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淡色  作者: 美舞
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 例えば クラスで目立つグループをAとすると


 普通のグループがBで、地味目の目立たないグループがC


 私は小学生の頃からCグループ所属だろう


 Bでも別にいいんだけれど…


 でもやっぱり、出来ればもっと目立たない方が好き


 忘れ去られるくらいの存在でかまわない


 Aを薔薇だとして、Cの私は雑草あたりでお願いしたい


 高校受験は近所の女子校を希望した


 ご近所さんの中で一番ありふれていてどこにでもあるような地味なセーラー服という理由だけで。


 可愛い制服に憧れたことなどない


 それを着こなせる自信もなければ、努力もしない!という自信もあるから…

 


 なのに…


 なんで…


 タータンチェックのプリーツスカート

 紺色のブレザーはポケットのラインが赤

 胸元には可愛らしくエンブレムが入っている

 リボンも赤

 学校指定の紺色のハイソックスにもワンポイントで赤の刺繍

 という制服を着なければならないのか…


 ついこの間まで来ていた全身紺色ほぼ単色!っていう地味なセーラー服が愛しくてしかたない。

 カムバックセーラー服


 全身鏡を覘いてみたら、明らかに制服を着こなせていない地味な女がそこに居る。


 はあぁぁぁぁぁぁぁぁ


 とんでもなく似会っていない。

 可愛いブレザーとかさ、着るのも資格がいると思うわけですよ。これ制服見て近づいて来たら バックシャンだの詐欺だの言われるレベルだと思う。


 学校指定の制服着て歩いてるだけなのに

 知らない野郎から「詐欺」呼ばわりとかされたくないよ。

 

 ただでさえ中高一貫の私立校に高校2年の1学期に編入するのは憂鬱だ。しかもこんな制服とか…わかってはいたこととはいえ、憂鬱はさらに倍。

 でもここで戸惑っていて初日から遅刻とかして無駄に目立っても困る。

 着こなせていない制服を脳内から削除し、学校へ向かう。



 昨日越してきたばかりの一人暮らし用学生マンションから

 徒歩15分ほどで学校へ着く

 

 今日から通うこの中高一貫の私立H学園

 この辺りではそこそこ有名な進学校だそうだ

 少々特殊で、一応は共学なのだが…極端に女子が少ない

 男子クラス5に対して女子クラス1程度しか女子が居ない

 女生徒はほぼ学園関係者の縁故関係でしか入れないらしい

 願書という名の紹介状が必要だそうだ

 …正直その辺は良くしらない。


 だって、興味がなかったんだもの!!!仕方ないじゃない!!


 1週間前までこんな事になるなんて思ってもみなかったんだ!


 1年の学期末なんて友達と「来年も同じクラスだといいねー」

 とかなんとかいいながら過ごしたのに…


 

 春休みまっただ中、ダラダラまったりを思う存分に堪能していた私に、両親が爆弾発言をかましたのがきっかけだったと思う。

 「父さん、長期出張になっちゃったんだよ…」と父さんが寂しそうに言った

 「お母さんも一緒なのよ」と父と同じような表情で母さんも続いた

 「長期ってどれくらい?気をつけて行ってきてね」

 うちの両親は共働きでしかも同じ会社。父さんの出張は良くあることだし、母さんも父さんほどではないけれど出張はたまにある。

 2人で長期なんて珍しいなぁーくらいの感覚で

 普段どおり答えた


 「最低でも2年かな」


 「・・・・・・は?」


 「しかも海外なのよね」


 「・・・・・・あ?」


 「もしかすると、5年はかかるかもしれない」


 「だからね、美音ちゃんも一緒に来て欲しいのよ」


 「ねえ、それって出張じゃなく転勤って言わない?」


 「んーそうなるのかしらぁ?」なんて呑気に母が答えた


 …海外…2~5年・・・?

 「・・・・・・ぜえったい嫌だ!!!!私は残る!日本に残るよ!!!」

 海外ってだけでどこだかまだ知らなかったけれど

 出来るだけ地味に過ごし生きたい私はとっさにその答えしか持ち合わせていなかった。海外で生活なんて考えた事もない


 「でも、美音 お前一人ここへ残して置くわけにはいなかいだろう?」


 「女子高生の一人暮らしなんて、母さん心配だもの」


 「いーやーだ!学校もあるし、日本がいい!つうか日本じゃなきゃ嫌だ!!」


 「だがなぁ・・・」


 「私、家事だって普通にこなせるし一人暮らしでも平気だよ?絶対残る!」


 「じゃあ、美音、お前私立H学園へ編入しなさい」


 そう告げられたのが1週間前の出来事



 両親は私が海外へ行きたがらない事は予測済みだったようで

 私にこの事を告げる前に色々準備をしてあったらしい。

 願書と言う名の紹介状は、学園出身の副社長が用意したという

 元々会社側がこの学校への編入を両親に打診してきたらしい。

 一人暮らし用学生マンションは学園の所有物で

 セキュリティが万全←どうもここが重要だったらしく私の編入の件は決めていたらしい

 私が日本に残るにはこの学園に編入する1択しか選択枠はなかったのだ。だから1週間という期間ギリギリまで私に言いださなかったみたい。この短い期間に編入試験を受たり、荷造りしたり

「あっ」ちゅー間に1週間は過ぎた

 両親にしんみりお別れを言う暇もないほどに慌ただしい日々だった。私の春休みを返せ。


 新しい学校への希望も夢も心構えもなにももたないまま


 私は学園の門をくぐる


 本心はそのまままわれ右して帰りたい。


 通学途中 女子も一応見掛けたが、男子の数に圧倒された

 女子が5分の1しか居ないとか…

 ほぼ男子校じゃないか。

 1年間女子校に居た身としては

 通学だけで、ちょっと挫折しそうになったよ。


 


 「君・・・顔色悪いけど大丈夫かい?保健室いくかい?」


 



 





 


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