新たな勇者③ 勇者対決
対峙するスラートとルドミラ。
ルドミラ側は4人。
魔法剣士であるルドミラを筆頭に
剣士 【ワーキー】。
盾役の【モンテスト】。
最後に、魔法使いの【ホットマン】だ。
対するスラート側だが、9人の配下を連れて行動しているのだが、
今、この場にいるのはスラートを入れて3人。
短剣使いの【ベント】と剣士の【ムシク】。
人数的に不利な状況だが、スラートが怯むことは無い。
先手を取り、ルドミラに攻撃を仕掛ける。
間合いを詰め、剣を振り下ろす。
振り下ろされた剣に、合わせるルドミラ。
剣と剣が、ぶつかり合う音が響く。
この一撃が、開始の合図となり、他の者たちも戦いを始めた。
ホットマンが補助魔法で、仲間たちの防御力を上げる。
ルドミラと仲間たちが、緑の淡い光に包まれた。
「魔法使いは、厄介だな・・・・・」
スラートは、ホットマンに狙いを変更しようとするが、
ルドミラが、それを許さない。
「逃がすか!
貴様の相手は、この私だ!」
執拗に、攻撃を仕掛けてくるルドミラ。
攻撃を躱し、間合いを開ける。
━━━寄せ付けてもくれねぇか・・・・・
だったら・・・・・
スラートは、懐から笛のような物を取り出し、鳴らす。
だが、音は聞こえなかった。
「何の真似だ!?」
「ちょっとしたおまじないだよ」
『へへへ・・・・』と笑って誤魔化すと同時に、
再び間合いを詰め、攻撃を仕掛けるスラート。
ルドミラに考える暇を与えない。
スラートが鳴らしたのは、『犬笛』のような物。
人には聞こえないが、獣人たちの耳には届く。
スラートの仲間は、人間だけではない。
獣人もいるのだ。
『人族至上主義』の者たちに追いやられ、スラムで暮らす獣人は多い。
そんな者たちをスラートは、仲間に引き入れている。
だからこそ、この場で、この笛は役に立つ。
笛から発せられる音の数や長さには、それぞれに意味がある。
今回、スラートが発した音の数は3つ。
その意味は『戦闘になった』。
『分散して、襲撃』。
『息の根を止めろ』。
という事だ。
スラートの指示は、仲間の獣人から、それぞれに伝わった。
彼らは、密かに動き出す。
6人は外に出て、屋根に上った。
音を立てず、静かにルドミラたちの戦っている部屋に忍び寄ると、
その時を待つ。
残った1人はスラートの部屋へと向かう。
階段を駆け上がると、足音を立て、誰にでも分かるように、部屋に飛び込む。
「頭!
援軍に来ましたぜ!」
『援軍が来た』と聞いてもルドミラに焦りはない。
足音から、1人だと気が付いていたのだ。
「たった1人増えたところで、何も変わらん。
死人が1人増えるだけだ」
スラートと剣を交えながら、呟いたルドミラだったが、
その考えは、一瞬で砕かれた。
援軍に駆け付けた男が、ホットマンに狙いを定めた為、
盾役のモンテストが前に出る。
距離を取る為、窓際に体を寄せたホットマン。
密かに待機していたスラートの仲間たちは、このチャンスを見逃さない。
窓の外から、ホットマンの心臓に剣を突き立てた。
声にならない声を上げ、血を吐き出すホットマン。
思わず、振り返るモンテスト。
「ホットマン!!!」
その声に、ルドミラたちも振り向き、動きを止めた。
「終わりだ・・・・・」
『ボソッ』と呟き、笑みを浮かべるスラート。
スラートの仲間が、次々に窓から飛び込み、攻撃を仕掛ける。
ルドミラは攻撃を防いだが、仲間たちはそうもいかなかった。
モンテストとワーキーは、飛び込んできた盗賊の攻撃は防いだが、
その隙に、元々戦っていた者の一撃を受ける。
すると、続け様に、二撃、三撃も受けることとなり、床に倒れ込んだ。
「モンテスト!
ワーキー!」
思わず叫ぶルドミラ。
だが・・・・・
隙を見せれば、スラートが襲い掛かる。
「悲しんでいる暇など無いぜ」
「貴様ぁぁぁぁぁ!!!」
怒りを露にしながらも、スラートの剣を受けた。
睨みつけるルドミラに、話しかけるスラート。
「俺たちは盗賊だ。
正々堂々とか、1対1ってえのが、大嫌いなんだわ」
そう言うと、剣に力を込めた。
先程までと違い、『グググッ』と押し込まれる。
力を緩めれば、そのまま斬り倒される為、ルドミラは動く事が出来なくなった。
スラートは、『ニヤッ』と笑う。
「じゃあな・・・・」
その言葉を合図に、身動きの取れないルドミラに、四方から剣が突き刺さった。
『ゴフッ!』と血を吐き、剣が床に落ちる。
膝から崩れ落ちたルドミラに、再びスラートが話しかけた。
「そうだ、1つ言い忘れていたが、俺も勇者なんだわ・・・・・」
驚いた顔をしたまま、ルドミラの命は絶えた。
少し短いですが、宜しくお願い致します。




