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別視点37 本日の午後の予定確認(ヴィンセント視点)

ユーリが号泣する中、セリエル殿が無表情ながらそれを慣れた手つきであやしつつシエルと視線を交わす。


「ヴィンセント隊長、昼食って終わってます?」

「いや、まだだ」


何故、今、この状況で出たのがその質問なのか。

答えつつもそんな疑問がよぎる。


「もし可能なら、ユーリちゃんが泣き止む前に食堂に移動を。泣き止んでから寝落ちるまでに昼食を食べさせないと、ユーリちゃんが食いっぱぐれます」

「それはマズイな」


対する答えに、思わず真顔になる。


ただでさえ『魔力切れ』を起こし掛けた、大元が栄養失調気味の幼児だ。

ここで食事まで食べ損ねたら、悪影響を及ぼしかねない。


「ここまでリュシエル様にそっくりな子が出てくるとは思いませんでしたけど、まず間違いなく同じ道を辿るでしょうね。まさか、セリエル様常備の治療用のガーゼがハンカチと化す日が再びくるとは思いませんでした」


遠い目をしてシエルが言う通り、ユーリを抱き上げてあやすセリエル殿の手にはいつの間にか大ぶりのガーゼが握られていた。

確かに、拭くものがないと悲惨な事になる。主にセリエル殿の服が。


「昼のピークは過ぎている。いくつかのグループに分かれればこの人数が一斉に行っても問題なく座れるだろう」

「そうと決まればまず移動してユーリちゃんに食事を食べさせましょう。セリエル様の腕の見せ所です」

「…どんな腕の見せ所だ」

「や、アレは一種天界の名物でしたよ」


懐中時計で時間を確認し、他の面々に視線を向けると全員が頷いてきた。揃って食事に行く事に否は無いらしい。

そんな周囲に努めて明るくシエルが告げると、その内容にセリエル殿からツッコミが入った。

それににんまり笑うシエルに、ルートヴィヒがワクワクした表情を見せる。


「じゃ、まずはユーリちゃんに食事を。それから我々も食事を済ませて、午後の予定の確認といきましょう」


シエルがそれだけ言って場を纏め、一先ず食堂に向かう事となった。







珍しく泣きじゃくるユーリが食堂に入った途端、調理部隊の目が一斉に厳しくなる。


「ヴィンセント」

「話は後だ。それより、まずユーリの食事を」


ディルナンが食事提供口に出て私の名を呼んだ。

それに答えず要望を出すと、片眉を跳ね上げつつも食事提供担当の年若い少年、アルファイスに迷いなく指示を出す。


その間にもセリエル殿が自身の膝の上にユーリを乗せて着席し、その前にシエルが座るとルートヴィヒにいくつかの指示を出していた。

その席の両隣のテーブルに医療・魔導・騎獣に加えてソフィエという異色の組み合わせが一緒に座る。

これには食堂で昼食を食べていた他部隊の隊員達が微かに騒めく。


そうこうしている内に、ディルナンがユーリの食事を手にやって来た。


「あ、その食事こっちに」


それを見て、シエルが手を浄化しつつ声を掛ける。

その間にもどんな手法なのかいつの間にかユーリは涙を止めて嗚咽を漏らすだけになっていた。


「シエルさん、これ」


そこへシエルの指示を受けていたルートヴィヒが戻ってきた。

その手には、濡れた清潔な布巾と空の小鉢が二つとナイフ、フォーク、スプーン、ストローの一式。


「ありがとなー」


ルートヴィヒからそれらを受け取ると、シエルがまず湯気を立てていたポタージュに元から付いていたユーリサイズのスプーンを入れて、何やら魔術を使う。


それを見ていたシェリファスが「恐らく、冷却系」と小さく呟く。


そして一方でセリエル殿が浄化系の水魔術でユーリの顔と自身の手を浄化していた。

天界特有のモノなのか、魔導部隊の三人が食い入るようにセリエル殿とシエルを見ている。


「セリエル様」


シエルがそのポタージュをセリエル殿に渡すと、ひぐひぐと嗚咽するユーリの状況を見極めつつスプーンを運ぶセリエル殿。

その間にも、シエルが食事のおかずを慣れた手付きで分解していく。

それはどれも幼子の一口大に合わせたモノで、なおかつ先に全て分解する事で冷ます事を優先させていた。


それらを小鉢に少しずつ入れ、気付けば空になっていたポタージュのカップと交代でセリエル殿に渡すシエル。


「…………この状況でもしっかり味は認識しているようだな」


微かに感心した声を漏らすセリエル殿に、補助をしていたシエルが噴出す。

嗚咽を零しながらも咀嚼するユーリの表情は確かに微かに蕩けていた。

これには、状況が分からず見守っていたディルナンが何とも言えない表情になる。

同時に何か吹っ切れたのか、厨房へと戻って行った。


その間もセリエル殿の手は迷いなく嗚咽の間を狙ってしっかり食べさせ、時折詰まりがちな鼻をかませ、口の中の状況を判断しつつ水分補給までさせている。

成程、確かにこの手腕は見事なものだ。思わず見入ってしまう。


「パンは無理そうですかね」

「無理だろうな。食事の美味さに正気付くのが想定外に早かった」

「取り敢えず、おかずはどうにか?」

「ギリギリだろうが」


眠気で微妙に目がトロンとしてきたユーリの口に食事を運びつつ、シエルとセリエル殿がそんな会話を交わす。

そうこうしている間におかずは無くなり、ユーリの首がカクカクし始めた。


「……あと一口だ」


セリエル殿がそう告げ、コップに入っていた水をユーリの一口分浮かせると、その口に滑り込ませる。

何やら指を動かし、それを終えるとユーリの背をポンポンと軽く叩いた。

反射で残っていた水を飲み込むと、完全に寝落ちる。


「…はー。どうにかギリ間に合いましたねぇ」


シエルがセリエル殿から食器類を受け取り、トレーに纏める。


「セリエル殿、最後のは…」

「この状況で歯磨きはさせられないが、最低限のうがい位は魔術で補助すればしてやれる」

「その魔術、ぜひ伝授頂きたく!」


終わったのを見て、バクスが最後の魔術に食いついていた。

確かに、アレなら寝たきり状態の重症者の看護に使える。


「後でそこの指導担当に教えておく」

「ついでに最初の浄化も!」

「……そっちの魔導部隊の指導担当も残るのだろう。食堂(こんな場所)で揃いも揃って食いついてくるな」


我々の表情…というよりも目を見て辟易として告げるセリエル殿に、医療・魔導部隊の面々が揃ってニヤリと笑う。


「セリエル様、そういう所ですよー」

「もっとも、お前が教えるんだがな」

「え゛」


シエルがあーぁ、と言わんばかりだったが、セリエル殿にそのまま丸投げされて硬直する。

ギラギラした視線がセリエル殿からシエルに移ったのだから無理もない。


光属性の魔力の防御型が苦労性というのはシエルにも案外当てはまるのかもしれない。

全く同情はしないが。

と言うか、シエルは苦労を表に見せて同情を買うタイプではない。本人的にも同情は一切求めていないだろう。


「何だか知らんが、ウチのが迷惑掛けてるみたいだな。取り敢えず、お前等も飯を食え」


そんなやり取りをしていると、ディルナンが食事を手にしつつ後ろに調理部隊の通称「三馬鹿トリオ」と呼ばれる隊員を引き連れて再び現れた。

全員が全員体幹がしっかりしている為、食事を三つ持とうが安定感が損なわれる事なく普通に歩いて来ている。


ディルナンがまずルートヴィヒの前に、迷いなく大盛りの食事を置いた。既に少年から情報共有されているらしい。

続いてそれ以外の面々にも食事を提供しつつ、ユーリの食事のトレーを回収する。


「ディルナン」

「どうせ今ここで話すつもりはないんだろう。どこで何時だ。今度はいくつ爆弾が飛び出した」

「現時点では二つだな。前回と同じで押さえておこう」

「んで、まだ増える予定な訳だ。了解」


何を言わずとも既に諦観さえしているディルナンに、セリエル殿とシエルが目を丸くする。


「コイツを拾った時に既に片鱗は見せていたし、これまでにどんだけのアレコレがあったと思ってるんだ。もう今更だ。全部ユーリだからで済ませた方が楽だ」

「そのぐらいでなければユーリの保護者などできないな」


ディルナンの一種開き直った言葉は流石と言うべきか。

…………その手が一緒に連れて来た「三馬鹿」の一人の顔面を締め上げてさえいなければ。


「だいぢょ、死ぬ…!」

「あ゛ぁ? この程度で音を上げてるんじゃねぇ。オルディマ呼ぶぞ」

「ひぃっ」

「いい加減、外警部隊に突き出すぞ。変態は書類部隊だけで充分でな」

「ま、まぁ隊長、その辺で」

「これ以上はサムが今日の日報書けなくなるから。その為の観察だから、ちょっとだけ大目に見てやってよ」


ギリギリと締め上げる音さえしそうなディルナンのアイアンクローに、他の二人が顔を引攣らせつつもフォローに入る。

何故日報に観察がいるのか、その辺を確認したい。夜の議題にこれも入れるか。


「…まぁいい。戻るぞ」

「「ウッス!」」


そんな事を考えていると、ディルナンがアイアンクローを解き、セリエル殿に一礼して引き上げていく。

返事をした無事な二人がディルナンに放られた残りの一人を支えるようにしてその後を追っていった。


「……ユーリちゃんの保護者、凄いっスねー」

「北の魔王城の隊長達の中で年少組でありながら他に全く実績では引けを取らないからな。そもそもあの若さで隊長として認められる時点で能力の高さは疑う余地が一切ない」


シエルが感心したように呟くのに答えると、場の北の魔王城関係者全員が迷いなく頷く。

ディルナン然り、エリエス然り。

年齢で侮ろうものならば、痛い目を見るのはこちらだ。


「ルゥ君や、君が目指すのは正しくあのタイプだ。あの隊長さん、間違いなく強さだけでも相当なモン。それでいてこの北の魔王城の美味い飯が作れんだよ?」

「隊長になる前は魔王様の食事担当を担っていた。任期制とは言え、その地位に就く者は調理部隊内で選び抜かれた二人のみ。彼等は近習・近衛部隊の分も一手に引き受けながら、一流を知る北の魔王城の賓客に提供する食事を作るのも仕事でな。その中でも腕の良さで内外共に魔王領では有名なシェフの一人があのディルナンだ。と言うか、基本調理部隊の隊員は幼い二人以外は一流シェフの技量を持っている」

「うーわぁ。そりゃあ北の魔王城の飯が美味い訳だ。オレ、こんなに賄いが美味い所、初めてっスもん」

「あの配膳口の若い隊員も直に調理に組み込まれる予定らしいからな。ユーリを除けば北の魔王城最年少だが、前回の入隊試験でディルナンが目を付けた隊員だ。シェフになる資質は疑いようもない。少数精鋭で日々技術がしっかりと叩き込まれている。現時点でも調理部隊内のちょっとした賄いを任せられる程度には育っているはずだ」

「そりゃあいい。余程の事がない限り、飯の質が変わらないって事っスね!」

「ちなみに、調理部隊は内勤…戦闘職以外の部署内で最強の部隊だ。外警部隊との戦闘訓練で勝ち越す事が出来る唯一の部隊でな。時々、食材の肉を隊員が狩ってくる」

「え」

「三人は好き嫌いが無くてなによりだ。調理部隊の「お仕置き」が発動すると、地獄を見ることになるからな」


部外者である三人にさり気なく調理部隊の情報を含ませた所で、北の魔王城の面々が昼食に手を伸ばし始める。


「北の魔王城の胃袋を握る部隊、か。……間違いなく色々と強いな」

「食は体の基本ですからねぇ。しかもこんな美味しいご飯で餌付け状態。それでいて物理的にも強いなんて。うーん、敵に回したくはないなぁ」

「…………そんな部隊がユーリちゃんの背後についてんのね」


寝落ちしたユーリを自身に凭れ掛かる様に抱っこしたまま慣れた様子で食事を始めるセリエル殿とルートヴィヒの噛み砕くような言葉に、シエルが乾いた笑みを浮かべる。


「あぁ、今日も飯が美味いなぁ…」


それでも食事を始めれば、シエルがしみじみとそんな言葉を零した。







「では、食事も終わった事ですし? 午後の予定について話し合いといきますかね。出しゃばりだとは思うんスけど、この後の予定的にユーリちゃんと行動を密にするのオレ達なんでこっちで管理しとこうと思ってます。それと何だかどさくさ紛れだけど、そちらの三名は初めまして。オレは見ての通り天使族で医療部隊に薬を卸してるシエル。こちらも同じく天使族で魔大陸の過疎の地域の自由診療医師をしてるセリエル様とその弟子のルートヴィヒ君」

「そう言えばそれどころじゃなかったのぅ。騎獣部隊隊長のヤハルじゃ」

「ご丁寧にありがとうございます。同じく騎獣部隊の副隊長のツェンです」

「機動部隊隊長のソフィエだ」


食器類を返却し、食後のお茶を各人の前に揃えて全員が着席したところでシエルが改めて口を開く。

そしてすっかり抜け落ちていた挨拶をするシエルに、ヤハルとツェンにソフィエが挨拶を返す。

それ以外にシエルの理に適った提案に、当然ながら反対や意見する者はなかった。


我々とて暇な訳ではない。寧ろ通常の業務時間を割いている状況なので渡りに船だ。シエルの有能さはこれまでの付き合いが示しているし、セリエル殿もお墨付きを出しているので問題ないだろう。


付き合いのある私達医療部隊が認めているからこそ、他の部隊の面々も何も言わない部分はあるだろうが。


「まず、オレ達の元々の予定としては、ユーリちゃんの“循環”と光属性の防御術の基礎を考えてたんスけど。さっき、まず午後一で魔力の基礎講義差し込みが決まったって言ってましたね」

「騎獣部隊としては、生まれたばかりの白竜について天界のお二方が何か知識を持ってれば聞きたいんじゃが」

「それはオレとエスメリディアスもだ」


シエルが大元の予定と聞いているモノを挙げると、そこにヤハルとソフィエが早速加わる。


「医療部隊としての動きは私とバクスは業務に戻る。ユーリの指導担当であるフォルを残してユーリに何かあった時の対応に当たらせる。それと、フォルに先程の魔術の確認をさせて貰いたい」

「魔導部隊も同じく、指導担当のリシューだけを残す。内容もほぼ同じくだ。ただし午後一の講義はリシューが受け持つ。その準備をさせてから獣舎に向かう事になると思うが」 

「そうですね。ドラゴンの長老達もその辺りの内容に興味をもってましたし。恐らく、エスメリディアスも参加表明しそうですよね。子竜達もすっかりユーリちゃんに懐いてるし」

「…エスメリディアスは完全に我が子認定していたからな」


私とシェリファスも医療部隊・魔導部隊としてのこの後を表明すると、ツェンとソフィエが頷く。


「と言うか、ドラゴンの群れ全体が最早ユーリちゃんを群れの一員、同族同然の可愛い幼子として認定してる状態ですからねぇ」

「明日、隊長会議が終わったらまずアルスティンに突撃して話を聞かにゃならん。冷静に考えると、記憶を失くす前のユーリはあの(・・)アルスティンに懐いとったんか……。そりゃあドラゴンを怖がらん訳じゃ。本来なら外部に対して気難しい長老(ジジイ)共まで揃いも揃ってメロメロになっとる」

「ですね。本竜の性格は穏やかで寛容ですけど、ドラゴンの群れの長はやっぱり他のドラゴンに比べて大きさもさることながら威厳と言うか迫力が違いますから。アルスティンに懐けるなら、他のドラゴンもカッコイイ・大好きで納得しちゃいますよ」

「そこにあの白竜の件じゃ。ドラゴン達の好感度も鰻登りじゃろうなぁ。うむぅ、本当に騎獣部隊に欲しいのぅ」


ヤハルのこの言葉に、私は勿論、厨房で聞き耳を立てていたらしいディルナンも反応する。


「はいはい、ユーリちゃんの所属とかその辺の揉めそうな事は後にして下さいよー」


そこに、シエルの制止が絶妙な間合いで入る。


「で、他には?」


そのままサラッと流すシエルのこの手腕に、バクスとフォルが小さく拍手していた。

それにシエルがキメ顔で笑って見せるのが微妙にイラっとする。二人も同意見なのかさっさと拍手を止めていた。

…この辺りがシエルのシエルたる所以か。


ざっくり周囲を見回し、他に声が上がらないのを見てシエルが少し考える。


「んじゃ、オレが勝手にザックリ予定立てます。何か異論があったら言って下さい。

 まず、仕事戻り組と獣舎戻り組に分かれます。んで、そこでまずはユーリちゃんの“循環”。その間に白竜についての話合いやさっきの魔術の説明会なんてユーリちゃんにはあんま関係ない事を終わらせる。そうすればそっちの機動部隊の隊長さんだっけ? 仕事戻れるでしょ」


シエルがソフィエを示して告げると、ソフィエがその気遣いに目礼する。


「お次、ユーリちゃんの魔力の基礎講義・ドラゴンを添えて」

「…食事の品書きにありそうだな」

「こんな長ったらしい品書きはこじゃれた料理店だけっスけど、食材からして色々面倒くさそうなので却下で。それは兎も角、最後にちょっと短縮した光属性の防御術の基礎講義。以上」


シエルが一通りの予定を並べ終えると、特に続く意見は出ない。

……と思ったら、セリエル殿が少し考える素振りを見せていた。


「セリエル様、何かあります?」


そんなセリエル殿にシエルが声を掛ける。


「もし時間に余裕があれば、一刻程北の魔王城からの外出は可能か? もし可能ならば、ソフィエ殿にも同行頂きたい」

「外出自体は特に問題ないが」

「オレ、ですか」


セリエル殿の問いに私が頷き、名指しされたソフィエが微かに困惑を覗かせる。


「恐らく、白竜にとって光属性の魔力が今後の成長の鍵になる。魔大陸から程近くに光属性の小島が一つあるので案内しておきたい」

「! それは、是非。外出までに仕事の振り分けを必ず終わらせます」

「じゃあ、その時間も考えて午後の予定を進めましょうかね」


しかし、続いた理由を聞けばソフィエが断る筈もなく一も二もなく了承していた。

我々としてもそんな土地があるのは興味深い。


「じゃあ、この予定で動きますんで、皆様そこんトコよろしく」


すっきり話を纏めた所で、シエルが目の前の少し冷めたお茶を一気に飲み干す。

それに続くようにして全員がお茶を飲み、自然と解散の流れとなった。




食堂を後にする前に、セリエル殿の腕の中で眠るユーリの顔を覗いてその頬を撫でる。


北の魔王城の隊員として、全力で物事に取り組む姿勢は褒めるべきなのだろう。

けれど、それを自己犠牲と混同して欲しくはない。


ユーリを巡る動きは今後ますます活発化しそうだ。

少しでもその眠りだけは穏やかである事を願わずにはいられなかった。

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