③悪魔将ヘカトンケイル
乱入者は若い女。
だが、相当の手練れだった。
共に武器レベルA級の魔法、A級の戦斧で敵を殲滅させる。
血で顔を染める黒い戦士は疲労困憊。
それでも、その大剣は重く、ヘカトンケイルは黒い戦士の大剣を斧でパリィすると子分に「何しているっ!? さっさと行け!」と雷喝した。
オルグらも頭領が劣勢と知る。
「頭領が勝てねぇのに俺たちが勝てるはずねぇや!」
ヘカトンケイルは悪態をついた子分の脳天を斧でカチ割るとそのまま子分の身体を引っこ抜くように斧を黒い戦士目掛けて、投げ付ける。
なんで?
なんでこうなった?
上級悪魔となった俺が……逃げている?
1000体のオルグと村を攻めただけだ。
なんで?たったひとりに1000体もいたオルグどもが殲滅された?
戦争ができる状態で挑んだのだぞ?
それに、あのダークエルフィンの女……オルグレスラーすら一撃で斬〇した。
魔導師の女も、小娘のくせに……しかもフィールド上でヴォルガノンを放ちやがった……。
一体、何が起きている?
逃げ走るヘカトンケイルは転ぶ。
そして、脳裏に焼き付く出来事を思い出す。
――――――はっ!????
あのときと同じだ……。
過去にリーザスを襲ったときに、たったひとりの剣士にボスも100体のオルグもやられた。
だが、敵も相打ち同然に負傷していた。
俺はトドメを刺した――――――。
そう、ボスもあの剣士も俺がトドメを刺した。
だが、俺たちが劣勢になると村人どもの追撃が始まる。
俺は弓で撃たれ、槍で刺され、逃げた。
這いずって逃げた。
死んだら終わりだ!
俺は生きる。
子分なんて、また女に産ませれば増える。
「親分! これまた、お早いお帰りで」
「黙れ! 残りの人数でリーザスを再び攻めるぞ。肉袋を板に括れ、肉の盾にする。もぅ失敗は許されん!」
ヘカトンケイルは残りの残存兵力で、再びリーザスを攻める準備をさせる。
コイツは使いたくなかったが……。
ヘカトンケイルは、隠しておいた秘宝を取り出す。
だが、秘宝と呼ぶにはまだ魔石としての力は弱いが、この力を使わなければ、あの黒い戦士は倒せない。
「ギルティ―から秘宝を手に入れ、この魔石と合わせて悪魔将になるつもりだったが、ここで俺が最上級悪魔になれば、多くの魔素を必要とする……地上での活動ができなくなることを警戒していたが、背に腹は代えられん……」
ヘカトンケイルは自らが秘宝と呼ぶ魔石を握り潰す。
その衝撃で生じた血を魔石が吸収し、閃光が起きた。
「うおおおぉぉぉっぉぉぉぉおおぉぉぉぉッ!!」




