表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天魔の子(仮)  作者: タロさ
54/236

斥侯 幕開け

国王にエンデの力を披露した後、何事もなく王都に戻る事になった。

その間、軍に誘われたわけでなく、食事会に呼ばれることも無かった。


だが、エンデたちがジョエルの屋敷に戻った頃、

王城では、グラウニーが国王ゴーレン アンドリウスに呼ばれていた。


「あれは、本当に人の力なのか?」


ゴーレンの第一声は、あの力に恐れを抱いたととれる発言だった。

その意を汲み取り、グラウニーが答える。


「確かに、あの力は、

 人の手に余る恐ろしいものだと感じました。

 しかし、あの力ならば、我らの切り札になる事は、疑いようのない事実です」


「確かに、グラウニーの言うとおりだ。

 だが、彼らは、この王都にずっと滞在するのか?」


「それは、わかりません。

 ただ、現在王都に滞在している理由は、学園に通っているからだと伺っております」


「学園・・・・・」


ゴーレンは、少し驚いた表情を見せる。

そして・・・・・


「あの学園には、我が娘も通っておるが、休校になった話など聞いてはおらぬ。

 あの二人は、本当に学校に行っているのか?

 この間は、学園の許可でも取っていたのか?」


普段の二人の行動を調べさせていたが、ゴーレンに上がる報告に、

学園に通っているという報告はなかった。


その為、『一度、確認した方が良い』とゴーレンは、グラウニーに伝えた。


翌日、グラウニーは、学園に赴く。


そして、校長室で、面会したルードルとグルーワルド。


「率直に聞くが、エンデとエブリンは、この学園に在籍しているのだな?」


「それは、もちろんです」


「では、何故、学園に通っている形跡が無いのだ?」


「・・・・・・・それは」


ルードルは、言いずらそうに下を向く。


「貴様は、この学校の責任者だろ!

 はっきりと申せ!」

 

グラウニーに叱咤され、ルードルが口を開く。

そして、聞かされた内容は、チェスターの息子、ブライアンと揉め事を起こし、

停学にされたという事実だった。


初めて知る事実に、八つ当たりのようにルードルを責める。


「停学だと!

 儂は、聞いておらぬぞ、

 それに、どういう経緯でそうなったのか、貴様は、きちんと調べたのか!?」


グラウニーの問いかけに、重い口を開いたルードル。


「申し訳御座いません。

 実は・・・・・・」


ルードルは、チェスターの圧力に屈し、2人を停学にした事を話した。


「チェスターは、退学にせよと申し立てていたので、

 これ以上は、どうしようも出来なかった。

 悪いのは、誰かわかっていたのだが・・・・・本当にすまない」


学園に、多額の献金をしていたチェスターに逆らえなかった事情は、理解できる。

だが、納得は出来ない。


2人に対して、おこなった処罰について、チェスターに文句を言ってやりたいが

既に、この世にはいない。


怒りを鎮める為に、深く深呼吸をした。

そして告げる。



「チェスターは、もうおらぬ。

 それで、これからあの2人を、どうするのだ?」


「いないのですか?」


「ああそう言っているだろ」


グラウニーの言葉を聞き、ルードルは、直ぐに返事をする。


「停学処分は、終わりに致します。

 明日からでも、登校して頂いて構いません」


「わかった。

 2人には、私から伝えておこう。

 だが、少し後になるかも知れぬがの・・・・・・」


何かを含んだような言い方は、気になったが、

それよりも、2人の停学を解くことが出来た事に安堵した。


「いつでも学びの門は、開いております。

 どうか、そうお伝えください」


胸のつっかえが取れ、深々と頭を下げるルードル。


「わかった、伝えておこう」


そう言い残し、学園長室から出て行く。




グラウニーは、学校を出ると、その足でジョエルの屋敷に向かった。





屋敷の前に、1台の馬車が止まる。

グラウニーは、馬車から降りて屋敷に向かって歩いていると、

中庭の方から声が聞こえて来る。


「なんじゃ、中庭におるのか?」


グラウニーは、中庭に向かった。


「まだだ!」


「主、もう一度行きます」


木刀と足技で、競い合う二人。

ただ、その速度が尋常ではない。


動きが止まっている時は、誰にでも見えているが、一旦、動き始めると

人の目には、見えなくなる。


ただ、伸びた雑草が荒々しく揺れる様子から、二人が戦っている事だけはわかった。


時折、『ハッ!』とか『ヤァ』とか聞こえてくるだけだが、

そんな2人の様子を、ベンチに腰を掛けて見学しているエブリン。

テーブルにカップを置き、後ろに控えていたアラーナに問う。


「もう、外を歩いてもいいと思うのだけど?」


「いいえ、まだ残党が残っているかもしれません。

 もう少しの間は、我慢して下さい」


「本当に、あいつらのせいで・・・・・」


未だに外出が出来ない事を嘆く。

だが、直ぐに態度を変え、アラーナに、再び問いかける。


「でも、あの2人に、勝てる者などいると思う?」


エブリンは、激しく揺れている草花に目を向けた。

相変わらず、二人の姿は見えない。


━━こんなの、誰が勝てるというの?・・・・・


そう思うエブリンに、アラーナは告げる。


「私の知っている限りでは、お1人ですが、おられます」


「嘘!!!」


『そんな人物が身近にいたなんて・・・・・』

そう思いながら、アラーナの顔を見る。


「誰?」


アラーナは、笑顔で応える。


「エブリン様ですよ」


「え・・・・・私?」


「はい、力では叶わなくても、お2人を止めることが出来ます」


「そうかしら・・・・・」


『確かに、私の言う事は聞いてくれるなぁ』なんて考えていると、

アラーナが、前に出て手を叩く。


「そろそろ、食事の時間です。

 止めて頂かないと、食事を抜きにしますよ!」


アラーナのその言葉に、草花の揺れが止まる。


「さぁ、体を拭いて、手を洗ってから食堂に来てください」


「「はーい!」」


アラーナは振り返り、エブリンのもとに歩みを進める。

エブリンは、言葉には出さないながらも思う。


━━2人が言う事を聞く人の中に、貴方も入っているわよ・・・・・・


そう思いながら、アラーナと共に屋敷に向かって歩き始めると

その後ろから、エンデとダバンが追いかけて来た。



1人放置されていたグラウニーも、慌ててエンデたちの後を追う。



屋敷に入ると、一同で食事を摂る。

勿論。、急に訪ねて来たグラウニーも一緒だ。


そして、食事を終えると、話を始めるグラウニー。


「お前たち、学園には、行っていないようだな」


「ええ、停学だと言われたのよ」


態度には出さないが、言葉には、怒気を含んでいる。


「そうか・・・・・」


グラウニーは、ルードルから話を聞いてきた為、驚く様子もない。


「その事なんだが、停学は、今日で終わりだ。

 学園長の了解もとっておる。

 明日から学園に通えることになった」


なんだか、今更という感じに思う反面、嬉しくもなるエブリンだが、

わざわざそれだけの為にと、グラウニーが来たとは思えなかった。

疑問を感じる。


「叔父様、話は、それだけですの?」


「確かに、その事が一番なのだが・・・・・・」


グラウニーの向いた視線の先には、エンデ。


「?」


頭に『?』を浮かべるエンデ。

グラウニーは、もう一度エブリンの方に向き直り、話す。


「ゴンドリア帝国は、知っておるな」


「ええ、前にも聞いた名前ですから」


エンデを軍に取り込む理由となった国。

エンデと離れる事が無くなったので、エブリンは、あまり気にしていない。

所謂、どうでもいい国。


だが、グラウニーや国王は違う。


「あの件を詳しく調べる為に、斥侯を放っておったのだが、連絡が取れなくなった。

 毎日、欠かさず定時連絡もあったのだが、2日前より届いておらん」


グラウニーは捕まったか、殺された可能性があると伝える。


「それで、叔父様は、私たちに見て来いとでも?」


「本当ならば、エンデ1人に頼みたいのだが・・・・・・」


空を飛び、見てくるだけなら、簡単な事だと考えたのだが、

それを許さない人がいる。


「無理!」


当然のように断固として、拒否の姿勢を示す。


「そう言うと思って馬車を用意した。

 行っては、もらえぬか?」


本来、少年に頼むような事ではない。

しかし、エンデの実力を知った後なので、そうとも限らない。


「僕は、構わないよ」


横から話に割り込むエンデ。


「それに、馬車なら、ダバンに引かせたら?」


エンデは、隣に座るダバンを見る。


「俺は嫌だね。

 戦いに参加したいし、万が一の為に、力は残しておきたいからな」


その発言に、グラウニーが頷く。


「そうだな、馬は、こちらで準備する。

 他の準備も、全てこちらでしよう。

 出発は2日後だ、頼んだぞ」


何故か、決まった事のように話すグラウニーは、

反対の意見が出る前に席を立ち、『見送りも要らぬ』と言い屋敷から出て行った。


その場に取り残される3人。


「・・・・・これ、決定なの?」


「そうみたいね、なんか、上手く乗せられた感が否めないわ」


エブリンは、溜息を吐いた。



ブックマーク登録有難う御座います。


不定期投稿ですが、宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ