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28 お城探検 獣舎

ジーンさんと別れて、お散歩探検再開。

お城に沿って進んでます。


本当にこうして歩くとお城が広い。畑も広大。

畑の周りにある木が程良い木陰を作って直射日光を遮ってくれてるのがまた格別。ぽかぽか陽気が気持ちいい。


歩きながら目につくものを子供の特権としてエリエスさんとマルスさんの質問攻めにしてみたり。

植物とか、リスみたいな小動物とか。

二人共そつなく答えてくれるのが凄い。


そんな事をしていたら、目的地である獣舎の建物が見えてきた!







「…おっきー」

「騎獣自体が大柄なモノが多いですからね。

 特定の主人のいない騎獣の獣舎に、主人持ちの騎獣を収める獣舎、機動部隊のドラゴン専用獣舎に特別獣舎があります」


建物の前に立ち、再びポカーンとしながら建物を見上げるとエリエスさんが説明してくれる。

それはつまり、もふもふ属性とつるつる属性がいるって事ですな。


「今回はユーリに私とマルスの騎獣を紹介しましょう」

「きゃー!」


ふむふむ納得していると、エリエスさんが思わぬ事を言った。新たなるもふもふですか!?

思わず歓声を上げた私は悪くない。


あ。騎獣といえば、


「…レちゅはー?」

「レツですか? レツは主人ディルナンがいないですし、色々とあるので会うのは難しいですよ」


おぅふ。今日はあの極上毛皮に触れませんか。残念。

でも、新しい騎獣に会えるもんねっ。


「では、行きましょうか。危ないですから無暗に動いたり手を出してはいけませんよ?怪我をしようものならヴィンセントも怒りますからね」

「………あい」


ウキウキしていた所に、エリエスさんが穏やかに微笑みながらガツン! と思い切り釘を刺してきた。下手な事をしようものならエリエスさんとヴィンセントさん、いや、更には絶対にディルナンさんのお説教が付いて来る。


絶対に怖い。


想像にブルッと震えると、マルスさんにポンと肩を叩かれた。その瞳は「今の想像を忘れるな」と如実に語っている。


思わず、再びブルッと震え上がってしまった。




エリエスさんとマルスさんに引っ付いて獣舎に移動中です。

今の所、騎獣の姿を一頭も見て無いのでちょっとしょんぼり。

沢山いると思ってたのに。


「…騎獣は夜行性が多い。

 今の時間は大抵は獣舎で寝ているから姿を見る事は少ない」

「おひるね?」

「主人も仕事終わりに会いに行く事が殆どだからな。それもあって動かない」


余りにも私が分かりやすかったのか、マルスさんが説明してくれたんだけど。

それって、今から会いに行っても大丈夫なのかな?


「…野生であれば眠りは浅いし、二、三日寝なくても普通に動く。会いに行って何ら問題は無い」

「しゅごーい。ボク、いっぱいねむいのに」

「子供は大きくなるのが仕事だからな」

「そうですよ。ユーリは少し仕事して、沢山寝て、食べて、遊びなさい」


エリエスさんとマルスさんに合わせてもらってぽてぽて歩きつつ、話しは続行中。


「ボク、おしごとちゃんとしますよ」

「勿論、やるべき事はやってもらいます。それに、大きくなったら嫌って程に仕事を用意してあげましょう。だから、今はのびのびと大きくなりなさい」


キリッとして言ったら、エリエスさんに微笑んで返された。マルスさんには頭を撫でられる。

何と言うか、北の魔王城はとっても頼もしい父親・兄、時々オネェ(?)が揃ってます。


「さ、ここが書類部隊の獣舎です」


気付けば、結構奥の方までやって来てました。

エリエスさんが示した扉には「書類」の文字。

その扉が開かれたので中を覗いて見ると、中には様々な種類の大きな騎獣が思い思いに寛いでいるのが見えた。扉が開く音に其々の騎獣の耳がピクッと動き、一斉に視線が向けられる。

そんな中エリエスさんとマルスさんが中に進むのにくっついて行くと、柵の所に奥から二頭の騎獣がやって来た。


純白の天馬ペガサスと、漆黒の一角馬ユニコーン

超ファンタジーな生き物キタコレっ!!

でも、とっても大柄で大迫力。優美に見えて、かなりしっかり筋肉。


「こちらが私の騎獣、ケーシアのフィリウスです」


感動して見上げていると、エリエスさんが純白の天馬に近付いて首筋を撫でる。

マルスさんも漆黒の一角馬に近付くと、騎獣の方がマルスさんに鼻先を寄せた。


「オレの騎獣はコルニュのエディットだ」


……二人とも、似合うな。

男前二人が素敵騎獣に乗るとか視覚の暴力かも知れない。


「ユーリ、いらっしゃい。…フィリウス、ユーリですよ」


エリエスさんの呼ぶ声に、妄想に目をチカチカさせながら恐る恐る近付いてみると、エリエスさんが自分の騎獣に紹介してくれた。


「フィリウしゅ・・、よろしくなのー」

「エディット、ユーリだ」

「エディットもよろちくー」


折角会えたので挨拶してみたら、マルスさんも続いて紹介してくれた。

それにしても、近くで見たら毛が艶々してて、目が円らかつまつ毛長い。

凄く凛々しいのに可愛いぞ、馬。その素敵筋肉を触りたいけど届かない。


「ユーリはオンマは知ってるみたいですね」

「おうましゃーん。本でよんだー」


まさかの種族名に噴出すのを堪えて答える。

恐らくエリエスさんの言うオンマ=馬。

騎獣になれる高等種は格好いい名前なのに、どこでそうなった!? ぶふっ。


「一般的な移動はオンマですからね」

「子供用の話に出て来るのは殆どオンマです」


お願い、美形な兄さんが二人揃ってオンマとか言うの止めて下さい。本気でヤバいです。


「かわいーねぇ」


笑い出す前に話題を変えるべく、二頭に向き直る。

恐ろしい程にデッカイ所に目を瞑れば、この二頭も非常に好みです。

レツのもふもふとは違い、しなやかな筋肉が魅力です。

毛皮も筋肉も大好物。くふ。

うー、触ってみたくて指がわきわきしてきた。


なんて邪な目で見てたのがバレたのか、いきなり二頭揃って左右から髪をもっしゃもっしゃと食べられた。


「ひょっ!? ボクの髪、食べれないのーっ」


髪と言う物質ものじちがある為逃げも出来ず、まさかべしべし叩く訳にもいかず、わたわたと腕を上下に振って抗議するしか出来ない。

当然と言うか、その程度で二頭のもしゃもしゃ攻撃は止まらない。


うわーん、邪な目で見たりしてゴメンなさーい!


「ユーリ、落ち着いて」

「エリエしゅ・・たいちょ、ボクの髪がなくなっちゃうのーっ」


エリエスさんが全く慌てずに声を掛けて来るのに半ベソで助けを求めると、エリエスさんが笑みを噛み殺す様な表情になった。

助けて下さい、お願いします、この年で禿は嫌だー!!


「二頭共、ユーリに危害を加える気はありません。それは毛づくろいをしてるんです。…親愛の表現なんですよ」

「ほへ?」


エリエスさんの言葉を少し考え、腕を上下するのを止める。

この二頭、もしゃもしゃ攻撃じゃなく、毛づくろいをしてくれてるとな?


「初見でこんな事をするなんて異例ですよ。どうやらフィリウスとエディットもユーリを気に入った様ですね」

「大抵はいきなり触ろうものなら、フィリウスに強烈な蹴りを食らうかエディットに角で突かれる」


マルスさんはサラリと仰ってますけど、それ、下手すると死んじゃうんじゃないの? 特にエディット。キレイな真珠色の角だけど、かなり鋭くて長いんですけど。

思わず血の気の引いた顔を引き攣らせて震え上がったのは不可抗力です。




ところで、私はいつまで髪をこのままもっしゃもっしゃ食まれてればよろしいんでしょうか?

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