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天魔の子(仮)  作者: タロさ
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王都 監視者たち2

1人残されたネフィーロ。

逃げそびれた為、エンデと向き合っていた。


「ちょっと、待て。

 いや、待ってくれ!」


ネフィーロは、後退りながら、エンデに声を掛けた。


「大丈夫。

 聞きたい事あるから、殺したりしないよ」


笑顔で、答えるエンデ。


少し『ホッ』としたような顔をみせるネフィーロ。


「でも、逃げたり、言う事聞いてくれなかったら、どうなるかわからないよ」


笑顔を崩さず、ネフィーロに伝えた。


「わ、わかった、話す。

 話すから、殺さないでくれ」


口では、そう言っているが、ネフィーロも『闇』のメンバー。

このままで、終わる筈が無い。


エンデの隙を、伺いながら、言う事を聞くふりをした。


「じゃぁ、誰の命令?」


「え!?」


「誰に頼まれて、ここに来たの?」


「・・・・・ビスド様、ビスド ドレイド男爵様だ」


「ビスド?

 チェスターじゃないんだ」


ネフィーロは、依頼主の名前が出たことに、一瞬、『ドキッ!』としたが、

顔には、出さなかった。


「チェスター侯爵が、何の関係があるんだ?

 もしかして、チェスター侯爵とも、もめているのか?」


この場を凌ぐためとはいえ、我ながら上手く嘘が付けたことに安堵するネフィーロ。


「そっかぁ、関係ないんだ・・・・・・

 じゃぁ、そのビスド ドレイドの事、教えてよ」


「え!?」


「言いたくないの?

 それとも・・・・・・死にたいの?」


周りの温度が下がった気がした。

体に伝わる冷気から、

エンデの目つきが変わっている事に気が付いたネフィーロは、慌てて否定する。


「待て、ちゃんと話すから、落ち着いてくれ」


「そう・・・・じゃぁ、ついて来て」


そう言うと、エンデは、歩き出した。

黙って後ろをついて歩くネフィーロ。


エンデの向かった先は、ジョエルの屋敷。

屋敷の門の所で、キングホースと鉢合う。


「お前も出掛けていたんだ」


『ブルル』(ああ・・・)


「それで?」


キングホースに尋ねるエンデに、後ろで不思議そうな顔をしてみているネフィーロ。


━━このガキは、馬が話すわけねえだろ・・・・・・


そう思っていたが、キングホースは、言葉を理解して

片足を上げてエンデに見せつけた。


蹄に残る、赤い液体。

紛れもなく血。


『ブルッ!』(どうだ!)


キングホースの態度から、何をしてきたのかがわかる。

『ニヤリ』と笑みを零すエンデ。


「そっかぁ、他にもいたんだ、それとも・・・・・・」


エンデの視線が、ネフィーロに向けられる。

その視線の意味が、ネフィーロにもわかった。


━━二ドルか? 

  二ルドは、殺されたんだな・・・・・・


この瞬間、より一層、気を引き締めて、

かからなければならない事を知った。


キングホースと別れた後、エンデは、屋敷の入り口の方向に顔を向ける。

すると、そこには、エヴリンとアラーナが立っていた。


「遅かったじゃない!

 どこに、行っていたの?

 それに、誰それ?」


畳み掛けるように、質問をしてくるエヴリン。


「待ってよ、ちゃんと話すから!」


「そう、ならいいわ」


エヴリンの横を歩くアラーナ。

その後ろに、エンデ、ネフィーロと続く。


屋敷の中を歩き、地下の牢獄に辿り着くと、併設している拷問室に入る。

中に入った途端、ネフィーロの顔から、血の気が引く。


「おい・・・・・」


ネフィーロの目に飛び込んで来たのは、色々な拷問具と、乾いて、黒ずんだ血の跡。


ネフィーロを、奥まで誘導したところで、

入り口で待機していたアラーナが、拷問室のカギを閉めた。


『カチャ』


その音に、思わず振り向くネフィーロ。


「これは、どういうことだ?

 こんな部屋に連れてこなくても、俺は、何でも話すぜ」


「それは有難いことだけど、貴方の言葉が嘘かもしれないでしょ

 だから、体にも聞いてみるのよ」


逃げ道の無いネフィーロが、その場に立ち竦む。


「始めるわよ」


エヴリンの言葉で、我に返ったネフィーロは、エンデに助けを求める。


「俺は、何でも話す。

 そう約束したじゃないか!

 だから、頼む。

 止めてくれ!」


そう懇願するネフィーロを、椅子に座らせるエンデ。


「な、な、頼むよ。

 おれは、嘘なんて吐かないから」


往生際が悪く、必死になって訴えかける。

しかし、エンデは気にも留めず、着々と準備を進め、

ネフィーロを椅子に縛りつけた。


未だに叫んでいるネフィーロの事を放置し、準備が整った事をエヴリンに告げる。


「お待たせ、出来たよ」


「なら、私の番ね」


少し下がったエンデに代わり、ネフィーロの前に立つエヴリン。


「それじゃ、始めるわよ」


エヴリンは、質問を始めた。


「まず、名前を聞いてもいいかしら」


「ネフィーロだ」


「ネフィーロね、それで、誰の命令で、この屋敷を見張っていたの?」


「ビスド男爵、ビスド ドレイド男爵だ」


エヴリンは、少し考える素振りを見せた。


「そう・・・・・ビスド男爵ね・・・・・

 なら、もう1つ。

 何故、ビスド男爵が、私達を狙うの?」


先程、エンデにも、『ビスド男爵が犯人だと』伝えていたので、

呼吸をするように、嘘の証言をする。


「逆恨みだよ。

 ビスド男爵の息子、ワグナ ドレイドは、ロナウ オーディンの仲間だ。

 だから、あんた達に、仕返しがしたかったんじゃねえか。

 俺は、それ以上の事は知らねぇ」


『闇』のリーダー、ジェイクからある程度の情報を得ていたことで、

ネフィーロは、上手く騙せたと思った。


だが・・・・・・


「色々、調べているみたいね。

 なら聞くけど、ワグナ ドレイドは、自宅では、冷遇されていたみたいだけど

 その事は、知っているわよね」


「は?」


「だってそうでしょ、息子が盗賊に襲われて、行方不明になっても

 陛下に、捜索を頼まないし、まして、冒険者ギルドにも、依頼を出していないわ」


そう言い終えると、『当然知っていたわよね』とネフィーロに問いかけた。

エヴリンの嘘である。


正確には、捜索隊は出ている。

だが、その辺りの情報を、持っていなかったネフィーロは、焦り始める。


━━どうする?

  適当に相槌をうつしかないのか?・・・・・・


そんな事を、考えているだ間にも、時間は過ぎて行く。


エヴリンは、言葉の詰まったネフィーロの様子から、

先程までの話に、怪しさを感じた。


「私達は、少し席を外すわ」


エヴリンは、そう言うと、エンデを連れて拷問室から出て行った。

その結果、部屋に残ったのは、アラーナとネフィーロの2人。


アラーナは、壁に掛けてあった棍棒を手に取った。


「これからは、私が、お話を聞かせて頂きます」


アラーナのお話。

それは、体に聞くという事。

アラーナは、ロープで括り付けられ、

逃げ場のないネフィーロの『スネ』を、こん棒で殴りつける。


『ぐわっ!』


思わず声が漏れた。


「ま、待て・・・・・頼むから話を・・・・・・」


そこまで言ったところで、再びアラーナが、ネフィーロの『スネ』を殴りつける。


『ぐわっ!』


「お、おい、話を・・・・・・」


何度も話しかけるが、アラーナは、聞くそぶりも見せない。


『ゴンッ』という鈍い音と、男の悲鳴だけが木霊する。


何度も殴りつけられた為、

皮が裂け、骨が見えているネフィーロの『スネ』は、既に変色している。

だが、アラーナに、止めるつもりはない。


「お嬢様に嘘を吐いたのですから、それ相応の罰を受けて頂かなければなりません。

 話は、それからです」


再び、殴る構えを見せるアラーナ。

あまりの激痛と、いつ終わるかわからない恐怖から、心が折れ始めた。




ブックマーク登録、有難う御座います。

不定期投稿ですが、宜しくお願い致します。

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