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面接
ズドン
机の上に何かが置かれた。それは本だった。オレンジ色でタイトルは漱石、 ・・・まさか私かな。そう思いながら姿勢をただす。桜と呼ばれた彼女はペラペラと本のページをめくり
「夏目さん。」
声をかけてきた。
「はっはい。」
緊張して少し声が高くなってしまった。
「ここは特殊な仕事場です。」
彼女はそう前置きをしてきた。
「はい。」
まあ名前からしてそうと思っていたけど。
「なので私達は、あだ名をつけて呼びあっています。」
ここで私は本をみた。そこには漱石というタイトル、・・・あれ、私のあだ名これなのでは?そう思い、
「まさかとは思いますが」
「はい。」
「私のあだ名って漱石じゃあないですよね?」
私の声は少しふるえていた。だって仕事の間ずっと漱石って呼ばれるって地獄だもの。
少し間があった。まるで認めるかのような間が。そして彼女は笑顔でこういった。
「はい、そうです。」
宇宙にいるかのような感覚に襲われた。