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第0話 生活支援AIミタス プロローグ

『勇者女神さまが宇宙を救う』のスピンオフ作品です。子供を救うお話を書きます。

【冒険者ギルド株式会社 ニューヨーク拠点】


深夜、ガラス越しの街に、月明かりが静かに降り注いでいた。

ギルドの夜間ブリーフィング室で、イワオはテレビ電話でマモルに語りかけていた。


イワオ「マモル。いじめの報告件数が、また上がってる。これはもう、“個別の問題”じゃない。“国家レベル”として手を入れねばならん段階だ」


マモルはモニターを見つめた。映し出されたのは、各地から寄せられた子どもたちの記録。

声を上げられずに沈黙する者、転校を繰り返す者、教師や親にすら頼れずに孤立する者。どの顔にも、“助けを呼ぶ方法を知らない目”があった。


マモル「そうだな。“先生や親が信じられない”ときの“次の手”が必要だな」


イワオ「その通りだ。だから、提案する。“人間に頼らなくてもいい守護者”を作ってくれ」


マモル「守護者?」


イワオ「“魂のない機械”ではなく、“心の声に反応する守り人”が必要だ。それを、あらゆる子どもたちに“無条件で”配る。いいな、“選ばれた子”ではなく、“すべての子”にな」


マモルは静かにうなずいた。


【生活支援AIミタス 完成】


数か月後、アメリカのAI開発会社にて、試作機が完成した。政治AIアケミを開発した会社だ。今度は生活支援AIだ。名前は《ミタス》。見た目は柔らかな白の小さな小さな人型。優しい光を宿し、子どもの手のひらにちょうど収まるサイズ。ペンダントにしている。


《ミタス》は、子どもの持つ感情と連動する。「怖い」「つらい」「悲しい」といった未言語の感情信号を魔法で読み取って起動する。起動後は、認識阻害型の結界を展開し、物理的・心理的攻撃を防ぐ。さらに、食事・衣類・健康・相談・移動支援の必要があれば、外部へ連絡がいく仕組みとなっている。


マモル「名前の意味は、“満たす”。“助け”だけじゃない。“生きる安心”を満たす存在だ」


【世界導入計画・発表】


《ミタス》は、国連の児童福祉組織と冒険者ギルド株式会社のコンビニチェーン《ボーソン》の協定により、世界中のコンビニ「ボーソン」を“拠点”として配置されることが決定された。


各コンビニボーソンには《ミタス》の待機型魔導装置が設置


成長ホルモンを感知して子供と認定された者を対象に自動で起動する。すべての子に、無条件・無料で提供される。それは、“声に出さずとも守ってくれる”社会インフラの始まりだった。


【ある子どもの朝】


小学生のナナは、その朝、胸に忍ばせた小さな小さな人形のペンダントを強く握りしめていた。


昨日、クラスで無視された。

前の席の男子に机を蹴られた。

帰り道、先生に相談しようとしたが、うまく言葉が出なかった。


今日、登校途中に寄ったコンビニボーソンの片隅で、小さな人形が話しかけた。


「こんにちは。私はミタス。あなたが、ちょっとでも“怖い”って思ったら、助けるからね」


サクラの胸元に、光が宿った。その瞬間から、彼女の周囲にだけ“やさしい風”が流れ始めた。


【マモルの言葉】


マモル「“誰かに頼る”のは、難しい。

でも、“ミタスがいるから学校に行ける”と思えるなら、それで十分だよ。


こうして、生活支援AIゴーレム《ミタス》は、すべての子どもにとっての“静かな味方”として、世界中のコンビニボーソンから、自動で出動し、多くの必要な子供の手に渡った。

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