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アスガルドの騎士

大戦と聞けば誰もが帝国と連合の戦いを思い浮かべる。

だが、ガイゼリックが皇帝に即位する前、アシュナード政権の旧帝国の政治は腐敗し、一部の特権階級の貴族が民から搾取し、贅沢を謳歌していた。


当初は農民の一揆が起こる。

そこに各地で虐げられる暗黒教団が農民らに加勢し義勇軍と名乗る。

そしてヴァルハラント帝国を出奔していた先帝の嫡男で光の系譜であるガイゼリックが聖剣エクスカリバーと光の魔導書ナラティブを携え、義勇軍のリーダーとなった。


古の英雄レオンハルトも影の勢力と共闘し、光の勢力と戦いアスガルドを統一した経緯がある。

そのガイゼリックの姿は時代を超えたレオンハルトと称えられた。


義勇軍は兵力こそ少数だったが、指揮は高く。

暗黒教団の戦士、魔導師、暗黒司祭の活躍もあって、ザンスカードの竜騎士団を撃破すると帝国の門を守るレフガンディーの砦にて激戦が展開され、義勇軍の勝利が確定する。


レフガンディーの砦から南に位置するイシュタル平原。

ここも戦地として有名で、古から多くの激闘が繰り返されてきた。


ここで、ある聖騎士中隊に報告が入る。

南のリーザスという村に戦争の混乱に乗じてオルグどもが略奪を行っているという。

村の警備兵もイシュタルに集結している以上、オルグどもにとっては天敵のいない天国のような状態だった。

食料、家畜はもちろん、繁殖のために必要な若い娘たちも誘拐し放題だ。


中隊を率いる聖騎士は悩む。

騎士の誓いにおいて任務を放棄することは敵前逃亡である。

ましてや、イシュタルで負け、レフガンディーが墜とされれば帝国の敗戦は決定的になってしまう。


皮肉にも目の前には同じ帝国の御旗を掲げる義勇軍。

指揮するのは先帝の嫡男だという。

聖騎士がかつて仕えた主君の息子である。


聖騎士は盾を置いて、鎧も脱ぐ。

それはヴァルハラントの刻印が刻まれているからだ。

聖騎士を辞め、忠誠を返す意味であった。

しかし、剣を置いていくわけにはいかない。


聖騎士は副長に指揮を任せ、一介のアスガルドの騎士として村に向かう。

たったひとり、聖騎士が鎧も盾もなく剣一本で相手がオルグといえど戦えるはずがない。

だが、奇跡が起きた。

一介の騎士となった男は死することになるが、村を守り切り、オルグどもを撃退したのだ。

その身体は全身、血で真っ赤に染まり、鮮血の勇者と称えられるも、この勇者が誰かはわからない。


そして、イシュタルにおいて指揮官が急遽変わった聖騎士中隊は全滅。

義勇軍が勝利し、旧帝国の敗残兵の話で「敵前逃亡をした聖騎士がいる」と噂になる。

その者は盾も鎧も置いて逃げ出したそうだと。

鮮血の勇者の名はわからなくても、逃亡者の名はヴァルハラント中に知れ渡る。


そして、同じく全身を血で真っ赤に染めた1体のオルグが地を這いずって逃げ出してことも誰も知る由もない。

そのたった1体のオルグが、悪魔将(マジンショウ)になることも……。



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