表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天魔の子(仮)  作者: タロさ
229/236

サラーバ再び7

シルダを置いて、侵攻してきた兵士たちの前に、立ち塞がる2つの影。


1人は、ゴスロリ服を着た女性。

そしてもう1人は、ボンテージ姿の女性。


「おい、なんだよあれは?」


兵士たちの足が止まる。


「2人か・・・・・

 それなら、捕らえて、奴隷にしようぜ」


誰かが呟いた言葉に従い、ボンテージ姿の女性【クアトラ】に

群がるように襲い掛かろうとする兵士たち。


それを見て眉を顰めるゴスロリ服の女性【アルメディア】。


「どうして、そっちに行くのよ・・・・・」


「ふふふ・・・・やっぱり、私の方が魅力的みたいね」


勝ち誇ったように告げるクアトラに

視線を合わせず、否定の言葉を投げかけるアルメディア。


「違うわ、あいつらに見る目が無いだけよ。

 それか、貴方の方が、私より弱く見えたのよ」


「私の方が弱い?

 どうして、そうなるのよ!」


「当然でしょ。

 高貴なオーラを放つこの私に、畏怖の念を抱いたのだから仕方ないわ」


「どこに『畏怖の念』を抱く要素があるのよ・・・・・

 どこからどう見ても、ただの『ロリババア』じゃない」


━━━!!!・・・・


「あ、貴方、言ってはならないことを口にしたわね・・・・・」


「ふんっ!

 別にいいじゃない。

 300歳になっても、そんな恰好をしているのだから

 『ロリババア』って言われても仕方がないでしょ」


「あなた、本気で私を怒らせたいわけ?」


「フフフ・・・それは、どうかしら?」


睨みあうアルメディアとクアトラ。


そんな険悪な雰囲気の2人の前に、もう1人の悪魔が姿を見せる。


彼の名は、【コーラル】。


立場的に、2人の上司に当たる存在。

コーラルは、間に割って入った。


「お二人さん、喧嘩なら後にして下さい。

 敵が目の前まで来ていますよ、ほら」


指を差した方向には、目の前まで迫っている兵士たちの姿。


「さっさと片付けてしまいますよ」


「ええ・・・・」


「仕方ないわね」


3人は、それぞれの得意な魔法や技で、次々に兵士たちを屠り、

瞬く間に、全滅へと導いた。


「ふんっ!

 面白くも無かったわ」


「人族に、それを求めるぅ?」


「アハハ・・・・そろそろ、戻りましょう」


コーラルは2人を引き連れ、城へと引き上げた。




残る2組の内の1組、マリウルは、メイド3人と共に街を歩いている。


普段は、メイド姿のエルドラ、ウォーネ、オクトネも

それぞれに違う格好をしていた。


本来なら、戦闘に適した服装の筈なのだが、

何故か3人とも、化粧をし、ドレスで着飾っている。


「・・・・・君たち、そのドレス。

 汚れない?」


「ご心配下さるなんて、マリウル様は、本当にお優しいですね・・・・フフフ・・・・」


エルドラは、笑顔でマリウルの右腕に抱き着く。


「ちょっと!

 貴方だけ、ずるいわよ!」


引き剝がそうとするウォーネ。


隙を狙い、空いていた左腕に抱き着くオクトネ。


「な!

 あなたまで!!!」


取り残されたウォーネは、恨めしそうな顔で2人を睨む。


「これは協定違反よ!

 それ相応の対価を!」


「仕方ないわね、わかったわよ。

 後で交代するわ」


不満だが、仕方なく了承をしたエルドラ。


その時、マリウルは、会話に出てきた怪しい言葉に疑問を抱く。



「あの、『協定違反』って何?」


「何でも、ありませんわ」


「ええ、なんでも・・・・・フフフ・・・」


「些末なことです。 

 お気になさらず」


気にならない筈がない。


口を紡いだ3人に、もう一度、問いかけようとした時、三又の槍が飛んできた。


驚きはしたが

あっさりと回避した4人。


槍は、先程までいた場所に突き刺さっている。


「現れたか・・・・・」


緊張が走るマリウル。


4人の前に立ちはだかったのは、男性天使のドットム。


「貴様は、ここが戦場と知って、その態度なのか!」


思わず聞き返すマリウル。


「え?」


『ぐギギギ・・・・・』


こぶしを握り締めるドットム。


「もう一度、問う。

 貴様は、ここが戦場と知って尚、そのような振舞なのか!」


剣を抜き、身構えているマリウルには、何のことか見当がつかない。


「この私が、どうしたというのだ!?」


「無自覚か!?」


苛立ち、思わず突っ込みを入れたドットムに、声をかける者がいた。


エルドラだ。



「貴方、天使のくせに、空気が読めないのですか?」


「は?」


「折角、デートを楽しんでおりましたのに・・・・・愚鈍な奴・・・・・」


「ぐぬぬぬ・・・・・ふざけおって・・・・」


ドットムが手を伸ばすと、

そこに浮かび上がる『嫉妬』の剣。


「貴様ら、この私を侮辱し、本気で怒らせたこと

 後悔しながら、消え失せろ」


剣を垂直に構え、召喚の呪文を唱える。


『我の呼び掛けに応じ、姿を現せ ドラゴンフライ!』


呪文を唱え終えると、『ブンブン』と羽の羽ばたくような音が響く。


「これで貴様らも終わりだぁ!」



上空に姿を見せたドラゴンフライ。


しかも、1匹だけではない。


数十匹のドラゴンフライが、マリウルたちに向かって来る。


「くっ・・・・・」


空を飛ぶドラゴンフライ相手に、手立てがない。

マリウルは、そう思った。


しかし・・・・・


「あんな羽虫如き、何匹いようと問題ありません」


オクトネは言い切った。


そして、手には、ハエ叩きを持っていた。


「流石に、それでは・・・・・」


「いえ、これで十分です」


そう言い終えると、駆け出した。


裾の長いドレスを着ているとは思えないほど、素早く動き、

タイミングを見計らって、空へと飛ぶ。


オクトネを敵と認識したドラゴンフライ。

尻尾の先に生えた毒針で、オクトネを狙う。


だが、その毒針が届くことはなかった。


魔力を込めたハエ叩きで、ドラゴンフライの頭部を一撃で破壊したのだ。


「え・・・・・」


唖然とするマリウル。


襲い掛かるたびに、頭部を粉砕されてゆくドラゴンフライ。


オクトネが持っているのは、槍でも剣でもない。

ハエ叩きだ。


その有り得ない光景に、『なっ・・・・・』と小さく吐いたドットム。


呆然と見上げていた為、隙だらけになっている。


そんなチャンスを、ウォーネは見逃さなかった。

足音を立てず、背後に回り込むとワイヤーのような物を首に巻き付けた。


『うぐっ!』


息が出来ず、苦しそうな声を上げるドットムに

ウォーネは、小声で話しかける。


「天使のくせに、人の恋路の邪魔をするなんて・・・・下衆の極みです」


言い終えると、ワイヤーに力を込めて、ドットムの首を落とした。


ウォーネと目が合うマリウル。


思わず感嘆の声が漏れそうになる。

それを見越してなのか、笑顔でカーテシーを行うウォーネ。


戦場においても、凛とした佇まいに、

見惚れてしまいそうになるマリウルに、エルドラが話しかける。


「下級の天使なんて、こんなものです。

 それよりも、マリウル様、まだ終わっておりませんよ」


確かにそうだ。


まだ、ドットムが連れてきた兵士たちが残っている。


「そうであった。

 では、参ろう」


「はい、お供致します」


兵士の軍に向かって走り出すマリウル。

その横を並走するエルドラ。


2人が、兵士の群れに突っ込むと同時に

手の空いたオクトネとウォーネも参加する。


縦横無尽に駆け回る4人。

あちらこちらで、叫び声と血飛沫が上がる。


ドットムの死に動揺した兵士たちに成す術はない。


瞬く間に殲滅され、戦いは終わった。


ブックマーク登録、ありがとうございます。


不定期投稿ですが、宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ