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天魔の子(仮)  作者: タロさ
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王都 再会

何も知らされていない兵士は、街で暴れたならず者の集団だと捉えようと思ったが、

余りにも綺麗な身なりをしていたので、不思議に思った。


それでも、上司の命令には、背けず、素直に地下牢に放り込む。


「ここで、大人しくしていてくれ」


兵士は、そう言って立ち去ろうとする。

しかし、エヴリンが声を掛け、兵士を呼び止めた。


「貴方、悪いんだけど【グラウニー】を呼んでもらえるかしら?」


「グラウニー?」


兵士の中に、そのような名前の者はいない。


「申し訳ないが、ここの兵士に、そのような名前の者はいない」


その言葉を聞き、エヴリンは『は?』っという顔をして、言葉を返す。


「グラウニーよ、宰相のグラウニー マルコールよ!」


兵士は、名を聞き、思わず息を飲む。


「あの・・・・どういうご関係で?」


「私の叔父よ!」


「えっ!?」


「聞こえなかったの?

 叔父。

 お・じ・さ・ま・よ!」


「グラウニー様が、叔父・・・・・・・!!!

 も、申し訳御座いませんでした!

 只今、呼んで参ります!」


兵士は、慌てて王城に、駆けて行った。




王城に辿り着いた兵士の【ホフマン】。

息を切らしながら、警備隊の詰所に、顔を出す。


「誰か、水、水をくれ・・・・・」


息絶え絶えのホフマンの様子から、何かが起こったと理解する兵士達。


「どうしたのだ?」


持って来てもらった水を、一気に飲み干す。

『フー』と一息つくと、疑問を投げかけた兵士の顔を見る。


「不味い事になったぞ!」


それだけ告げて、詰所を飛び出した。

ホフマンの向かう先は、宰相の仕事場所である執務室。


扉を叩き、『入れ』の言葉を聞き、執務室に入る。

執務室に入っても、相変わらず顔色の悪いホフマン。


「何かあったのか?」


落ち着いた声で、問いかけるグラウニー。


「はっ、その・・・・・」


言い難そうに、モゴモゴとしている。


「はっきりと答えよ」


「申し訳御座いません!

 先程、捕えられた者が、グラウニー様の知人のようでして・・・・・」


「なっ、なんだと!

 その者の名は、何というのだ?」


この時に、気が付く。


「聞いていませんでした・・・・・ただ、グラウニー様の事を叔父だと・・・・・」


その言葉に、頭の痛くなるグラウニー。


「・・・・・もうよい、さっさとその場所に、案内しろ」


兵士に続き、執務室を出るグラウニー。

2人の向かう先は、勿論、地下に牢獄。


「何故、ここに閉じ込める前に、私に伝えなかったのだ?」


「それは・・・・・」


「まぁ、会って見なくては、本当に私の姪かも、わからぬがな」


兵士は、『間違いであってほしい・・・・・』

心の中で、そう思う反面、聞きたくない言葉を聞いた事に気付く。


グラウニーには、女性と伝えていない。

しかし、グラウニーは、間違いなく『姪』と言った。



淡い期待など抱ける筈も無い。

1人頭の中で、悶絶するホフマン。


だが、無情にも地下の牢獄に辿り着く。


「この先です」


案内された牢獄。

ホフマンにとっては、地獄。


鉄格子の向こうに立つグラウニーに、エヴリンが気が付き、声を掛けた。


「叔父様!」


「えっ!、エヴリンか!!!」


鉄格子を挟み、久しぶりに再会する叔父と姪。


「我が、姪に、なんてことを・・・・・」


グラウニーの目が見開き、兵士を怒鳴る。


「早く、ここから出さんか!

 私の姪に・・・・・・一体、どういうつもりだ!」


「も、申し訳御座いません!」


慌てて鍵を開け、エヴリン達を開放した。


「おお、大丈夫か?

 怪我は無いか?」


父の兄弟であるグラウニー マルコール。

結婚した時に、マルコール家に養子に入った為、ヴァイスの名では、無くなっていた。


「叔父様、こっちが、エンデ ヴァイス。

 私の弟よ」


地下の廊下で、エンデを紹介するエヴリン。


ホフマンは、倒れそうになる。


━━最悪だ・・・・・


ホフマンとは、逆に、グラウニーの頬は緩む。


「そうか、お前がエンデか?

 私は、マリオンの兄だ。

 お披露目パーティーには。出席できなくて、すまなかった」


「いえ、お気になさらないで下さい。

 これから、どうぞ、宜しくお願い致します」


礼儀正しく挨拶をするエンデ。

メイドのエリアルも、ほっと胸を撫でおろす。


━━良かった、少しは、勉強してきたことも役にたったみたいだわ・・・・・・



牢獄から解放されたエヴリン達は、グラウニーの案内で、応接室に通された。


「まずは、この様になった経緯(いきさつ)を、話してもらえぬか?」


「はい・・・・・」


エヴリンは、市場での出来事を詳しく語る。

すると、話を聞いているグラウニーの表情が、段々と厳しさを増す。


「やはりか・・・・・」


「叔父様、どうかなさいましたの?」


「ああ、実はな・・・・・」


グラウニーの話はこうだ。


少し前から、王都では、貴族の横暴な噂を聞くようになっていた。

被害者がいるのだから、証言を取ろうとしたが、

報復を恐れて、誰も口を割らない。

その為、取り締まりも兼ねて、警備兵の数も増やした。


しかし、何の効果も得る事が出来なかった。

それどころか、今まで以上に、貴族に対する噂を、聞くようになると同時に

その中には、兵士達の噂も含まれるようになったのだ。


少し、悩んだ後、グラウニーが口を開く。


「それで、お前達にこんな仕打ちをしたロナウ オーディンの事なのだが

 実は、前々から名前は上がっていたのだが、奴を恐れて誰も証言をしないのだ」


そう話した後、付け加えた。


「だが、今回は、お前達がおる。

 どうだ、私に、力を貸してくれぬか?」


グラウニーの発言に、満面の笑みをみせるエヴリン。


「勿論よ、叔父様の頼みというのもあるけど、それ以上に、あんな奴、許せないわ」


そう言い放つと、エヴリンは、隣に座るエンデの手を握る。


「わかっているわよね」


「うん、姉上は、僕が守るよ」


その言葉を聞き、エンデに座ったまま抱き着くエヴリン。


「本当に出来た弟。

 大好きよ!」


「やれやれ・・・・・お前達は、本当に仲が良いのだな」


そう呟くグラウニー。


「当然よ、姉弟ですもの。

 この子は、ずっと私の物。

 誰にも、あげないわ!」


その発言に、メイドのアラーナとエリアルまでもが、溜息を吐く。



評価、有難う御座います。


不定期投稿ですが、今後も、宜しくお願い致します。

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