会談に向けて
聖騎士の案内に従い、王都を歩くエンデたち。
先頭にエンデととエブリン。
その後ろにシャーロット。
そして、3人を囲むように護衛役としてガリウスとマリウルとダバンがいる。
時間を、少し前まで遡る・・・・・
王都の入り口で待機していたエンデたちは、聖騎士からの返事を待っていた。
「中々戻って来ないね」
「ああ・・・・・だが、もう暫く待とう」
マリウルに促され、その場で待機を続けるエンデたち。
正面には、王都への侵入を阻むように、数百名の聖騎士たちが身構えているが
後ろの壁は、エンデたちの攻撃により、ボロボロに破壊されていた。
「あのまま突撃しても、良かったのに・・・・・」
エンデの言葉に、ダバンだけが頷く。
しかし、他の者たちは首を横に振る。
「駄目よ。
そんなことをすると、関係のない人々も苦しむことになるのよ」
エブリンも上層部の粛清には、賛成している。
だが、出来るだけ無関係な人々を巻き込みたくない。
それは、シャーロットも同じ。
2人の意見は、一致している。
こうなると、エンデに勝ち目はない。
「わかったよ・・・・・」
エンデとダバンは、大人しく、エブリンたちの意見に従う事にした。
暫くして、本殿に行っていた聖騎士が戻って来た。
聖騎士は、仲間たちの間をすり抜け、エンデの前に立つと
手に持っていた書面を読み上げる。
「教皇様の御言葉を告げる。
『面会の件は承った。
これより、準備に入る。
準備が整い次第、改めて、こちらから使者を送る。
それまでの間、待機して待て』
以上だ」
教皇からの手紙に、『イラッ!』とするエンデ。
「こっちが譲歩してんのに・・・・・
ほんとに、こんな奴ら待たないといけないの?」
エンデは振り返り、エブリンに尋ねた。
「確かに、腹立たしいわね」
「ならば、こいつの首でも落とそうか?」
間から割って入り、エンデたちの前に進み出ようとするダバンだったが、
マリウルに止められた。
「落ち着け、ここは任せろ」
ダバンの肩を叩き、マリウルが前に出る。
「御返答、確かに頂戴した。
だが、貴殿らは、何か勘違いをされているようだな」
「何!?」
「貴殿は、この旗の意味を理解しているのか?」
アンデットの大軍ばかりに目が行き、しっかりと旗を確認していなかった。
『ん・・・・・』と目を細める聖騎士。
「どこかで見たような・・・・・」
未だ、理解できない聖騎士に代わり、マリウルが答える。
「この旗は、アンドリウス王国旗だ!」
『ハッ!』と驚いた表情を見せる聖騎士に、追い打ちをかけるようにマリウルは告げる。
「ここにいるのは、アンドリウス王国軍。
その事を踏まえての対応をして頂きたい」
慌て始める聖騎士。
「わ、わかった。
必ず教皇様にお伝え致します。
もう暫く、お待ちください」
先程とは、打って変わった態度を見せ、慌てて王都の中へと戻っていった。
再び待機することになったエンデたち。
そのまま待機していると
聖騎士が馬に乗って戻って来た。
今度は、エンデたちを丁寧に出迎えて、案内を申し出た。
「準備が整いましたので、ご案内いたします」
「わかったわ」
聖騎士に続いて、歩き始めるエブリンとシャーロット。
後ろには、マリウルとガリウスが続く。
皆が案内に従い、歩き始めた頃
エンデは、アンデットドラゴンに話しかけていた。
「【サラバド】、ここは任せるよ。
僕たちは、ちょっと行って来る」
「わかった。
ここは、我に任せるがよい」
アンデットドラゴンとなったサラバドに、他のアンデットたちを任せ、
エンデたちは、聖騎士の案内に従い、王都の中に入った。
そして現在に戻る。
王都を歩くエンデたちだが、街の様子から
何か不気味さを感じずにはいられなかった。
「誰も歩いていないね」
「ええ、前の街と同じようね」
街の中なのに、歩く人々の姿が見受けられない。
その代わり、家の中から『コッソリ』と様子をう伺っている人たちの数は多い。
その中には、嫌な視線も混じっていた。
「主・・・・・」
「うん、様子を伺っているだけなのか、それとも・・・・・」
「俺が、確かめてこようか?」
ダバンは、エンデに許可を貰おうとするが、エンデは首を横に振る。
「少し、様子を見てみようよ。
でも、相手が仕掛けてきたら、遠慮は要らないから」
「わかった。
だが、念のために、敵の位置は把握しておくぞ」
「うん、お願い」
短く会話を終えると、エンデは先頭に立つ。
それは、ダバンと離れ、悪意ある視線を集める為でもあった。
敵が攻撃してくる様子はない。
そんな状況の中、とうとう、正面に本殿が見えてきた。
「あれが本殿か・・・・・」
教会が繋がっているとはいえ、殆ど交流の無かったアルマンド教国。
マリウルやガリウスからも、感嘆の声が漏れた。
その言葉が耳に入ると、聖騎士が反応する。
「確かに、あちらが本殿です。
しかし、貴方方をお連れするのは、別の場所です」
本殿と目と鼻の先にある建物の前で、聖騎士が足を止めた。
「どうぞ、この中へとお進みください」
エンデたちが案内をされたのは、兵舎のような建物だった。
不定期投稿ですが、宜しくお願い致します。




