4.膝掛け
三時間目の授業が始まったが、私の意識が遠のいていく……。
――気付けば、もうお昼休みになっていた。
なんと、三時間目からお昼休みまでずっと寝ていたようだ。
汗かきの私のシャツはビショビショになっていた。
「……これは着替えないと」
しかし、妙に暑い……暑い!
夏なのは分かる。だが、夏の暑さに加え、まるで布団の中に居るような暖かさを感じる。
私は机から身体を起こした。
――ストンっ
すると、私の背中から何かが落ちた。
何だ何だ? と、落ちた物を確認すると……なんと、膝掛けであった!
もしかして、この膝掛けが私の背中に掛けてあったのか!? 道理で暑いわけだよ!
こんな嫌がらせ、全く誰がしたんだよ……。
私は不機嫌になり、着替える為にトイレに行こうとした。
すると、何やらニコニコした小動物のような奴がコチラに近付いてきた。雪である。
私は勘づいた。犯人はコイツだ! と。
「お〜ま〜え〜は〜!」
私は怒り、雪の頬っぺたを引っ張る。
「痛てててて! なんで怒ってるのぉ、芽衣ちゃん!?」
「私の背中に膝掛けを掛けたの、雪でしょ! 雪が使ってるやつだし!」
「だ、だって芽衣ちゃん寝てたから……風邪引くかと思って掛けたの!」
……ポカーン!
私は閃いた。悪気があった訳では無いようだ。
「あ、ご、ごめんねぇ? 私はてっきりイタズラかと思って……泣かないで?」
泣きかけている雪の頭を撫で撫でし、私は謝った。
「……へっ、へーんっ! な、泣いてなんかいませんよーだっ!」
雪は明らかに強がっている。そして、半泣きのまま笑顔になり、私の頭を撫でて来た。
「じゃあー……これでおあいこ?」
「うん! おあいこだよ!」
何だかんだ、私達は仲が良いのだ。
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