序章~opening~
私が母のお腹にいた頃。
聖騎士の祖父が敵前逃亡をした挙句に行方不明になった。
帝国騎士団も義勇軍を名乗る反乱軍に破れ、皇帝アシュナードは公開処刑されると代々ヴァルハラント帝国に仕えた騎士の家系である私たち一家は没落。
父は祖父の汚名を晴らすべく、帝国と連合軍の戦いでは連合側の勢力として戦い。
レフガンディーの戦いでその命をアスガルドの土に還すことになる。
戦いは連合軍の勝利で終わり、母のもとに多額の恩賞と父の刃こぼれした剣が届けられた。
ヴァルハラントはエスタミルと名を変えた中央都市として生まれ変わる。
そこの騎士学校に入校し、父のような悪を倒す騎士を目指し、首席で卒業し、少尉に任官した。
だが、騎士学校でもわからなかったことがある。
「正義とは? そして悪とは?」
負けた帝国軍は悪だったのか?
勝利した連合軍は正義だったのか?
そして勝利した連合の2盟主は両雄とも王を名乗り、アスガルドの覇権を争う。
騎士学校の教科書にはその特権階級が牛耳る社会から民を救うために戦ったガイゼリック皇帝のことを記した書物は1冊もない。
史実では、政治の腐敗を引き起こしたアシュナード王が暴君であった事実がある。
祖父はその政治体制に疑問を抱かずに騎士として何と戦ったのだろうか?
私は思う。
父が守りたかったのは民でも主君でもない……私たち家族。
帯剣する父の剣がいずれ教えてくれるだろうか?
善悪の違いを。
正義とは……。




