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天魔の子(仮)  作者: タロさ
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アルマンド教国 過去からの生還

過去、セグスロードと時期教皇の座を争った事のあるサハールだが、

何故こうなったか・・・・・




当時、教皇の座は、誠実で誰に対しても平等なサハールで間違いないと思われていた。

しかし、セグスロードが裏の手を使う。


「ネーダよ、わかっているな」


「はい、お任せを・・・・・」


当時からセグスロールの裏工作の担い手だったネーダは、

『ニヤリ』と笑い、その場を去る。


その後は、お手のもの。


サハールの側近を務める者の中には、

誠実さを守っているがために、貧しい生活を送っている者もいる。


自分だけなら、我慢も出来ただろう。


しかし、家族がいれば、そうもいかない。


本人と一緒に、教会に仕える者でもなければ、泣き喚く子を目の前にすれば心も荒む。

そこに、目をつけるネーダ。


ネーダは、そのような者たちに詰め寄り、『情報を買い取る』ことを提案する。


初めこそ、『そんなこと出来ない』、『サハール様を裏切るなんて、無理だ』と

抵抗する素振りを見せていたが、最後には、ネーダの思惑通りになった。


金でサハールの行動や食事、起床時間までのすべての情報を売ったのだ。


だが、それだけでは終わらない。

一度、手を染めてしまえば、元には戻れない。

その為、ネーダの手ゴマとして働くしかない。


初めこそ情報だけだったが、要求はエスカレートする。


「『竜の墓場』を横切った先に、村があったな。

 『村が原因不明の病に侵され、人々が苦しんでいる。

 なので、お力で何とかしてほしい』とサハールに告げよ」


(おび)き出せと仰るのですか?」


「そうだ」

 

この命令で、サハールを売った側近たちは理解した。


━━━サハール様を亡き者にしようとしている・・・・・・


『断りたい』


だが、ここで断れば、自身だけでなく、家族までもがこの国で暮らせなくなる。

それどころか、命までもが危うい。


その事がわかっているだけに、首を横に振ることが出来なかった。





翌日、この村の話を聞いたサハールは、直ぐに行動に移る。

手の空いていた者たちに声を掛け、

出来る限りの食料などを積み込んで王都を旅立ったのだ。


当然、その一行の中には、金でサハールを売った者たちの姿は無い。


殺される事がわかっているのだ。

誰も同行などしたくはない。


中々出世できない者に『手柄を立てて来い』と任務を譲り、

代わりに仕事を引き受けて、王都に残った。


そして予定通り、サハールはネーダの罠に嵌る。


同行した者たちは、ネーダの用意した男たちに殺され、

サハールも深い傷を負った。


『逃げ切れない・・・・・』


そう悟ったサハールは、最後の賭けに出る。


サハールが目指したのは、『竜の墓場』。


この頃には、『竜の墓場』のアンデットの話は有名だった。


━━━絶対に許さん・・・・・


サハールは、アンデットになってでも、この世に残る事を決意した。


『セグスロードに仕返しをする』


その思いだけで『竜の墓場』を目指した。


流石に、ネーダの雇った男たちも『竜の墓場』までは追って来ない。


だが、今度は、サハールの流した血の匂いを嗅ぎつけ、魔獣に追われた。

一難去ってまた一難。


意識が朦朧とする中、やっとの思いで辿り着いた断崖。

その谷底に見えるのは、アンデットの群れ。


「間に合った様じゃな・・・・・」


安堵するサハールに、魔獣たちが襲い掛かる。


「ホッホッホッ・・・・・

 主らも道連れじゃ・・・・・」


魔獣に噛みつかれたまま、崖から飛び降りる。


落下する中、サハールは叫んだ。


「セグスロード!

 貴様は必ず、必ず、この手で・・・・・儂は、絶対に忘れぬぞ!!!」


怨嗟の叫びを最後に、サハールは、アンデットドラゴンに飲み込まれた。


そして、血肉を喰われ、骨だけが吐き出された。


数年後・・・・・

サハールは蘇る。


だが、思考を持たぬアンデット。


ただ、その場を徘徊するだけ。


雨が降ろうが、雪が降ろうが、ただそこを漂う。




そんな毎日だったが、奇跡が起きる。

アンデットオオトカゲに乗ったエンデたちが現れたのだ。


そして戦いの末、エンデがアンデットドラゴンを手懐けた。


アンデットドラゴンを手懐けたエンデは、魔法を使い修復する。


その副作用なのか、アンデットドラゴンと共に、

サハールにも記憶が蘇る。


サハールは、賭けに勝ったのだ。


言葉が話せるようになると、サハールは、自らの意思で、エンデの前に進み出た。


「儂は、サハール メンデス。

 この国の教皇になっているであろう男、セグスロード ゴールに恨みを抱く者で御座います。

 儂は、この手で恨みを果たしたい」


 サハールは、拳を強く握り締めた後、頭を下げた。

 

「この願い、叶える事が出来た暁には、貴方様に従います。

 どうか、ご同行をお許しいただけませんでしょうか?」


「うん、いいよ」


あっさりと同行を許したエンデは、アンデットたちを回収し、

仲間と共に、アンデットドラゴンの背に乗った。


「出発しよう!」


サハールも、アンデットドラゴンの背に乗り、

エンデたちと共にアルマンド教国の王都を目指した。


そして、王都への突入を阻む、聖騎士たちをアンデットドラゴンを共に屠り、

現在に至る。



ファールとバンダムに向き直るサハール。


「ホッホッホッ・・・・・

 主らも、元気そうじゃの・・・・・」


サハールに話しかけられると、ファールとバンダムは尋常ではない程の汗を流した。


それもその筈。


サハールを売った張本人なのだから・・・・・


不定期投稿ですが、宜しくお願い致します。

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