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天魔の子(仮)  作者: タロさ
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アジト

山道から、獣道のような細い道に入る。


「ここからは、歩いて進むことになります」


盗賊の1人が、エヴリンに伝えた。


「わかったわ。

 ジョエルさん達は、どうする?」


「このような機会は、滅多にありませんから、ご一緒させて頂きます」


幌の中で、隠れて怯えていた事が、嘘と思える程、

目をキラキラさせていた。


馬車を置き、しばらく歩くと、崖の麓に出た。


「行き止まり?」


そう思ったが、盗賊達は、崖に沿って歩く。

すると、人ひとりが通れそうな亀裂があり、その合間に入って行った。


エンデ達も後に続く。


亀裂を抜けると、クレーターのような場所にでた。


「あっ、お帰りなさい」


戦いに参加しなかった盗賊の仲間が出迎える。

しかし、捕虜となっていいる男達は、無言のまま、下を向く。


「兄貴達、どうしたんですか?」


疑問に思いながらも、率先して話しかけてくる男【バッシュ】。

いつもなら、仲間達と一緒に襲撃に参加しているが

今回は、怪我をしていた為、他の者達と一緒に、留守を任されていた。


「疲れてんすか?

 なら、そいつらは、あっしが、いつもの所に連れて行きますよ」


バッシュの他にも、留守をしていた男達が、ゾロゾロと集まり、

獲物だと思っているエンデ達を、ニヤつきながら見ている。


「おい、若い女が、3人もいるぜ・・・・・」


「ああ、中々の上玉だ」


「今日は、当たりだったな、

 さっきの女達といい、今夜は楽しめそうだぜ」


何も知らない盗賊達は、満面の笑みを浮かべている。

だが、捕虜となっている盗賊達の顔は、そんな者達の笑顔とうらはらに、

顔の色を失ってゆく。


━━こいつら、絶対殺される・・・・・・


憔悴しきった表情。

帰って来た者達の顔に、笑顔は無い。


「兄貴達、一体、どうしたんですか?」


再び、問いかけるバッシュ。


「いいよ、話して・・・・」


矢面に立たされた【ブルガ】は、エンデの許可を得て、やっと話すことが出来た。

ここに来る前、『勝手に話をするな』と、エンデに命令されていたのだ。


恐怖で縛られている男達には、逆らう気力など残っていない。

その為、無言を貫いていたのだ。


しかし、エンデから、許可をもらったブルガ。

これ以上の犠牲を払わないようにするために、口を開く。


「お、おめえら、この方に、逆らうな・・・・・

 死にたくなければ、そうしろ・・・・・」


ブルガの言葉に、バッシュ達の動きが止まった。


「あ、兄貴、それは、何の冗談ですか?・・・・・」


「冗談じゃねぇ、いいから俺のいう事を聞くんだ!」


必死に、説得を試みるブルガ。

しかし、その姿を、あざ笑うかのような声が聞こえてくる。


「なんだ、ブルガ。

 いつものお前らしくねぇじゃねぇか?」


大剣を肩に担ぎ、女を共なって出てきた若い男。

セルグードの息子、【セルガル】だ。


集まっていた盗賊達が割れ、1本の道が出来上がる。

その道を悠々と歩いて、ブルガの正面に立つ。


「なぁ、ブルガ、

 お前、何におびえているんだ?

 この俺や、親父より、怖いものがあるのか」


ブルガを睨みつけるセルゲル。

だが、ブルガの態度は変わらない。


「若、黙って従ってください」


頭を下げる。


しかし、良い返事は、戻って来なかった。


ここまで、待っていたエンデ。


「残念だね、時間切れ。

 後は、僕がやるよ」


歩みを進め、セルゲルの前に立つエンデ。


「人質と、奪った物を、返してください」


自身の正面に立つエンデを、見下ろし告げる。


「お前、あいつ等に、なにしたの?

 きちんと説明してくれないと・・・・・・・」


セルゲルは、剣を抜き、刃先をエンデに向けた。


「殺すよ。

 俺は、ガキでも女でも、容赦はしねぇ」


瞬きすらしないエンデに、セルゲルは、尚も続ける。


「おめぇみたいなガキでも、いい金になるんだ。

 痛い目に、遭いたくなかったら、大人しくしろ」


そう告げた後、仲間達に『連れて行け』と命令をした。

男達が、エンデの後ろの方で固まっているエヴリン達に、近づく。


しかし・・・・・


エンデの姿が、セルゲルの前から、突如消え、

エヴリン達に、近づこうとしていた男達の前に現れ、一番近くにいた男を殴りつけた。


殴られた男は吹き飛び、家屋に当たって止まる。


「おい・・・・・」


あまりの威力に、言葉を失う盗賊達。


そこに、いつものように、気軽にエンデに命令をするエヴリン。


「エンデ、いつまで遊んでいるの!

 早くしないと、ここで夜を明かすことに、なるわよ

 それに、人質も、しんぱいだわ・・・・・」


腕を胸の下で組み、『早くしろ!』

そう言わんばかりに、エンデを睨みつける。


その姿を見て、頷くエンデ。


「わかった、直ぐに片付けるよ」


エンデは、そう言い残し、再び消える。


そして、エヴリン達の身近にまで、迫っていた盗賊達を瞬殺した。


一瞬の出来事。


誰の目も、その動きを捉えることが、出来ない。


「今、何をした?・・・・・」


未だに、呆気にとられ、呆然とするセルゲルの前に、姿を現したエンデ。


「あまり、おそくなると、怒られるから・・・・・」


そう言うと、左手で、セルゲルの胸を貫いた。


「ぐふっ!」


血を吐き出すセルグル。



胸を貫ぬいたエンデの左手には、何かが握られている。

それは、心臓。


まだ、時を刻むように、『ドクン、ドクン』と脈を打つ。

血を吐き、地に横たわるセルゲイの前で、エンデは心臓を握り潰す。


この光景に、捕虜となっている盗賊達までもが、言葉を失った。


その間に、エンデの姿は、既にセルゲルの前から消えており

別の盗賊の前に、あらわれていた。


「ひぃぃぃぃぃ!」


慌てて武器を捨て、後退る。

後を追い、容赦なく、殴り倒すエンデ。


馬乗りになられた男は、動かなくまで殴られた。


動かなくなった盗賊の男を放置し、立ち上がるエンデ。

飛び散った血が、エンデの顔にも付いていた。


返り血を拭おうともしないエンデ。


盗賊達の目には、薄っすらとほほ笑んだように見えた。


一斉に武器を捨て、走り出す。


「あ、悪魔だぁ!」


四方に分かれて走り出すが、ここは、周りから隔離されたような場所。

逃げ道は、1つしかない。


エンデは、追うことをせず、翼を出して、空に上がった。



評価、ブックマーク登録、有難う御座います。


不定期投稿ですが、宜しくお願い致します。

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