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幕間『仮面』
少年はただ傍観することしか出来ない存在だった。
最初はクラスメイトの何人かに気付いてもらえない程度。ただ影が薄いだけ、自分は此処に居るのだと信じきっていた。
けれど次第にその期待には裏切られる。
仲の良かった友人、先生、家族でさえも少年を認知することはなくなった。
少年は……孤独に育てられた……
どうしても人の目に留まりたい。記憶に残りたいと願いは募るが、どれだけ祈ろうとも誰も応えてはくれない。
やがて少年は自分の心を守るため、外では自分ではない誰かになりきるようになった。
例え真実が違っても、嘘の理由があれば怖くないと言い聞かせながら。
――少年は、心を仮面で偽った。
紫蘭祷
学校…金鈴高校二年生
イメージカラー…紫色
キーワード…仮面
花言葉…紫蘭『互いに忘れないように』