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01.風鈴祭りと短冊 其の壱

 ※風鈴祭りは2012年からは始まりました。この物語の2008年当時はまだ実施されていません。開催初めの時期はフィクションです。




自室の勉強机で、夏休みの宿題を広げる。

 今日も両親は仕事でいない。

 喚起の為に開けた窓から、つんざくようにセミの声が部屋に響いていた。

 

 プールに行きたいなと思いながら、鉛筆を持って答えに回答を書いていく。

 それを隣で関心そうに見ている鹿が1匹。

「今の子供はこんなものを寺子屋に持って行くのか。関心するな。」


 1人で宿題するよりかは少し楽しくなった。

「斑さん、寺子屋じゃなくて学校だよ。」


「学校というのか……ふむここ数百年でかわるもだな。」

 しみじみと時代の変化を感じているのだろうかと感じていた。


そんなことを考えていたら、外から聞き覚えのある声がした。


「こんにちはー」

 窓の外を少し覗くと、親友の遥ちゃんがいた。

 斑も興味深々に外を見て、花札に戻った。

 私は、夏休みの宿題のテキストを閉じて、玄関へ向かった。

 玄関を開けると、白い麦わら帽子をかぶった汗だくの遥ちゃんがいた。

 

「遥ちゃん、そうしたの?」と聞くと。


「蓮花ちゃんと風鈴祭り行きたくて。」

 初めて聞くお祭りだなと思いながら、いいよと返し、準備を始めた。

 夏休みだから今月のお小遣いは少し多めにもらっている。


 キャップ帽をかぶり、カバンに水筒と財布を自転車のカギを持って外へ出た。

 

「で、風鈴祭りってどこであるの?」


「正寿院ってところでやってるんだけど、ここから電車とバスで1時間半くらいかな」


「ん?バスも使うの!遠くない?!」


私は少し戸惑う、そんな遠出をまだ両親意外としたことがない。


 遥かは笑顔で言う。

「夕方になる前には帰るからさ」

 

 花札の斑もポケットから声をかける。

「私もついてる、少しは旅をしてみろ」


 なんで二人はこうも不安にならないのか……。

 疑問に思いながらも、夏休みはどこにも行ってないのも事実だ。

 少しは外に出たいと思っていた。


「分かった、遥が頼りだからね。」


「そう来なくっちゃ」

 真夏の日差しに負けないくらいの明るい笑顔で遥は、楽しそうに自転車を走らせた、私もその後を追って自転車に乗り最寄り駅へと向かった。

 電車に乗り、あっという間にバスのある大きな駅についた。


 遥ちゃんがバス乗り場へ案内してくれた。

 熱風を浴びながら待つとバスが来た。

 乗り込むと涼しくて体がキーンと冷えて、椅子に座ると旅が始まった気分になり蓮花の内心は好奇心でいっぱいになった。


 蓮花は、遥と雑談する中で、正寿院の事を聞く。

「正寿院って初めて聞いたんだけど、どんなところなん?」

 

 遥ちゃんは、ふふふ……と不敵な笑い声で意気揚々と話し出す。

「正寿院は、今からなんと800年くらいも前に建てられた、とっても歴史のあるお寺で、すごい宝物がたくさんあるの。中でも特にすごいのが「不動明王坐像ふどうみょうおうざぞう」という仏像!これは、鎌倉時代に快慶かいけいという、とっても有名で仏像作りのプロの人が作ったもので。その仏像は、国が認めた、国指定の重要文化財になっているんだよ。」


 少し早口で話す、遥ちゃんは止まらない。

「正寿院には夏になると、もっとすごいことが起きるんだ!それはね、なんと2,000個以上の風鈴ふうりんが境内にずらーっと並んで、風が吹くたびにとってもきれいな音を鳴らしてくれるの。だから正寿院は、「風鈴寺ふうりんじ」とも呼ばれているんだよ。」


 遥ちゃんの熱烈な、語りのあと、ふうーと一息つき、話を続ける。

「毎年、お父さんと行ってたんだけど、蓮花とも行ったら楽しそうだなって思って思い切って誘ってよかった」


 蓮花はなんだか心があったかくなって、嬉しくなった。

 より一層楽しみに窓の外を見ると街中からすっかり山の中の景色になっていた。

 空の青さと、雲の白さそして山の緑の鮮やかさが際立つ夏の風景。

 なぜかわからないけど、その風景はきらきらと輝いていて眩しかった。

「わぁ……」

 そんな情緒ある風景に思わず、声が出る。


 「私、こういう自然の風景好き。蓮花は?」


 蓮花も間髪入れずに答える。

「私も好き。きらきらして、なんだか見てると、わくわくする。」

 遥かは嬉しそうに言った。


「じゃあ、これから行く風鈴祭りは絶対、好きだと思う。」

 

 すると、斑さんがカバンから、ふわっと現れる。

 蓮花にしか見えてないのを良いことに、バスの中で風雅に過ごす。

 そして一言、蓮花に向かっていう。


「蓮花、楽しいか」


 蓮花は、何も言わずに、にこっと微笑んだ。

 その様子を見て、斑はまた外を眺めた。非常に利便の訊く時代が来たものだな。

 バスから見える景色は、斑にとっては、はあまりにも早く過ぎていくように見えるのだった。

 

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