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25 お城探検 二階

左右をエリエスさんとマルスさんに挟まれるようにして手を繋いで大階段を一階分下りました。

まるで捕らわれの宇宙人の様な構図でやってきました二階。


ふっかふかの物語に出て来る様な赤絨毯にキラキラなシャンデリア、城門の衛兵やってた騎士様とはまた違うキラピカ無表情騎士様が立っておりました。

物語に出て来る、凄くお城らしいイメージが目の前に広がってます。北の魔王城にもこんな所があったのねー。


…あ、いけない。ぽっかーんって口が開いてた。


「ここ二階は、客間と魔王カイユ様の執務室及び居室があります」

「……こんなに簡単にはいれたらまおー様が危ないのー」


いや、マジで。

っていうか、言っていいの? それ。


「おや、ユーリは面白い事を言いますね」

「ほえ?」

「この二階に配備されているのは近衛部隊です。客室が全室稼働している時のみ外警部隊から精鋭が応援に入りますが、まずこの階にいるのは近衛部隊ですよ。

 近衛部隊は外警部隊の精鋭から更にいくつもの項目を満たした者だけが選び抜かれた特殊部隊。その警備を掻い潜る等、それこそ部隊長クラスの集団でも無ければ不可能です。

 しかも近衛部隊のみならず、近習部隊も居ようものなら恐ろしい目を見る事は必至です」


つまり、この二階の警備は化け物勢揃い、と。

…近衛部隊って、魔王様に張り付いてるだけじゃないのか。

……近習部隊、何するの? エリエスさんにここまで言わせるって、ねぇ、何するの??


「そして、魔王カイユ様こそが北の魔王城最強のお方。危険なのは果たしてどちらでしょうね」


更にはトドメと言わんばかりのエリエスさんのこの最上級笑顔を見て、思わずエリエスさんを拝んでしまった私は悪くない。

エリエスさんは絶対に悪の参謀に向いていると思う。

その恐ろしさは、目の前の無表情騎士様をも内心で怯えさせているに違いない!


「―――…それに、こんな見え透いた場所から入れる訳もありませんしね」


ぽそり、とエリエスさんが零した言葉に思わずぽん、と手を叩く。

成程、構造的にも色々ある訳だ。

要は、同じ階ではあっても、その実全く別の構造で場所な訳だ?

おっけー、把握しました。


「マジックミラーみたいねー」

「「…”マジックミラー”?」」

「中から見たらただの鏡でも、実はお外に部屋があって、鏡の裏から中のよーすが窓みたいに見える鏡があるのー。それと一緒で二階ここはお客様のおへや。まおー様は別の二階なのねぇ」


エリエスさんの言い方だとここから魔王様の部屋には絶対行けないらしいし、そういう事だろう。というか、私の知識程度じゃきっとあるかも知れない正式名称にはたどりつけまてん。


しかも、明らかに他にも仕掛けがあると思われる。


誰か、ここの構造を利用して素敵なミステリー小説を描いて下さる方いないかしらん。

『北の魔王城 連続殺人事件』…でも連続殺人の前に襲撃事件の方が起きたら即終了だわ。


「…”マジックミラー”なるものがあるのですね。初めて聞きました。ユーリ、後で詳しく教えて頂けますか?」

「ボク、こーぞーはわかんないでしゅよ?」

「大丈夫です。その手の物はジョットが好きでしょうから、ジョットに話してみましょう」

「…ヤエトたいちょは?」

「そうですね。ヤエトも呼びましょうか」


おし。ヤエトさん来るならまた筋肉を堪能しよう!

…それよりも、今は一つ別の野望を抱いてるのさ。恥ずかしながら、おねだりしてみましょ。


「エリエスたいちょ、あにょね」

「おや、モジモジしてどうしました? お手洗いですか??」

「違うのー。も少しだけふかふか絨毯踏んでもいーでしゅか?」


トイレじゃないよ! そ、そんな風に見えたのか…(ガーン)

それでもやっぱり、もふもふとかふかふかって心惹かれるんだよー。


…エリエスさんとマルスさん、何でそんなに生温い目を向けるんですか。

反対にピクリとも表情が動かない近衛部隊のオニーサマ達から向けられる視線が痛い。


すみません。言っておいてアレですけど、皆様の視線だけで挫けそうです。生意気言って本当にすみません。


「---…どうぞ、お入りなさい」


お断りの言葉を口にしようとしたら、廊下の奥の方から穏やかな声が聞こえてきた。


声の主を見ると、そこにいたのは羊…では無く執事様!

燕尾服に白手袋をバッチリ装備し、灰銀色の髪をビシッと撫でつけ、ビシッと姿勢が良くスマートな絵に描いた様なお方。

惜しむらくは、眼鏡が無い事のみ。個人的に眼鏡が萌えです。

でもでも、本物の執事様ー!


「ロイス」

「本日はお客様もいらっしゃいませんし、絨毯を少し歩く程度は構いませんよ」


執事様のお名前はロイスさんと言うらしい。

穏やかな声もだけど、聞き取りやすい話し方をする人だ。流石は執事様。


「行ってらっしゃい、ユーリ」

「い、いーでしゅか?」

「えぇ。近習部隊隊長が直々に許可を出したのですから、気兼ねなく行ってらっしゃい」

「……ロイス、たいちょ?」

「初めまして、小さな執務官殿。近習部隊の隊長を務めております、ロイスと申します」


どっひゃー! 近習部隊隊長!?

そりゃ筆頭執事様じゃないか。何でそんな人がココにいるんだー!!?

しかも、隊長に先に挨拶させるなんて私ってば何様よ。やばい、気が抜けすぎてる。


「ごてーねーにありがとうございましゅ。

 んと、今日は書類部隊のユーリともうしましゅ」

「おや、こちらこそご丁寧に」


…うん、分かった。遠くから見てると非常に美味しいです執事様。でも、実はとっても食えないです執事様。下手するとエリエスさん以上のとんでも隊長ですね執事様。

何か、恐ろしく曲者かつ腹黒な匂いがする気がする(冷汗)

そう、これは……エリエスさんとヴィンセントさんに通じる。気の所為で無ければ、お一人で二人分を持ってらっしゃいませんか?


―――いや、エリエスさんのさっきの言葉からして気のせいじゃないな。


「…おじゃましまーしゅ」


これは、下手に色々考えて自爆するよりもさっさと行動して場を離れるのが有効と見た。

えぇい、女は度胸パートⅡ!

執事様が良いって許可したんだから入ってしまえ!!




ぽすっ。


ぽすぽすっっ。




「ふおおぉぉぉぉー」


何、この感触っ。思わず奇声が出る程ふっかふかやん。

凄いよ、高級赤絨毯。足音もしないし、ナイスクッション!


調子に乗ってスキップしたら、足を取られる程にふんわりしてた。しかも、転んでも全く痛くない。

そのままゴロゴロして心行くまで絨毯のふかふかを堪能した所で立ち上がり、埃を払ってエリエスさんの所へ走って行く。…足を取られて恐ろしく鈍いけど。


「もういいんですか?」

「あいっ」

「ふふ。余程楽しかったんですね。髪が乱れてますよ」


勢い余ってエリエスさんの足にしがみ付く様に到着すると、エリエスさんが髪を整える様に梳いてくれた。この優しい手、大好きだー。そして、さり気無く良い筋肉の付いた足だー。どさくさ紛れにすりすりしちゃお。


「…そろそろ次に行きますか」

「そうですね」


髪を整えて貰った所で、黙って見ていたマルスさんが口を開いた。エリエスさんもそれに頷く。

今度は先手必勝でいかねば。


「ロイスたいちょ、このえのおにーちゃま達、ありがとーごじゃいました!」


エリエスさんとマルスさんに手を取られる前にお礼を言うと、ロイスさんがおや、と目を和ませた気がした。

エリエスさんとマルスさんも頭を下げてくれる。申し訳ない、保護者のお二人。


バイバイと子供らしく手を振ってからエリエスさんとマルスさんと宇宙人再びで手を繋ぐと、大階段に戻っていく。

さ、次は一階!

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