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50 衝撃の事実が判明しました

お腹一杯、胸一杯の食事を終え、リィンさんが淹れてくれたお茶を三人でのんびり飲み。


「さて、そろそろ風呂に入るか」

「お風呂場に着替えとタオルは用意してありますから」


ヴィンセントさんとリィンさんがそんな会話を交わす。


「ユーリ、今日は私とお風呂に入ろうか」

「明日は私と入りましょうね」


あれ、何故かお二人と一緒にお風呂に入るのは決定事項みたい。

ニコニコ笑顔の二人に、二度程瞬きをしてからコックリ頷く。

途端にヴィンセントさんに椅子から抱っこで移動と来た。



「ヴィンちぇ・・ントたいちょ、お片づけしてないよ?」

「さっきリィンが言っただろう? 今日は特別に免除だ。今日ぐらいはお客様でいいんだ」


さっき手を洗った洗面所を抜けて扉を開けると、そこには脱衣所とお風呂場に続くらしき扉が。

脱衣所には籠が置いてあり、その中に私とヴィンセントさんの着替えとタオルが確かに入っていた。


ただ、その上に凄く目を惹く物が乗ってるんですけど…。


「コレ、なぁに?」


私の気の所為でなければ、お湯に浮かぶアヒルさんですよね?

ジャニーズの某グループの番組でこちらも隊長と呼ばれてませんでしたっけか?


「お風呂のお供だ。水鳥の一種で、ダクを模しているおもちゃだな」

「ダク」


って、やっぱりアヒルかい。

英語のダックの変形ってことでしょ?


…魔大陸、ちょこちょこ可笑しい物が出現してるのはやっぱり気の所為では無いな。

由来は一体どこだ。調べられるかな。


「さ、入るぞ」


アヒル隊長改めダク隊長を見て首を傾げてると、さっさと脱いでいたヴィンセントさんに裸に剥かれてダク隊長と共にお風呂に入れられました。

あーれー。







サクッと洗われ、ヴィンセントさんの背中をいつもオッジさんにする様に洗い、二人揃って泡を流した所でヴィンセントさんの膝に乗った状態で湯船に浸かる。


羞恥心?

最早、色々諦めの境地に到達しました。

それに一人で入って溺れたら困るし。私位の子供って、確か三十センチの水深あれば溺れられるもの。


私に欲情する様な変態でなければ良し。

逆に素敵筋肉をありがとうございます。

好んで見る訳では無いが、悲鳴を上げる程若くも無いのですよ。


流石に下の世話は二度と御免被るけど。


それにしてもお湯にプカプカ浮かぶダク隊長、何か和む。

手で波を起こし、進路変更させながら泳がせてみるが中々難しい。むぅ。


途中でヴィンセントさんもダク隊長の運航に加わってみたりと童心に帰ってお風呂を楽しみました。


そんなこんなでお風呂から上がると、パジャマに着替える。

いつものワンピースでは無く、上下別のズボンのパジャマですよ。何気にヴィンセントさんとお揃いの柄。


「おそろいねー」

「そうだな」


私が必死にボタンを留めている間にヴィンセントさんはさっさと着終えてタオル等を片付けていた。


「さて、歯磨きをして今日はもう寝るか」

「あい」


お風呂場を出てすぐに洗面所でヴィンセントさんと立ち止まり、歯磨きタイム。

何故か最後に歯磨きチェックと仕上げ磨きまでされました。

ヴィンセントさん、マジでパパです。


リィンさんにお風呂を上がった事を報告し、最後に案内されたのは寝室なんだけど…。

………夫婦の寝室じゃないですか? ここ。


「今度までにユーリの部屋も用意するが、今日と明日は三人で一緒に寝よう」

「ボクのお部屋…?」

「ディルナンに内緒事がある時に使える部屋も必要だろう。余ってる部屋があるから、リィンが気合いを入れて用意している」


ちょっと待って。見ず知らずの子供に、どんだけお金掛けるつもりですか。


「一度女の子の部屋を用意してみたかったらしい。付き合ってやってくれ」

「でも…」

「何、休みにでも偶にユーリが遊びに来てくれればそれで構わない。子供がおかしな気を遣うんじゃない」


いやいやいや。そういう次元の話じゃないですからね!?


「それに、私も女の子がいた方が楽しいからね。

 ―――…ユーリは、自分の身体の事を知っているかい?」

「う?」


何かヴィンセントさんが凄く真剣な表情になったけど、私の身体の事って何だろう。

記憶を浚ってみたけど、特に何か該当する事も無かったので大人しく首を横に振っておく。


「ユーリ、君は中性体だ。今は男でも女でも無い。そして大人になればどちらにでもなれる。そういう特別な体質を持っている」


えっ。……私、女じゃ無かったの?


ヴィンセントさんの真剣さから言って冗談では無さそう。

ましてやヴィンセントさんはお医者さんだから、特別な場合でも無い限りは嘘を教える事も無いだろう。


「今はまだそのままで良い。だが、将来的にどちらかを選ばなければならないだろう。北の魔王城に居たいのなら本来ならば男でなければならないし、ディルナンも意識の有無はともかくそう育てる筈だ」

「えらぶ…」

「まだまだ先の事だが、選択は絶対に避けては通れない。だから、女の子としての暮らし方はここで覚えなさい」


まさかの暴露だけど…ここで聞けて良かったのかもしれない。

そして、そういう事ならばヴィンセントさんとリィンさんの好意はとてもありがたい。


よくよく考えてみると、私は本当に知らない事が多すぎる。

もっと自分から学びに行く姿勢を持たないといけないな、本当に。


「……あい、ありがとうございましゅ」

「少しずつ色々覚えて行きなさい」


ちょっぴり心にしこりは残るけど、この恩を忘れずにいつかお返ししよう。

そう思って大人しく頷くと、ヴィンセントさんが笑いながら頭を撫でてくれた。


「さぁ、おやすみ」


そのままベッドの真ん中なんて特等席に案内される。


超ふかふかベッドとお日様の匂いがする上掛け。

お風呂でポカポカに温まった体。

更にヴィンセントさんの添い寝と子守唄、トドメに心地よいリズムでのポンポン拍子がオマケに付いて眠くならない筈があろうか。いや、無い!


そんな訳で、おやすみなさーい!

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