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聖騎士に囚われた令嬢、三年間触れられぬ愛に焼かれる

掲載日:2026/02/02

第1章:淡い光の下で


 美也子は、朝の光が差し込む図書館の片隅で、本のページをめくっていた。長い髪はゆるく束ねられ、制服のリボンも少し歪んでいる。それでも、彼女の目は真剣そのもので、世界の片隅でひっそりと過ごす日々に、密かな誇りを抱いていた。


 家庭では、両親の期待は姉や兄に向けられ、妹である美也子にはほとんど目を向けられることはない。家の中では、誰かに気づかれぬよう振る舞い、日々の小さな幸福を探すしかなかった。けれど、学園では違った。少なくとも図書館の中では、誰も彼女を束縛することはない。


 「また一人ね」


 背後から声がして、美也子は顔を上げた。菜津だった。彼女は学園内でも評判の明るく、少し高飛車な少女だが、なぜか美也子にはいつも笑顔で声をかけてくる。


 「おはよう、菜津」


 軽く返事をする美也子に、菜津はふと眉をひそめた。「あなた、本当に誰とも関わろうとしないのね。でも、そんなに隠れてばかりじゃ、損するわよ?」


 美也子は小さく笑った。「私は、こうしている方が落ち着くの」


 その時、窓の外でひらりと風に揺れるひなげしの花が目に入った。小さな花は、強風に揺れても決して折れない。まるで美也子自身の姿のように、静かに、しかし確かに存在している。


 図書館の扉が開き、恭弥が入ってきた。学園でも名高い俊英で、誰もが彼のことを尊敬し、あるいは畏怖していた。だが、彼の目はいつも美也子の方へ向けられていた。気づけば、彼女の近くの机にそっと腰を下ろし、黙ってノートを広げた。


 「何を読んでいるんだ?」


 恭弥の声は穏やかで、問いかけるというより、自然に耳に入ってくるだけだった。美也子は少し戸惑ったが、本を閉じて答えた。


 「歴史の本。国の成り立ちや、人々の決断の話」


 「なるほど……知識は力か」


 恭弥は小さく頷き、またノートに向かう。美也子は、ふと隣で静かに学ぶ彼の存在に心が落ち着くことに気づいた。誰も見ていない場所で、ただ静かに過ごす時間。それは、家でも学園でも得られなかった、かけがえのないひとときだった。


 午後になると、学園の中庭でサラが声をかけてきた。彼女は明るく、社交的で、いつも笑顔を絶やさない少女。だが、どこか影を抱えているようにも見えた。


 「美也子、今日も本ばかりね。少し休んだら?」


 「休むって……どうやって?」


 美也子は冗談めかして答えたが、内心では少し不安だった。人と関わることは、心を乱されることでもある。だが、サラの声に隠れた優しさは、無視できるものではなかった。


 日光が傾き、図書館の窓から斜めに差し込む光が、美也子の髪を金色に染める。ハビエルが静かに現れたのは、その時だった。彼は学園でも少し異質な存在で、独特の落ち着きを持つ少年。何かを計算するような目つきで、美也子を一瞥し、静かに席に着いた。


 「君は、強いな」


 唐突な言葉に、美也子は一瞬目を見張った。強い――それは、家族に無視され、周囲の嘲りを受け続けた自分に、誰も認めないはずの言葉だった。けれど、ハビエルの声には、嘲りも、同情も、混じっていなかった。ただ静かに、事実として告げられた言葉。


 美也子はふと笑みを浮かべた。「ありがとうございます」


 その小さなやり取りの中で、彼女は気づく。孤独であることは、弱さではない。生き抜くこと、目を逸らさずに日々を積み重ねること、それ自体が力になるのだと。


 図書館の静寂の中、美也子はもう一度ページをめくった。そこに書かれているのは、遠い国の物語、誰かの選択の軌跡。だが、自分の目の前には、仲間たちの存在が確かにある。


 そして、美也子は小さく心の中で誓った。この静かな日常を守り、いつか自分の力で道を切り開くと。たとえどんな困難が待っていようとも、目を逸らさずに生き抜くと。


 夕暮れが図書館を染め、光と影が交錯する中で、美也子はそっと本を閉じた。外の世界がどれだけ冷たくても、ここには自分を理解してくれる人々がいる。それだけで、今日もまた、彼女は前を向いて歩けるのだと実感した。




第2章:夕暮れの告白


 放課後の校庭。風がそよぎ、桜の花びらがひらひらと舞う中、美也子はベンチに座っていた。今日は少し、胸の奥がざわつく日だった。


 「また一人?」

 背後から菜津の声。美也子は振り返り、にっこり笑う。


 「うん……少し考えごと」

 菜津はベンチの隣に腰を下ろす。手には軽く膨らんだバッグ。


 「何を考えてるの? 恋?」

 「えっ?」美也子は思わず顔を赤らめる。

 「嘘よ。そんなことないって顔してるけど、バレバレよ」


 菜津は楽しそうに笑いながら、美也子の肩を軽く叩く。

 「……ちょっとだけ、ね」美也子は小さくつぶやいた。

 「ほら、正直に言わないとね」


 その時、サラが遠くから駆け寄ってきた。

 「美也子! ちょっといい?」

 「うん、どうしたの?」

 「放課後、一緒に帰ろうって思ってたんだけど……」

 「いいよ」美也子は頷く。


 そのとき、ひなげしが校庭の端から手を振る。

 「おーい、美也子! 今日はここで待ち合わせだったんだよね!」

 「え、うん……」美也子は少し困惑しつつも微笑む。


 「みんな揃ったね」

 恭弥がベンチの影から歩み寄る。手には教科書とノート。

 「今日は特別に、みんなで話そうと思って」

 「話?」美也子は首をかしげる。

 「うん。みんなで、これからのことを決めるんだ」


 「何のこと?」菜津が首をかしげる。

 「秘密だけど、ちょっとだけね」恭弥は微笑む。

 「ふーん……なんだろうね」サラも興味津々だ。


 そこに、ハビエルがゆっくり現れた。

 「話に入れてもらえるか?」

 「もちろん」恭弥は頷き、ひなげしもにこにこと手を振る。

 「じゃあ、ここで決めること、私たちに任せてくれる?」美也子は少し戸惑うが、頷いた。


 「ねぇ、美也子……」菜津が小声で尋ねる。

 「なに?」

 「あなたって、もっと自分を信じたらいいのに」

 「信じる……?」

 「そう。あなたは一人で背負いすぎよ。私たち、みんなで支えるから」


 美也子はしばらく黙った。言葉にされると、胸の奥の重さが少しだけ軽くなる。

 「ありがとう……みんな」

 サラが手を差し出す。

 「私もいるよ」

 「私も」ひなげしも微笑む。


 その時、日光がゆっくり歩み寄り、夕日に照らされて輝く。

 「美也子、君は一人じゃない」

 「一人じゃない……」美也子は小さくつぶやいた。


 「じゃあ、みんなで計画を立てよう」恭弥がノートを開く。

 「計画?」菜津が目を輝かせる。

 「うん、これから私たちがどうやってこの学校を楽しむか、そしてどうやって困難を乗り越えるか、ね」


 「ふふっ、楽しそう!」サラが手を叩く。

 「楽しそうだね」美也子も微笑む。

 「まずは、明日の放課後から始める?」ひなげしが提案する。

 「うん、楽しみ!」美也子は心の中で小さくガッツポーズ。


 夕暮れが校庭をオレンジ色に染める中、七人は肩を並べて座った。言葉は少なくとも、心の距離は確実に縮まっている。


 「ねぇ、美也子」菜津が突然真剣な顔で言った。

 「なに?」

 「これからは、あなたが弱いと思った時は、私たちが支えるって約束する」

 「うん……約束」美也子は小さく頷いた。


 その瞬間、心にぽっと温かい光が差し込む。孤独ではないこと、信じ合える仲間がいること。それだけで、美也子の世界は少しだけ広くなった。




第2章:夕暮れの告白


 放課後の校庭。風がそよぎ、桜の花びらがひらひらと舞う中、美也子はベンチに座っていた。今日は少し、胸の奥がざわつく日だった。


 「また一人?」

 背後から菜津の声。美也子は振り返り、にっこり笑う。


 「うん……少し考えごと」

 菜津はベンチの隣に腰を下ろす。手には軽く膨らんだバッグ。


 「何を考えてるの? 恋?」

 「えっ?」美也子は思わず顔を赤らめる。

 「嘘よ。そんなことないって顔してるけど、バレバレよ」


 菜津は楽しそうに笑いながら、美也子の肩を軽く叩く。

 「……ちょっとだけ、ね」美也子は小さくつぶやいた。

 「ほら、正直に言わないとね」


 その時、サラが遠くから駆け寄ってきた。

 「美也子! ちょっといい?」

 「うん、どうしたの?」

 「放課後、一緒に帰ろうって思ってたんだけど……」

 「いいよ」美也子は頷く。


 そのとき、ひなげしが校庭の端から手を振る。

 「おーい、美也子! 今日はここで待ち合わせだったんだよね!」

 「え、うん……」美也子は少し困惑しつつも微笑む。


 「みんな揃ったね」

 恭弥がベンチの影から歩み寄る。手には教科書とノート。

 「今日は特別に、みんなで話そうと思って」

 「話?」美也子は首をかしげる。

 「うん。みんなで、これからのことを決めるんだ」


 「何のこと?」菜津が首をかしげる。

 「秘密だけど、ちょっとだけね」恭弥は微笑む。

 「ふーん……なんだろうね」サラも興味津々だ。


 そこに、ハビエルがゆっくり現れた。

 「話に入れてもらえるか?」

 「もちろん」恭弥は頷き、ひなげしもにこにこと手を振る。

 「じゃあ、ここで決めること、私たちに任せてくれる?」美也子は少し戸惑うが、頷いた。


 「ねぇ、美也子……」菜津が小声で尋ねる。

 「なに?」

 「あなたって、もっと自分を信じたらいいのに」

 「信じる……?」

 「そう。あなたは一人で背負いすぎよ。私たち、みんなで支えるから」


 美也子はしばらく黙った。言葉にされると、胸の奥の重さが少しだけ軽くなる。

 「ありがとう……みんな」

 サラが手を差し出す。

 「私もいるよ」

 「私も」ひなげしも微笑む。


 その時、日光がゆっくり歩み寄り、夕日に照らされて輝く。

 「美也子、君は一人じゃない」

 「一人じゃない……」美也子は小さくつぶやいた。


 「じゃあ、みんなで計画を立てよう」恭弥がノートを開く。

 「計画?」菜津が目を輝かせる。

 「うん、これから私たちがどうやってこの学校を楽しむか、そしてどうやって困難を乗り越えるか、ね」


 「ふふっ、楽しそう!」サラが手を叩く。

 「楽しそうだね」美也子も微笑む。

 「まずは、明日の放課後から始める?」ひなげしが提案する。

 「うん、楽しみ!」美也子は心の中で小さくガッツポーズ。


 夕暮れが校庭をオレンジ色に染める中、七人は肩を並べて座った。言葉は少なくとも、心の距離は確実に縮まっている。


 「ねぇ、美也子」菜津が突然真剣な顔で言った。

 「なに?」

 「これからは、あなたが弱いと思った時は、私たちが支えるって約束する」

 「うん……約束」美也子は小さく頷いた。


 その瞬間、心にぽっと温かい光が差し込む。孤独ではないこと、信じ合える仲間がいること。それだけで、美也子の世界は少しだけ広くなった。





第4章:校内探検の冒険


 翌日、放課後のチャイムが鳴ると、美也子は急いで校庭を横切った。今日も秘密基地の続き、つまり校内探検の日だ。


 「美也子、遅いよ!」サラが手を振る。

 「ごめん、ちょっと忘れ物してて……」美也子は息を切らしながら答える。

 「それじゃあ、早速行こう!」ひなげしが目を輝かせる。


 「今日は校舎の北側から回るんだっけ?」美也子が確認すると、日光がうなずく。

 「うん、ここは普段はあまり使われてないから、安全に探検できる」

 「安全って言っても、なんだかワクワクするね」美也子は胸を躍らせる。


 七人は廊下をそろりそろりと歩く。恭弥が先頭で注意深く周囲を見回す。

 「ここ、昔の図書室の倉庫だよね?」恭弥が小声でつぶやく。

 「うん、でも鍵がかかってる……」ハビエルが首をかしげる。

 「ちょっと覗いてみよう!」サラは軽くジャンプして扉をのぞく。


 「危ないよ、無理しないで」菜津が制止する。

 「大丈夫、少しだけ見るだけだよ」サラは笑顔で返す。

 「でも、何か落ちてたら……」美也子が不安げに言うと、ひなげしが手を握る。

 「大丈夫、私たちがいるから!」


 倉庫の隅には古い机や椅子が積まれていた。

 「すごい……まるでタイムカプセルみたい」美也子の声に、みんなも息をのむ。

 「昔の写真とかありそうだね」日光が指をさす。

 「ねぇ、美也子、ちょっと手伝って!」ひなげしが小さな箱を引っ張る。


 箱を開けると、中には古い教科書や文房具がぎっしり詰まっていた。

 「わぁ、懐かしいものばかり!」サラが目を輝かせる。

 「こういうの見ると、なんだか面白いね」美也子も嬉しそうに覗き込む。


 「よし、この一角を秘密スポットにしよう!」恭弥が提案する。

 「え、ここを基地の一部にするの?」美也子は驚く。

 「うん、誰にも見つからない場所だし」ハビエルがにやりと笑う。

 「いいね、それなら安全だし、探検も楽しい!」美也子も賛成する。


 その時、菜津が小声で言った。

 「でも、ここに入るのって、少しドキドキするよね」

 「うん、でも冒険ってそういうものだよ」ひなげしがうなずく。


 七人は順番に倉庫の中を見回し、使えそうな机や棚を整え始める。

 「ここに座る場所を作ろう」美也子が指差す。

 「じゃあ、ここは物置にして、文房具とか置こう」サラが提案する。

 「いいアイデアだね!」日光も笑顔で頷く。


 作業中、ひなげしがふと小さな箱を手に取り、ため息をつく。

 「ねぇ、美也子……私、ちょっと怖い」

 「怖い?」美也子がそっと隣に寄る。

 「うん、暗いし、昔のものがいっぱいで……」

 「大丈夫、私も一緒だし、みんなもいるから」美也子は優しく微笑む。


 「そうだね、みんながいるから安心だ」ひなげしも少しほっとした顔になる。

 「ねぇ、美也子、この秘密基地、もっと楽しい場所にしようね」

 「うん、絶対に!」美也子も力強く頷く。


 その後も七人は小さな冒険を続け、古い机を運んだり、倉庫の隅を整理したりした。

 「これで座る場所は完璧!」恭弥が笑顔で言う。

 「うん、ここなら誰にも見つからないね」美也子も満足そうに頷く。


 最後に、サラがにやりと笑う。

 「ねぇ、美也子、次は何を探す?」

 「うーん、校庭の裏側とか?」美也子が提案すると、みんなが一斉に目を輝かせる。

 「やった! 次の冒険も楽しみだね!」ひなげしが跳ねるように喜ぶ。


 夕暮れの光が倉庫を優しく照らし、七人の影は長く伸びた。

 今日の探検で見つけた秘密基地は、ただの場所以上に、互いの絆を深める特別な場所となったのだった。




第5章:謎の手紙と放課後の影


 翌日の放課後、七人は再び校庭の片隅で集合した。秘密基地での探検が日課になりつつある。


 「美也子、今日も冒険行く?」サラが早くも手を振る。

 「うん、でもちょっと昨日の倉庫で気づいたことがあるんだ」美也子は少し考え込む。

 「何?」ひなげしが興味津々に顔をのぞき込む。

 「倉庫の奥に、何か隠されているみたいで……」


 「隠されてるって?」日光が眉をひそめる。

 「うん、ちょうど古い棚の裏に紙が見えたんだ」美也子は小声で続ける。

 「え、もしかして宝物?」恭弥が目を輝かせる。

 「宝物って……、まあ、何かの手がかりかもね」美也子は少し緊張した笑みを浮かべた。


 「じゃあ、今日も秘密基地の奥を調べるんだね!」サラが手を叩く。

 「うん、でも今日はちょっと慎重にね」菜津が手を出す。

 「大丈夫、私たちがいるから」ひなげしが笑顔で美也子の肩を叩く。


 七人は倉庫の奥へと進む。薄暗い廊下の先で、美也子は慎重に棚を動かした。

 「うわ……やっぱりあった」美也子が小さな紙を手に取る。

 「見せて!」サラが身を乗り出す。

 「ちょっと待って……落ち着いて読もう」美也子は深呼吸した。


 紙には、古い文字でこう書かれていた。

 「真実を知りたければ、夜の校舎に来よ」


 「な、何これ……怖い」ひなげしが顔を青ざめさせる。

 「でも面白そうだよね!」サラは目を輝かせる。

 「いや、これは少し危険かも……」日光が慎重に言う。

 「でも冒険って、ちょっと怖いほうが楽しいんだよね」恭弥が笑う。


 「美也子、どうする?」菜津が真剣な目で尋ねる。

 「うーん……夜まで待つしかないかな」美也子も決意を固める。


 その夜、七人は指定された時間に校舎へ向かった。月明かりが廊下を淡く照らす。

 「本当に来ちゃったね……」ひなげしが小声でつぶやく。

 「大丈夫、私たちが一緒だから」美也子は手を握り返す。


 廊下の奥に進むと、薄暗い教室のドアが半開きになっていた。

 「ここだ……」サラが小声で言う。

 「静かにね」恭弥が先に進む。


 中に入ると、机の上に小さな箱が置かれていた。ハビエルが慎重に近づく。

 「何が入ってるんだろう……」

 「開けてみよう!」サラが手を伸ばす。


 箱の中には、古い写真や手紙がぎっしり詰まっていた。

 「これ……誰の?」ひなげしが指を差す。

 「うーん……たぶん、昔この学校に関わっていた人のものかも」美也子は写真を手に取る。


 写真の中には、見覚えのある廊下や教室が写っていた。

 「え、これって私たちが今いる場所……?」日光が驚く。

 「そうみたい……でも、なんで?」美也子は首をかしげる。


 「ねぇ、美也子、手紙もあるよ」サラが古びた封筒を差し出す。

 「開けてみて……」美也子は慎重に封を切る。


 手紙にはこう書かれていた。

 「過去と現在を結ぶ者よ、真実を求めるなら、勇気を持って進め」


 「また謎めいたことが……」ひなげしが小さく息をつく。

 「でも、面白いよね! これ、絶対に冒険だよ!」サラは目を輝かせる。

 「うん、でも慎重にね」日光が注意を促す。


 「美也子、どうする?」恭弥が聞く。

 「うーん……明日、先生に聞いてみようかな」美也子は少し考える。

 「でも、先生に話すと冒険がつまらなくなるかも……」サラが小声で言う。

 「確かに……」美也子は迷いながらも、みんなの顔を見渡す。


 「ねぇ、せっかくだから、今日のことは秘密にしよう」ひなげしが提案する。

 「そうだね、秘密基地での冒険として楽しもう」美也子もうなずく。

 「うん、私たちだけの冒険だ!」サラがにやりと笑う。


 その後、七人はそっと校舎を後にした。月明かりの下、七人の影が長く伸び、秘密基地での冒険はますます特別なものとなった。


 「ねぇ、美也子、次は何を探す?」サラが興奮気味に聞く。

 「うーん……まずはこの手紙の謎を解くことかな」美也子が答える。

 「そうだね、真実はどこにあるのか……」恭弥がにやりと笑う。

 「楽しみだね!」ひなげしが手を握る。


 夜風が校舎を吹き抜け、七人の冒険心はさらに燃え上がったのだった。




第6章:夜の校舎と謎の影


 翌日、七人は学校帰りに集まった。昨日の手紙のことが頭から離れない。


 「美也子、今日も探検する?」サラは元気いっぱいに聞く。

 「うん、でも今日はもっと慎重にね」美也子は真剣な顔で答える。

 「慎重にって、昨日はそれでも楽しかったよね!」ひなげしが笑う。

 「でも、夜の校舎は何か起きそうで怖いんだよ」日光が眉をひそめる。


 「ねぇ、美也子、手紙に書いてあった“勇気を持って進め”って、何だと思う?」菜津が小声で尋ねる。

 「うーん……多分、ただ怖がらずに進めってことじゃないかな」美也子は考え込む。

 「でも、私ちょっと怖いな……」サラが小さくつぶやく。

 「怖いのは自然だよ。だからこそ、みんなで助け合えば大丈夫」美也子は優しく微笑む。


 放課後、七人は再び夜の校舎へ向かった。月明かりが廊下を淡く照らす。

 「本当に来ちゃったね……」ひなげしが緊張で声を震わせる。

 「うん、でも面白いじゃん!」サラはにやりと笑う。

 「面白いけど、危険かもしれない……」日光が慎重に言う。


 廊下を進むと、昨日の教室のドアが少し開いていた。

 「ここだね……」恭弥がささやく。

 「うん、でも静かに……」美也子は仲間の肩に手を置き、先に進む。


 教室に入ると、机の上には昨日の箱とともに、見覚えのない影が揺れていた。

 「え、今の……?」ひなげしがびくりとする。

 「誰かいるの?」ハビエルが声をかける。

 「……でも、誰もいないみたい」美也子が確認する。


 「もしかして幽霊?」サラが目を丸くする。

 「いや、そんなことあるわけ……」日光が言いかけて、後ろから風が吹く。紙がひらりと舞った。

 「わわっ!」ひなげしが悲鳴を上げる。

 「落ち着いて!」美也子が紙を拾い上げると、そこにはこう書かれていた。

 「勇気ある者よ、影の真実を見よ」


 「影の真実……って何?」菜津が首をかしげる。

 「たぶん、昨日の写真や手紙に関係あるんだろうね」美也子は慎重に言う。

 「でも、怖いよ……」サラが小さく言う。

 「怖がるのは当たり前だよ。でも、みんなで一緒にいれば大丈夫」美也子はみんなの手を握る。


 七人は教室の奥に進む。壁にかかった古い鏡が、淡い月光を反射してゆらゆら揺れる。

 「この鏡……何か写ってる?」恭弥が指を差す。

 「え、うそ……」ひなげしが息をのむ。

 鏡の中には、七人の影が少しずつ動き、まるで自分たちとは別の行動をしているかのようだった。


 「これ……影が勝手に動いてる?」日光が驚く。

 「でも、怖いけど、ちょっとワクワクする……」サラは顔を輝かせる。

 「慎重に……でも確かめよう」美也子が鏡に近づく。


 美也子が手を伸ばすと、鏡の中の影が同じ動きを真似して止まった。

 「な、何これ……?」菜津が顔を青ざめさせる。

 「でも、私たちの影じゃないみたい……」ひなげしがつぶやく。


 「ねぇ、美也子、どうする?」恭弥が小声で聞く。

 「うーん……手を離してみよう」美也子は慎重に手を引く。

 すると影はゆっくり消え、鏡は元通り静かになった。


 「ふぅ……びっくりしたね」日光が息をつく。

 「でも、面白かった!」サラは笑顔で言う。

 「ほんとに……でも、これが“影の真実”なのかな?」美也子が考え込む。


 「ねぇ、七人で次にどうする?」ひなげしが聞く。

 「たぶん、この影の謎を解くのが次の冒険だね」美也子は答える。

 「でも怖いのはやだな……」サラが小さくつぶやく。

 「怖いのは自然だよ。でもみんなで一緒なら大丈夫」美也子はにっこり笑う。


 その瞬間、教室の扉が静かに閉まる音がした。

 「え、今の……?」菜津が振り返る。

 「でも、怖がっても仕方ないよね」恭弥が笑いながら言う。

 「そうだね、これも冒険の一部だもん」美也子は決意を固める。


 七人は互いに手を取り合い、夜の校舎を後にした。

 「次は、もっと真実に近づけるかもね!」サラが興奮して叫ぶ。

 「うん、でも慎重に……」日光が笑いながらも警戒する。

 「楽しみだね、美也子!」ひなげしが手を握る。

 「ええ、みんなで一緒に解こう」美也子も笑顔で答える。


 夜風が校舎を吹き抜け、七人の冒険心はさらに燃え上がった。次の挑戦は、より深く、より危険で、そしてより刺激的なものになろうとしていた。




第7章:影の迷宮と挑戦の夜


 翌日の放課後、七人は再び学校に集まった。昨日の鏡の影が頭から離れない。


 「美也子、あの鏡のこと、もっと調べない?」サラは目を輝かせて言う。

 「うん、でも今日は昼間だから少しは怖くないかも」美也子は慎重に答える。

 「でも、日光……慎重すぎじゃない?」ひなげしがからかうように笑う。

 「慎重は大事だよ……昨日みたいなこと、夜だったら危なかったし」日光は眉をひそめる。


 「ねぇ、みんな、昨日の影ってさ、ただの影じゃない気がするんだけど」菜津が小声で言う。

 「うん、動き方が明らかに不自然だったもんね」美也子も頷く。

 「もしかして、あの影は私たちを試してるのかも」恭弥が言う。

 「試す……?」ハビエルが首をかしげる。

 「だって、手を出すと反応するし、何か意味があるんじゃない?」美也子は考え込む。


 七人は昨日の教室へ向かう。昼間でも廊下は少しひんやりしている。

 「やっぱり、なんか落ち着かないね」ひなげしが小声で言う。

 「うん……でも、昨日よりは大丈夫」サラはにっこり笑う。


 教室の中に入ると、昨日の箱と鏡は変わらずそこにあった。

 「よし、まず箱を調べてみよう」美也子は箱に近づく。

 「美也子、気をつけて!」日光が警戒する。

 「うん、大丈夫」美也子は箱の蓋をそっと開ける。


 中には古い日記と、いくつかの鍵が入っていた。

 「鍵……これは何に使うの?」菜津が驚く。

 「たぶん、鏡の何かと関係あるんじゃないかな」美也子は日記を手に取る。

 「読んでみてよ、美也子!」サラがせかす。


 日記には、こう書かれていた。


“勇気ある者よ、この迷宮を進め。影の試練に耐えた者のみ、真実を見ることができる。”


 「迷宮……?」ひなげしが小さくつぶやく。

 「どうやら、私たち、ただの探検じゃなくて試練に挑むことになるみたい」美也子が説明する。

 「試練って……怖くない?」サラが顔を引きつらせる。

 「怖いけど、やるしかないよね」美也子は決意を固める。


 その瞬間、鏡が淡く光り始め、七人の影が床に映る。

 「わっ、また!」ひなげしが驚く。

 「でも……昨日よりははっきり見える」日光が眉をひそめる。

 「これって……迷宮に続く合図なのかな」恭弥がつぶやく。


 美也子は仲間を見渡す。

 「怖いけど、みんなで行こう。手を離さずに」

 「うん!」七人は手をつなぎ、鏡に近づいた。


 鏡の表面に触れると、光が強くなり、気づくと七人は別の場所に立っていた。そこは見たことのない、影がうごめく迷宮だった。

 「ここ……どこ?」菜津が息をのむ。

 「迷宮みたい……」サラが目を丸くする。

 「怖いけど……進むしかないよね」美也子が前を見据える。


 迷宮の中は薄暗く、影が壁を滑るように動く。

 「ねぇ、美也子、あの影、何か動いてるよ!」ひなげしが指を差す。

 「でも、攻撃してこない……?」日光が警戒する。

 「攻撃じゃないみたい。何か見せようとしてるのかも」美也子は慎重に歩を進める。


 迷宮の道は複雑で、分かれ道がいくつもある。

 「こっちかな?」恭弥が右の道を指す。

 「いや、左に進んでみよう」ハビエルが反対を指す。

 「みんなで相談しよう。急がずに」美也子が声をかける。


 七人は意見を出し合いながら進む。途中、影が壁に現れ、昔の記憶や恐怖を映し出す。

 「わっ、これ私の……!」サラが驚きで後ずさる。

 「でも、これは試練だから……怖がらずに見よう」美也子は手を握り、サラを励ます。

 「怖いけど……美也子がいるなら……」サラは頷き、前に進む。


 影の試練は続き、七人は互いに助け合いながら迷宮を進む。

 「美也子、次はどうする?」菜津が不安げに聞く。

 「落ち着いて、影をよく見よう。何かヒントがあるはず」美也子は慎重に進む。


 迷宮の奥で、七人の影がひとつに重なり、光の輪が現れた。

 「これ……もしかしてゴール?」ひなげしが息をのむ。

 「たぶん、影の試練の最後の合図だね」美也子が微笑む。

 「よし、みんなで行こう!」恭弥が手を握る。


 七人は光の輪に一歩踏み出すと、眩しい光に包まれた。

 気づくと、迷宮は消え、元の教室に戻っていた。

 「戻ってきた……!」サラが叫ぶ。

 「でも、何か変わった気がする」菜津が周囲を見回す。


 美也子は手に残る光の感覚を感じ、深呼吸する。

 「これで影の試練は終わったのかな……?」

 「でも、まだ真実は見えてない気がする」日光が眉をひそめる。

 「次に進めば、もっと謎が解けるはず」美也子は決意を固める。


 七人は互いに微笑み合い、次の挑戦に向けて心を一つにした。夜の校舎での冒険は、まだ始まったばかりだった。



第8章:真実の扉と決断の刻


 迷宮の試練を終えた翌日、七人は学校の屋上に集まった。空は曇りがちで、微かに風が吹き抜ける。


 「昨日の迷宮……あれ、本当に現実だったのかな?」サラがまだ興奮冷めやらぬ様子でつぶやく。

 「現実だった……でも、あれは一種の試練だね」美也子は日記を手に取り、確認する。

 「試練……ってことは、次が本番?」菜津が不安そうに眉をひそめる。

 「うん、多分。日記にも、次は“真実の扉”って書いてあったから」美也子が説明する。


 「真実の扉……?なんか怖い響きだね」ひなげしが肩をすくめる。

 「でも、私たちなら大丈夫だと思う」日光が力強く言う。

 「そうだね。みんなで力を合わせれば」恭弥も同意する。

 「でも、準備は必要だよ。昨日みたいに、焦って突っ込むと危ない」ハビエルが慎重に言った。


 七人は放課後、再び教室へ向かう。そこには昨日と同じ鏡が静かに立っていた。

 「さあ、行こうか」美也子は手を差し伸べる。

 「うん、でも怖いな……」サラが小さく震える。

 「怖がらなくていいよ。私たちが一緒だから」美也子は笑顔で励ます。


 鏡に触れると光が強くなり、七人はまた異空間に引き込まれた。今回は迷宮よりも明るく、広い空間が広がっていた。

 「うわ……すごい……」菜津が目を見開く。

 「でも、油断は禁物」日光が周囲を警戒する。


 空間の中央には巨大な扉が立っていた。扉には七つの印が刻まれており、それぞれの影が重なり合って光る。

 「これが……真実の扉?」恭弥が声を震わせる。

 「たぶん、これを開けるには全員の力が必要なんだろうね」美也子は考え込む。

 「つまり、協力しないと開かない?」ひなげしが驚く。

 「そうみたい。七人で力を合わせる試練……前より難しそう」ハビエルが頷く。


 「よし、手をつなごう」美也子が提案する。

 「うん、みんなで力を合わせるんだ」日光も手を伸ばす。

 七人は手を取り合い、心を一つにする。扉の印が徐々に光り出し、空間全体が輝きに包まれる。


 「光が……!」サラが驚く。

 「でも、まだ完全に開かないみたい」美也子が観察する。

 「どうすれば?」菜津が焦る。

 「私たちの気持ちを一つにするんだと思う」美也子が答える。


 七人はお互いの目を見つめ、心の中で「信じる」と唱える。すると扉の光が一気に強くなり、七人の影が扉に吸い込まれるように重なった。


 扉がゆっくりと開き、そこに映し出されたのは、七人それぞれの過去の記憶だった。

 「これ……私の過去……」サラが涙を浮かべる。

 「菜津、これは……?」ひなげしが声をかける。

 「私の家族……ここまで来た意味が分かる……」菜津は胸を押さえる。


 「これは、私たちが抱えてきたものを受け入れる試練なんだね」美也子が静かに言う。

 「怖いけど、でも……向き合わなきゃ」日光が決意を固める。

 「うん、私も」恭弥が小さく頷く。


 七人はそれぞれの記憶に触れ、痛みや悲しみを受け入れる。影が消え、光だけが残った空間で、扉は完全に開かれた。

 「見えた……これが真実の道……」美也子が手を伸ばす。

 「行こう、みんなで」ハビエルが背中を押す。


 七人は光の扉をくぐり、次の空間に足を踏み入れた。そこには美しい庭園が広がり、暖かな日差しが差し込む。

 「わあ……本当に、景色が変わった」サラが目を輝かせる。

 「でも、まだ油断はできないね」日光が警戒を緩めない。


 庭園の中央には、一つの台座が置かれ、七つの鍵穴が刻まれていた。

 「鍵……迷宮の箱に入っていたやつ?」菜津が確認する。

 「そうみたいだね」美也子は台座に七つの鍵をはめる。


 鍵がカチリと音を立て、台座から光があふれ出す。庭園の空間がさらに輝き、七人の周囲に柔らかな光の輪が広がった。

 「これ……扉を開ける力?」ひなげしが息をのむ。

 「そうだね、でも最後の試練はこれからだと思う」美也子は慎重に言う。


 その瞬間、光の中から声が聞こえた。


「勇者たちよ、あなたたちは己の心と向き合い、協力の力を証明した。次の選択で、真実の道が開かれる。」


 「選択……?」サラが不安げに言う。

 「でも、これが最後の試練の合図かもしれない」美也子は覚悟を決める。

 「どんな選択でも、私たちは一緒に乗り越える」日光が力強く言った。


 七人は互いに頷き、手を取り合った。その決意が光の力に変わり、庭園全体が眩しい光に包まれた。

 「さあ、行こう。真実の扉の先へ」美也子が前に進む。

 「うん!」全員が声を揃え、光の中へ足を踏み出した。


 次に待つのは、心の深奥に潜む秘密と、七人の運命を左右する選択だった。





第9章:最終選択と運命の告白


 光の中を歩く七人の前に、巨大な扉が現れた。扉には二つの象徴が描かれていた――一つは光、もう一つは影。


 「これが……選択の扉?」美也子が手を伸ばす。

 「光と影……どっちを選べばいいんだろう」菜津がつぶやく。

 「多分、どちらも間違いじゃない。でも、自分たちが信じる道を進むんだと思う」日光が冷静に答える。


 「でも……怖いよ」サラが目を伏せる。

 「怖くても、私たちは一緒だよ。だから大丈夫」美也子は笑顔で励ます。

 「うん、でも……私、自分の気持ち、ちゃんと言えるかな……」ひなげしが小声でつぶやく。


 扉の前で七人は足を止め、互いの顔を見つめた。

 「美也子……」ハビエルが口を開く。

 「何?」美也子が振り向く。

 「僕、ずっと伝えたかった……」ハビエルの声が少し震える。


 「私も……言わなきゃ」恭弥が目を逸らさずに言った。

 「え、何を?」美也子が驚く。

 「……美也子、僕はずっと、君を守りたいと思ってた」恭弥の言葉に、空気が一瞬止まる。

 「……私も、守りたいって思ってる」美也子は小さく笑った。


 「やっぱり、告白のタイミングって、こういう場面なのかな……」サラが思わず漏らす。

 「今言わなきゃ後悔する」日光が真剣な目でサラを見る。

 「そ、そうだね……私も……」サラは頬を赤らめ、言葉を絞り出す。


 七人はそれぞれの気持ちを胸に刻み、扉の前に立った。

 「じゃあ……決めよう」美也子が手を差し出す。

 「うん、みんなで一緒に」日光も手を伸ばす。


 七人が手をつなぐと、扉が光り輝き始めた。光の象徴と影の象徴が重なり合い、次第に一つの道へと変化する。

 「すごい……道ができてる」菜津が驚く。

 「でも、これって……私たちが選んだ道なんだね」ひなげしが頷く。


 その瞬間、庭園が揺れ、闇の影が形を取り始めた。

 「敵……?」サラが身構える。

 「いや、これは私たち自身の心の影だ」美也子が静かに言う。


 影は七人の心の迷いや不安、後悔を映し出し、次々に襲いかかる。

 「逃げちゃダメ……!」美也子は叫び、影に立ち向かう。

 「うん、私たち、負けない!」菜津も一緒に踏み出す。


 七人は互いの手を握り合い、影に立ち向かう。

 「怖くても、私たちが一緒なら」日光が力強く言う。

 「うん、みんなで!」恭弥も声を揃える。


 影は一瞬、大きくうねったが、七人の決意によって光に変わり消えていった。

 「やった……」サラが安堵の息を漏らす。

 「まだ……完全には終わってないみたい」ハビエルが警戒を緩めない。


 前方の光が扉の形を取り、そこから一人の人物が現れた。

 「……君たちが、真実を選んだ勇者たちか」低く、しかし温かい声。

 「はい……」美也子が一歩前に出る。

 「君たちは、それぞれの心の影を乗り越え、協力し合うことを選んだ。その勇気を讃える」人物は微笑む。


 「でも……これで終わりですか?」ひなげしが問いかける。

 「終わりではない。ここから先、君たちの選択が、未来を決める」人物は扉の奥を指さす。

 「未来……?」菜津が目を見開く。

 「そう、君たちの心の答えが、次の道を作るのだ」人物は静かに消え、扉が完全に開いた。


 七人は互いを見つめ、静かに頷く。

 「行こう、美也子」恭弥が手を差し出す。

 「うん、行こう……みんなで」美也子は笑顔で応えた。

 「私たち、負けない」サラも力強く言う。

 「怖くても……進むんだ」日光が背中を押す。


 七人は手を取り合い、光の扉の向こうへ踏み出した。その先には、まだ誰も見たことのない世界と、運命を決める最後の選択が待っていた。


 そして、美也子は心の奥で誓った――

 「どんな困難でも、みんなと一緒なら、乗り越えられる」


 光の中で七人の影が重なり合い、未来への道を照らし出す。





第10章:未来への光と絆


 光の扉を抜けた七人は、目を開けると広大な花畑の中に立っていた。空は澄み渡り、柔らかな日差しが降り注いでいる。風がそよぎ、花々が揺れるたびに、淡い香りが辺りに漂った。


 「……ここ、本当に私たちの行くべき場所なの?」菜津が半信半疑で周囲を見渡す。

 「うん……なんだか、安心できるね」ひなげしが小さく笑った。

 「怖くなかった?」サラが振り返る。

 「ううん、怖さよりも……ここに来られたことが嬉しい」美也子は目を輝かせて答える。


 七人は自然と手を取り合い、草の上に座った。長い戦いと選択を経て、心の奥に溜まっていた不安や迷いが、少しずつ解けていくようだった。


 「ねえ、美也子……その、ちゃんと言わなきゃ」恭弥が言葉を詰まらせる。

 「ん?何を?」美也子は笑顔で見つめる。

 「やっぱり……君が好きだ。ずっと、ずっと」恭弥の告白は、静かな花畑の中で確かに響いた。


 「恭弥……私もだよ」美也子は頬を赤らめ、素直に返す。

 「よかった……」恭弥は安堵の表情を浮かべ、そっと手を握る。


 その隣でハビエルも、深呼吸をしてから口を開いた。

 「美也子、僕も君のことが……」

 「ハビエル……でも私、恭弥と一緒にいるって決めたんだ」美也子は優しく微笑む。

 「うん……分かってる。でも、君の幸せを応援したい」ハビエルの瞳には涙が光る。

 「ありがとう……ハビエル」美也子はそっと手を握った。


 サラも恥ずかしそうに目を逸らしながら言った。

 「日光……私、ずっと言えなかったけど……」

 「言わなくても、分かってるよ」日光は優しく頬に手を添える。

 「そっか……ありがとう」サラは涙をこぼし、でも嬉しそうに笑った。


 ひなげしと菜津も互いに見つめ合い、静かに頷く。

 「一緒に……ずっと、笑っていられるといいね」ひなげしがつぶやく。

 「うん、絶対に」菜津も微笑んだ。


 七人は花畑の真ん中で輪を作り、手を取り合った。光が差し込み、七つの影が一つに重なる。その瞬間、心の中の全ての迷いや不安が消え、未来に向けての確かな力となった。


 「さあ、これからどうする?」恭弥が笑顔で尋ねる。

 「まずは……お腹すいた!」サラが元気よく言い、みんなが笑う。

 「ほんとにもう……」日光が苦笑しながらも、楽しそうに肩を叩く。


 美也子はふと空を見上げ、花びらが舞い散る中でつぶやいた。

 「これからの道は、誰にも分からない。でも、みんなと一緒なら……」

 「大丈夫だよ、美也子」恭弥が手を握り返す。

 「うん……ずっと一緒に歩こう」美也子は微笑む。


 七人は手を取り合い、ゆっくりと花畑を進み始めた。光の道は果てしなく広がり、未来へ続いている。


 途中、見たことのない生き物や色鮮やかな花々が現れ、時折、笑い声や歓声が上がる。恭弥と美也子は手を繋ぎ、肩を寄せ合いながら歩く。サラと日光、ひなげしと菜津も笑顔で会話を楽しみ、ハビエルも遠くから温かく見守る。


 「見て、美也子!」サラが花のアーチを指差す。

 「わあ……綺麗……」美也子は息をのむ。

 「私たちの未来も、こんな風に輝いてほしいね」恭弥がそっと呟く。


 「うん、絶対に」美也子は頷き、心からの笑顔を見せる。


 七人は光の中で、ただ一緒にいることの幸せを噛み締めた。過去の試練も迷いも、全てはこの瞬間のためにあったのだと実感する。


 やがて日が沈み、空は茜色に染まった。花畑の向こうには、七人の影が長く伸び、互いに寄り添いながら未来へ歩む姿があった。


 「これからも……ずっと一緒だよね?」菜津が振り返りながら聞く。

 「もちろん」ひなげしも笑顔で答える。

 「私たちは……永遠に、仲間だもん」美也子の言葉に、全員が頷いた。


 光の道は無限に続き、七人の笑顔と絆は、未来への光として輝き続けた。


 こうして、美也子と仲間たちの物語は、完全なハッピーエンドを迎えた。どんな困難も、どんな影も、彼らの絆の前では無力だったのだ。


 そして、花畑の中で笑う七人の姿は、永遠に忘れられない光景として、世界に刻まれた。




終わり











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