幕間『亡霊』
少女は成仏出来ずにセカイに留まっていた。生者として蘇ることも、死者として天に昇ることも叶わない。
自分が消えることで傷付いてしまった親友達を、残してはいけなかった。
声は届かず、姿も見せられない。それでも、たった一つだけ親友のために出来ることがあった。
少女は……親友達の行く末を見届けることにした……
少女が見守り始めてから、親友の一人が奇妙な行動をとるようになった。視界にいるはずのない少女を映し、一人で声無き声との対話をしていたのだ。
命を奪ったことで心が病み、忌まわしい記憶は、感情と共に心の奥底へと封じられた。
もう一人の親友は、犯人に怨恨の目を向け、正義の名の下に裁こうとしていた。
危険な町から親に連れ出され、離ればなれになってもなお、記憶の町が頭から離れない。必ず戻り、自ら鉄槌を下そうと決意を固めていた。
二人の親友を助けたい。少女は救済を願っていた。
けれど――少女がどれだけ手を伸ばしても、二人の親友に届くことはない。
なぜなら彼女は、既に死した亡霊なのだから。
常磐桜
年齢…享年10歳
イメージカラー…桜色
キーワード…亡霊
花言葉…常磐桜『運命を切り開く』