12
長かった…非常に長い半日だった…
まだ、半日だよ?なのになんだこの疲労感 マジ半端ない。
まるで一人体育祭全種目出場したみたいな…あ、まあ、出たことないけど
登校時からの変な視線に耐え、先輩に絡まれ(私的に)、和久井に絡まれ(あいつは許さん)
柳先生の百合亜ちゃん講義に耐え 佐伯先生の黒い笑みに耐えた半日
あーまだ初日だよ…まったくもってやっていける気がしない
そんな事を思いながらやっとこさ帰宅
はぁー 普通だったら家に着いたら落ち着くとこだけど
落ち着かない…
昨日越して来たばっかりで、なんも片付いてないんだよね。間取りも慣れてないし
部屋の中には手つかずの段ボールが数箱私に開けられるのを待っている状態
家具とかは引っ越し屋さんに配置してもらったから大物は平気
寝場所とユニットバス周りは一応おk、小物類とか衣服あと台所周りかな
あっそうだ 一応挨拶回りもしてこないと…
昨日のうちに管理人さんには挨拶を済ませてある
私の部屋は3階の角部屋で、同じ階の人に挨拶しようと思ったら昨日は皆留守っぽかったんだよね
っていうかですね、ついさっきまでこの階は女性専用だったらいいなーとか思ってたんだけど
先生達が「男子専用マンション」とか言いやがってたよね?
挨拶回り行ったら 全室から男子学生が登場するってこと?あまり関わりたくないんだけど…
でも、行かないっていうのも…なんか非常識な気がするし 粗品タオルは買っちゃったし
うーん とりあえず行くか…
と思い腰をあげた時 ピンポーン とチャイムが鳴った
誰?勧誘?と思いながら インターフォンを取る
「はい」
「あー居た居た、斎賀さん、ちょっといいかなー?」
聞きなれない男性の声、あれ・・でもこの声
「あのぉ どちら様でしょうか?」
「ああ、ごめんごめん いきなりすぎたね。管理人の大石です」
「あっ 今ドア開けます」
そうか、聞きなれてはいないけど昨日聞いたばかりの声じゃないか。忘れるなんて失礼だったかな?
急いで開けた玄関先に 管理人の大石さん
うん。大石さん。それはいい。わかってた事だから
問題はその後ろにある2つの影
ちっ 騙された 何背負ってきちゃってんのよ!大石さん!!!信じてたのに…
信じてたのにいいいいいいいいいいい
と心で叫んだ 信じるもなにも声も忘れてた人だというのはこの際置いとく
「こんにちわ 斎賀さん」
「さっきぶりー美音ちゃん」
「体調は大丈夫だった?斎賀さん」
大石さんの後ろから保健委員コンビが声を掛けてくる
「………こんにちわ でっ 要件は何でしょうか 大石さん」
「あっれー俺はシカト?美音ちゃん」
「体調は元から悪くなかったから平気です。春日先輩」
「そっか。ちょっと気になってたんだ」
「あっれええええええええ やっぱり俺はシカトーー?美音ちゃああああん」
「うるさいです。そこの人、勝手に名前呼びしないでください」
「そこの人!!ちょっクラスメートに向かってそれは酷くね?」
「そこの人で十分です。認識して貰えるだけありがたいと思って下さい」
和久井は私の中では敵認定1号です。言葉が多少きつくなっても仕方ないのです
べつにこれは佐伯先生からの黒い笑みに負けたのが悔しく虫の居所が悪い為の
八つ当たりではないのです。(本音)
「なんか 和久井君にだけ ちょっとつめたくない?」
「雅治・・・お前なにやらかしたの?」
「えっ 俺は別に…」
「そこの人の事はどーでもいいですから、ご用件をお願いします」
「美音チャン…」
「あー雅治がなんかしちゃった?ごめんね」
「春日先輩が謝る必要はないです」
「和久井君もこのマンションに住んでるんだよね、出来れば仲良くしてね」
大石さんがなんとなくフォローに入る。ん?ここに住んでると?
・・・っていうことはあれか うちのクラスの成績1位ってこと?
えーーーーーーーーーー そんな頭良さそうに見えないのに なんか意外。
「俺も住んでるからね。斎賀さん仲良くしてね」
「春日先輩も?」
あら、これも予想外。春日先輩はあれだ 普段成績は良くても
テスト当日に熱を出してしまうようなタイプだと思ってましたよ(幸薄そうな感じが
「私はこれから同じ階の人に挨拶回りに行こうと思ってたんです。出来れば用件を早めに…」
ああああっ まさか!!! この2人が同じ階とか????
「まだ斎賀さんと同じフロアーには誰も居ないよ?」
「ええええええ 私の他にまだ誰も住んでいなかったんですか?」
よかった!隣が和久井じゃなくて良かった!マジ良かった!
誰も住んでいないのは驚いたけど、隣が和久井じゃない事実に歓喜
「入居者はもう申請来てるから、2~3日中には引っ越してくると思うよ?」
「…それは 女性とか?」
「いや、新一年生男4人」
デスヨネー
一瞬浮かんだ淡い期待は即効消されました