けられた声とこちらを覘く顔が近かった為驚いてしまい


 思わず半歩後ずさった。



 「あ、いや・・・具合あまりよくなさそうだから・・・」


 

 「はぁ・・だっ大丈夫です。気にしないで下さい」


 

 目の前の男子は心配そうにこちらをうかがっている


 私はそんなに具合悪そうに歩いていたのだろうか?


 これからの事が憂鬱で、気分はすぐれないが別に具合が悪いわけではない


 熱もないし吐き気もなければ痛い所などどこもないし


 まあ、しいていえば 通学途中の人口の多さと男臭さに不快指数が若干上がっただけだ。



 「無理してない?俺、保健委員なんだよ、具合悪かったら素直に言って。保健室まで担ぐよ?」



 「いあいあいあ。無理とかしてないです。健康です。元気ですから担がれるような事はありません」



 むしろ保健室まで貴方に担がれる方が具合が悪化しそうです。

 

 担ぐとか随分とワイルドな搬送ですね。これから先もできるだけお世話にはなりたくない方法だ。


 とは、親切心で声を掛けてきてくれたのであろう彼には言えない


 目の前の保健委員だという男子は、少しくせ毛で色素の薄い茶系の髪 白い肌に大きな瞳


 瞳の色も髪と同じで茶系 あら…まぁ 随分と整った顔をしている


 身長は175cmないくらいかな?ほっそりとした体型だ


 美少年というやつだろう。


 ただ…なんていうのかな?初対面で持つ印象ではないと思うんだけれども


 彼から漂う雰囲気がちょっと独特で「美少年だけど幸薄そう」…


 「幸薄そうな美少年」あ、これの方がしっくりくる感じだ



 貴方…私を担ぐとか無理だろう。むしろ私を持ち上げようとして腰を痛めるタイプに違いない。


 

 心配そうに見てくる彼には少し申し訳ないが、私は至って健康なので保健室による必要性は皆無


 私が向かわなければいけないのは職員室。行きたくないけど行かなきゃいけない場所


 とりあえず目の前の幸薄そうな美少年に軽く会釈をし その場を通り過ぎる


 目指すは職員室。こんな場所で足止めを食ってる場合ではない




 で、なんで彼がまだ私の横を歩いているのか理解不能



 

 「俺、3年の春日咲也。君は見掛けない顔だけれど、転校生かい?」


 ・・・


 ・・・・・・


 求めてないのに自己紹介されてしまった!!!


 美少年のお知り合いとか募集してません。必要ないんですよ。いやマジで



 これって答えなきゃいけない?


 いけないよねぇ。先輩らしいし…



 「……今日からここに通う2年の斎賀「あっ咲がナンパしてるうーーーーー!!!」


 

 したくもない自己紹介の途中をぶった切る声


 声の聞こえた方向へ目を向けると


 おでこ全開の少年がこちらを指さし走って来る


 

 周囲を見渡すと・・・・



 あれ?なんか注目浴びてないか?


 私とこの春日先輩とやらの2ショットはそれほど目立つもんなんだろうか?


 こちらに向けられている視線に意識してしまうと


 見られる事に慣れていない私は戸惑いしかない。



 そうですよね。


 (幸薄そうでも)美少年な春日先輩と地味で不細工な私のツーショットなんてオカシイですよね。


 良く隣に並んでいられる勇気あるよなーってやつですよね…



 ダメだ。イタタマレナイ。



 一応自己紹介はした(はず)だからもういいよね?


 

 「春日先輩。私 職員室に行く時間なので行きますね。お気づかいありがとうございました」


 

 早口でおざなりのお礼を述べ ぺこりと頭を下げ校舎まで後ろを振り向かずに走る


 先輩に対してちょっと失礼だとは思うけれど


 きっと春日先輩は許して下さるだろう。


 ていうか許して欲しい。

 

 そしてこの事と私の事を脳裏から消しさ去りこの先2度と関わらないでもらいたい(切望)




 






 「あちゃー咲~逃げられちゃったね」


 「…逃げられちゃったね じゃないだろ!!治朗のせーじゃないか!!!」


 「えー僕のせー?」


 「ああ。治朗が声掛けるまでは普通だったのに…(多分)」


 「振り返りもしないでダッシュで逃げてったよ?」


 「治朗が来るのが嫌だったんだろ」


 「うわー自分の不甲斐なさを僕に全部押しつけるんだー」


 「そうだよ。全部治朗の責任」



 あははははと2人で笑いながらクラス替えが発表されてる掲示板へ足を向ける



 「で、本当にナンパしてたの?咲が女の子に声掛けるなんて珍しいじゃん」


 「…ナンパなわけないだろ?具合が悪そうに見えたんだよ。それで声掛けただけだよ」


 「見掛けない子だったねぇ」


 「ああ、転校生らしい。2年だってさ」


 「少し離れてたからさ、ちゃんと顔見れなかったんだけど可愛かった?」


 「ああ。可愛らしかったよ。もう少し話していたかったのにな。」


 「へえー咲が女の子の事そんなふうに言うなんて珍しいwww明日は雨じゃない?」





 

 美音が去った後 そんな会話がされていた事を彼女は知らない





 








 


 



 




 










 

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