3.みい
私は机に伏せ、寝かけていた。
「おーーいっ!!」
突然私の耳元で大声が発せられた。
ビクッとなった私は、すぐさま机から身体を起こした。
そして、ぽけーっとした顔で辺りを見渡す。
「ここだよ、こーこっ!」
視線を上に向けると、胸の大きな女の子がいた。
高校からの友達の、未唯であった。
この子は、初めて出会った時から何だか私に付きっきりなのだ。
私の何処が良いのか全く分からないのだが、私の事を気に入ってくれてるのだろうとは思う。
誰からであろうと、好意を抱かれるのは嬉しい事だ。
初めて会ってまだ数ヶ月しか経っていないと言うのに、未唯にはそんな時間を感じさせない。まるで、前からの友達であったと思う程、私は未唯に気を許してしまう。
いや、未唯が図々しいだけなのかも知れない。
しかし……女の私から見ても、未唯の胸は魅力的であった。しかも、今下から見上げているこの光景は、男子ならばどれ程の思いで見たいのだろうか、等と馬鹿みたいな事を考える。
こういう時、『あーあ、私は女で良かったな』等と思う。
いや、私は女が好きって訳では無いのだ。決して。
「なんだよー、いきなり! 煩いんですけど!」
私は少し怒り、未唯の胸をつつく。
未唯の胸をつつくのは、もはや私の趣味であった。
「あらまぁ、何どさくさ紛れに人のおっぱい触ってるんですかー? 私も芽衣のおっぱい触っちゃおっかな〜」
「や、やめろォ!」
顔が赤くなり、私は自分の手で胸を守り、断固拒否の姿勢をとった。
人の胸を触るのは好きだが、自分の胸を人に触られるのはあまり好きでは無いのだ。
恥ずかしいと言うか、なんと言うか。
ただ、自分がされて嫌な事を他人にするなよ、って話である。
――キーン、コーン、カーン、コーン
授業開始の予鈴が鳴る。
「ほ、ほらっ! 予鈴鳴ったぞ、自分の席戻りなよ未唯!」
「じゃ、また後でね〜」
未唯が私の席から去り、授業が始まった。
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